本作は、第二次世界大戦を舞台にした戦車RPGで、プレイヤーは選択した国の軍指揮官となって、実在する有名将軍や戦車乗りと、3DCGで精巧に描写された実名戦車を組み合わせてパーティを作り、セミオート形式のバトルで敵軍の戦車部隊を戦っていくといった内容になっている。
様々な戦場や戦闘を体感しつつ、クリア報酬で得た資金や資材を使って、自国の軍事基地をアップグレードしていくこともできるなど、戦略シミュレーションゲームとしての側面もある。
他プレイヤーとの対戦を楽しめるコンテンツも用意されており、幅広い遊び方ができる作品ともいえる。ミリタリファンや戦争ゲームファン以外にも、ぜひ試しに遊んでみてほしいとオススメできるだろう。
ストーリー
ゲームを開始すると、まず自国に設定できる国を世界中から自由に選ぶことになるので、歴史ファンには心躍るものがあったが、例えばラトビアを選択しても、クエストのシナリオはドイツ軍によるポーランド侵攻からとなり、どうやら国の選択で内容が変化することもなさそうである。スマートフォン向けゲームの容量を考えれば当然のことではあるのだが、一瞬期待してしまったために、肩透かしをくらったというか、ちょっとだけガッカリしてしまったのであった。
しかし歴史ファンにとっては、クエスト報酬やガチャを回すことで、ジョージ・パットンやエンヴィン・ロンメルといった実在の人物を使用できるようになり、国境や人種を超えて好きなようにパーティを組めるという、大興奮のシチュエーションを堪能することができるので、プレイするほどにのめり込んでいけるはずだ。
実名戦車も多数登場し、これも自由に組み合わせることができる。最近ではガルパンなどの影響で、戦車に親しみを覚えた人も多いだろうから、ミリタリ好き以外の方でも楽しめる人は多いのではないかと思う。
ゲームシステム
海外製ゲームらしい、ボーナス設定の多さである。ログインだけでなく、時間帯やイベントでもボーナスを獲得できるなど、ユーザーが少しでも多くゲームに触れるように設計されている。
コンテンツ数は少なめに見えるが、対人戦が全世界リアルタイムという時点で、既にボリューム満点である。
クエストはステージクリア式で、よくあるスマートフォン向けRPGの作りそのままである。
ただスキップでの稼ぎもできるなど、お手軽に周回できる機能が実にありがたい。
バトルはセミオート形式。戦車をタップするとスキル攻撃が発動など、これもまたオーソドックスな作りだ。
勝利の鍵は、ステージ挑戦前にしっかり陣形を調整しておくことにある。相手や状況に合わせて戦車の編成や配置などを考えよう。
戦車は設計図から作り出したり、各パーツの強化をしていくこともできる。
さらに戦車それぞれと組み合わせる形で配備できる将軍たちも、強化したり、装備などで自由にカスタマイズしていくことができる。
育成要素がとにかく豊富で、遊ぶ応えは充分だ。
グラフィックや音楽
グラフィックのクオリティはなかなかのもの。とりわけ戦車の描写は、さすが題材そのものなだけあって、かなり気合いの入ったものになっている。
また将軍たちキャラクターのグラフィックも良く、装備変更で見た目を変えられるなどどいった面白さもある。アフリカ戦線で活躍した将軍にあえて雪国対策装備をするなど、歴史ファンならではの変な楽しみ方も可能だ。
ただサウンド面が弱く、履帯音や砲撃音などにいささか物足りなさを覚えた。絵にこだわりが見えるだけに余計残念に感じられてしまう。
あとはとにかく、翻訳が甘すぎて誤訳珍訳が多すぎるところが惜しい。クエストのシナリオはまだしも、ガイド機能の文章すら訳の分からないものになっているのは致命的だ。
総合評価
題材や、こだわりのグラフィックにより、戦車好きやミリタリ好き、または歴史ファンや戦略シミュレーション好きのユーザーには間違いなくオススメできる作品である。
ただ基地を発展させていくシステムや、セミオート形式のバトルなど、ゲーム内容はスマートフォン向けゲームの典型例といったものなので、目新しさは皆無。題材に興味がないユーザーには、なかなか手を出し難いものになっている。
それでも、シングルプレイとマルチプレイの両方を充足させている作りや、育成や収集などにおけるやり込み度の高さなど、興味深く映る点も多々ある。
フルオートや倍速などの機能も備わっており、ゲーム慣れしていないライトユーザーでも気楽に遊ぶことのできるゲームといえるだろう。