レベルファイブとコーエーテクモゲームスの強力タッグによって製作されている本作は、互いの看板作品である「妖怪ウォッチ」と「三国志」をクロスさせたコラボレーション企画作品である。
その内容は、ジバニャンなどおなじみの妖怪たちが、戦乱の続く三国志の世界の中で、天下統一を目指して大奮闘していくといったもので、RPGにシミュレーションの要素をおまけで付け足したようなゲーム内容となっている。
セミオート形式で作られた超簡単で分かり易く遊び易いバトルシステムなので、小さいお子様でも楽しく遊ぶことのできるゲームといえるだろう。
既に2016年4月にニンテンドー3DS用ソフトとして「妖怪三国誌」が発売されているが、それと本作はまったくの別物。3DS版は妖怪ウォッチの世界観に完全に寄り添ったものになっているが、このスマートフォン向け版では三国志のキャラクターと妖怪が同化したものとして描かれているなど、ちょうど世界観が半々になったかのような作りとなっている。
ストーリー
世界観や多くの設定は三国志であるが、舞台となるのは妖魔界の「三国志フィールド」と呼ばれる不思議な世界。
プレイヤーは主人公であるジバニャン劉備やウィスパー孔明といった「妖怪+三国志武将」なキャラクターたちを操って、国々を制圧していき、天下統一を目指す、という物語を楽しむことができる。
戦争を題材としているわりには、妖怪ウォッチらしいコミカルな会話や展開が続き、終始明るいギャグ作品として成立しているのが、なんとも不可思議で面白い。
ゲームシステム
メインコンテンツは2つあり、1つはシングルプレイでストーリーを進めていくRPG「天下統一戦」で、もう1つはシーズンごとに全プレイヤーが複数の勢力に分かれて陣地を取り合っていくというマルチプレイシミュレーションRPG「国盗り戦」である。
クリア報酬などでガチャを回して自軍を強化しつつ、自分のペースで好きなように攻略していこう。
「天下統一戦」はステージクリア方式。バトルを重ねて勝利することで国を占領し、その次の国へと順々に進軍していく、といった流れとなる。
「国盗り戦」は領地の削り合いで得た「功勲」を蓄積することで「制圧率」を上昇させ、完全占領を目指す。シーズン終了時に最も勢力が多い陣営が勝利となる。
バトルはセミオート形式で、アイコンをタップすることで強力な必殺技を発動させることができる。
必殺技は妖怪とセットにした「軍魔神」という三国志の英雄たちによって変化する。バトルに召喚して攻撃させることも可能だ。
「天下統一戦」のステージ前後には、アドベンチャーパートが挿入されることもある。
ギャグ調の明るいお話が展開していくので、お子様でも安心して遊べるはずだ。
グラフィックや音楽
3DS版という前提もあるおかげか、とにかく安定性が高く、快適な動作によるテンポの良い進行で、ストレスなく遊ぶことができる。
グラフィックは美しく、動きも豊かで、演出もド派手、さらにアニメ版と同じキャストによるボイスもあるなど、全体的にたいへんクオリティは高く、とりわけ妖怪ウォッチシリーズのファンには満足のいくものになっているといえるだろう。
総合評価
三国志ファンにとっては、さすがにライトすぎる作りで戦略性も薄く、また世界観こそ深まったとはいえ、あくまで三国志の成分はおまけ程度という雰囲気もあり、ちょっと入っていき難いものになっている。
国盗り戦は一見本格的な作りに見えるが、ステータス上限などの制限があるなど歯止めがしっかりとかけられているため、公平性は高めだがやり込み度は低く、対人戦にガッツリのめり込むようなヘビーユーザーにはオススメできない。
ただそのライトさ故に、妖怪ウォッチのメインターゲットである小さな子どもたちでも気軽に遊べるような雰囲気ができている。シンプルな設計やシステムも徹底されているので、ゲームが苦手な人でも何の問題なく遊ぶことができるはずだ。よって、妖怪ウォッチファンや子どもたち、そしてライトユーザーを中心にオススメすることができる作品といえるだろう。
2018年2月現在では、まだ配信開始から日も浅いため、ストーリー追加やイベント更新なども頻繁に行われており、発展途上にある作品ともいえる。今後の展開にも大いに期待を寄せたい。