スクウェア・エニックスより配信されている本作は、異世界を舞台に様々なヒーローたちが大暴れするファンタジー作品で、ソロプレイでじっくりと進められる3DアクションRPGと、4VS4で陣地を取り合うMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)の2つを楽しめるという、複合的なゲーム内容となっている。
『聖剣伝説』シリーズの小山田将が指揮し、シナリオに『Fate』シリーズの東出祐一郎、音楽に『聖剣伝説2』『シャイニングハーツ』の菊田裕樹といった超豪華スタッフが話題を呼んだ作品である。
歴代スクウェア・エニックス作品とのコラボなどもあり、ゲームファンは大いに注目できるだろう。
ストーリー
舞台となっているのは異世界「スィーリオ」
星の降る世界と呼ばれる平和で美しかった世界も、今では謎の敵「ダークネス」によって脅かされ、生きとし生けるものたちは重大に危機に瀕していた。
「刃晶」と呼ばれる宝石のような物質から無尽蔵に生れ出てくるダークネス……ただそれを撃退し、刃晶を破壊できる「神器」を操れる「ヒーロー」たちがほんのわずかに存在し、今や世界に残された最後の希望となっている。
プレイヤーが操る主人公は、その「ヒーロー」の1人。
一切の記憶を失い、自分が何者なのかもわからない主人公は、ダークネスと戦う旅の中で、はたして記憶を取り戻すことができるのであろうか。
ゲームシステム
2018年2月の段階では、配信開始から間もないこともあって、まだまだステージ数やコンテンツ数に不足が見られるが、一応「ギルド」や「工房」など、スマートフォン向けRPGによく見られる必要最低限のものはきちんと揃えられているようだ。
新ステージも続々追加されており、各種イベントも開かれている。これからますます充実していくことだろう。
バトルの操作は、画面をスワイプで移動、フリックで回避、タップで攻撃という仕組みになっている。
また表示されているスキルボタンをタップすれば、スキルが発動。
パーティは4人編成だが、操作するのは1人だけ。あとの3人はフルオートで動いてくれる。
バトル中に操作キャラクターを変更することも可能だ。
ストーリーモードの前後には、アドベンチャーパートが挿入される。
選択肢で台詞が変化したりと、充実したテキストを楽しむことができる。
内容はやや明るめで、ギャグも多めだ。
キャラクターは、それぞれに個別シナリオが付いており、奥行きがかなりある。
また育成要素も充実しており、装備で見た目を変化させることもできる。
装備品なども量も種類も豊かで、やり込み要素もかなりある。
グラフィックや音楽
スクウェア・エニック製作の、しかも豪華スタッフによるものだけあって、総じてクオリティは高く、コンシューマーゲームなみの完成度を達成しているように見える。
さらに小松未可子や早見沙織、島﨑信長に小野大輔などといった、人気実力共にある声優がキャスティングされているなど、アニメファンも大いに注目できる布陣を敷いている。
また数々のアニメ作品で主題歌を歌っている人気グループfhanaによる主題歌まで付いており、かなり力が入っていることが窺い知れるだろう。
ただ肝心の戦闘描写が甘すぎて、迫力も爽快感も薄く、とにかくごちゃごちゃしすぎて見難いというのがあまりにも惜しい。特にもっさりしたテンポにはかなりのストレスを感じてしまったので、せめてもう少しスピード感があればいくらか評価が変わったのではないかとも思う。
総合評価
戦闘以外の作りは良いという、なんとも本末転倒といわざるをえない作品である。MOBAコンテンツの制限時間を180秒という短時間にしたことなどには新鮮味と面白味があり、実に興味深いところなのであるが、やはり画面の見難さやテンポの悪さ、操作性の悪さなどが致命的欠陥となっており、素直に楽しむことができない。
また、全体的に作りが白猫プロジェクトと酷似しているという点も、RPGファンにはかなり気になってしまうところである。それでいて今どきスタミナ制が採用されてしまっているために、劣化版と揶揄する声も出ているくらいだ。
それでも王道のストーリーモードとMOBAコンテンツを両立させた構造の上手さや、バラエティー豊かで自由度の高いパーティ作りなど、可能性に満ち溢れた魅力的なところも多々ある作品。簡単に見放すのは惜しいと感じる、確かに光るものを感じられるのである。
「ロマンシングサガ」や「ヴァルキリープロファイル」といった伝説的作品のアイテムが登場するなど、RPGファンに向けたサービスが充実している点も好印象を受ける。
今後の改良を、大いに期待したい。