本作は、現在から往年の伝説的スター選手までを集め、自由に編成し、最強のドリームチーム作成を目指すという、スマートフォン向け本格プロ野球シミュレーションゲームである。
現在の2010年代のスター選手を集めるゲームは数あれど、1950年代まで遡って選手を集め、使い、育成できるゲームはなかなかないだろう。
ゲーム内容としては、選手とチームの育成と編成が全てであり、アクション要素や難しい操作などは一切ないので、あまりゲームに慣れていないようなライトユーザーでも充分に遊ぶことができる。
ただしかなりの野球愛がないとあまり入り込めない内容でもあるので、ヘビーな野球ファンでないと楽しむことはできないかも。
ストーリー
プレイヤーは球団のオーナーとなって、あらゆる時代やリーグを飛び越えてレジェンド選手たちを集め、最強チームを作成し、全国制覇を目指していくことになる。
どうしてそんなことが可能なのかは一切不明。
主なストーリーもなく、細かい設定も見られないことで、かえってこの特異な状況を呑み込むことができるだろう。
ゲームシステム
ゲームを開始すると、まずは秘書の「藤崎まりあ」によるチュートリアルとなるので、指示に従って操作していこう。
複雑な操作は一切ないが、ゲームルールなどにこの作品独自のものが多く見られるので、よく注意して進めていこう。
また初めには、選手を1人もらうことができる。提示された4選手から、好きな選手を選ぼう。
と、いきなりの濃いメンツに、このゲームがただものではないということがよくわかるはずだ。
コンテンツ数は少なく、基本的にはチーム編成と試合を繰り返すだけ。
試合も、1週間を1シーズンとし、1日6回3戦ずつの計18戦が自動で開催されるというものなので、1日の終わりに試合結果を確認するだけでもオーケー。忙しい人でも時間を気にすることなく遊ぶことができる。
なので、事前準備が全てともいえる。
選手カードを入念に選び、スターティングメンバーを編成しておこう。
なお選手を登録すると、日曜日に期数が進み、能力が変動するようになる。
レジェンド選手といえど、永遠に活躍できることはなく、ここのでも「ピーク」というものを迎え、劣化を経験することになる。なかなかシビアなゲーム設定だ。
選手はガチャである「エージェント」の他にも、野球ゲームらしく「移籍マーケット」で売買することができる。マーケットは常にチェックしておく必要があるだろう。
他にも「球会」という、いわゆるギルドに所属すると、そのメンバー間で選手をトレードすることも可能。
またこの球会では、メンバー同士での練習試合が行えたり、「エール交換」で互いの選手の調子を上げることができるなど、かなりの恩恵を得ることができる。
グラフィックや音楽
グラフィックの評価は、実写取り込み式の野球カードが主なものなので、熱烈なプロ野球ファンであれば良いと感じるだろうし、そうでないユーザーにとっては手抜きと感じてしまうこともあるかもしれない。
実際、試合もカードの表示と文字による試合状況の報告があるだけなので、かなり簡素というか、味気無さがある。
ゲームの主題としてはこうした内容でも問題はないようにも思えるが、例えばヒットやホームランなどのシーンにムービーの挿入などの演出があれば、また一段と高く評価できたのではないだろうか。
総合評価
スポーツシミュレーションゲームとして評価を考えてしまうと、全体的に簡素な作りであるだけでなく、試合での直接操作どころか指示もできないという内容によって、どうしても低く評価せざるを得ないところがある。
ただやはり、登場選手に60~70年もの幅広さがあるところや、その1つ1つにかなり細かく能力や起用法などの設定が付けられているなど、野球ファンにとっては夢そのものといったものなので、そういったユーザーにとっては、本作はどのゲームとも比べることのできない、高い価値のある特別なゲームへと変わることだろう。
これはユーザーの趣味嗜好によって、大きく意味と価値の変わるゲームなのである。
野球ファンのユーザーには、ぜひともプレイしていただきたい作品だ。