本作は、PCやPS4にて発売されている、映画「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」の世界を題材とした作品「シャドウ・オブ・ウォー」を、スマートフォン向けゲームにアレンジしたゲームアプリである。
内容はセミオート形式のバトルRPGで、簡単操作で誰でも気楽に遊べるようになっている。
タリオンやガンダルフ、そして指輪の力など、原作でお馴染みのキャラクターや設定が活かされた内容でもあるので、ファンは大いに楽しむことができるはず。
RPGとしては、シリーズ特有の「ネメシスシステム」も採用されており、プレイヤーの行動次第で敵の動向が変化していくこともあるというのが、最も特徴的なところであるといえるだろう。
ストーリー
物語は、原作と同様の、王道の構成で組み上げられたダークファンタジー。
冥王サウロンに家族を殺された主人公がタウロンが、幽鬼ケレブリンボールと融合して死の淵から蘇り、力の指輪を手にサウロン打倒を目指すという展開を見せる。
シリーズ作品である「シャドウ・オブ・モルドール」が前作に当たるので、前知識がないとちょっと戸惑うこともあるかもしれない。
また、原作シリーズでお馴染みの、アラルゴンやゴラムといったキャラクターも登場し、仲間に加わってくれるので、原作既読か、映画版を視聴していると、グッと深くゲームを楽しむことができるだろう。
ゲームシステム
会話劇やムービーシーンなどを挟みながら、復讐の物語が進行していく。
重厚なグラフィックにより雰囲気はあるのだが、ご覧の通りローカライズが甘く、翻訳ソフトをそのまま丸写ししたような拙いテキストのため、全てが倒置法のようになっており、たいへん読み難いのが難点。
ステージ数は多く、ボリュームは充分にある。
4人編成のパーティを作り、立ち塞がる敵を全て薙ぎ倒して、最奥に待つボスモンスターの撃破を目指そう。
バトルは基本オートでキャラクターが動いていく形式だが、攻撃対象の切り替えや移動の指示、スキルの使用にその範囲指定など、やれることもやるべきこともけっこう多い。
また、支配下に置いた敵モンスターを戦闘に投入することもできる。
コンテンツ数はまずまず揃っているといった印象。
レベル上げや指輪強化など、育成要素も充分にある。素材は「戦果」というガチャで入手することもできる。
グラフィックや音楽
PCやPS4で作られたゲームを元にしているので、グラフィックのクオリティは高く、実写映画版のようなリアリズムと深みを感じ取ることができる。
モーションや演出こそ、スマートフォン向けに動作を軽くするためか、かなり質が落されているが、だからこそ軽快でストレスなく遊べるようになっているのだといえるだろう。
ただ、音楽は良いのに、効果音は今一つなところがある。この点がもう少し良ければ、もっと戦闘に手応えや爽快感があったように思う。ちょっと残念だ。
総合評価
スマートフォン向けらしく簡単操作の設計であるが、各キャラクターの特性と役割を活かした編成が必要だったり、効果的に機能するために細かく移動指示を与える必要もあったりと、戦略性も戦術性も高く、なかなか面白味のあるRPGとなっている。
ボスを倒した時に、支配するか処刑するかを選択できるシステムがあるのも独特。国内産ゲームではあまり見られないようなダークさとシビアさがある。
また、そうして支配した敵を、パーティメンバーと同じく育成していくこともできる。その育成方法とは、支配した者同士を戦わせ、殺し合わせるというもの。勝った方は能力値が上がり、昇格し、時には進化もする。負けた方は死ぬ。それで終わり。どれだけ育て上げても、あっさり死んで消えてしまうこともあるのだ。これまたシビア。そして残虐性の高いシステムでもある。なので、暴力や残虐表現が苦手なユーザーはプレイしない方がいいだろう。
基本的には、原作ファン、ダークファンタジー好き、そして洋ゲー好きのユーザーなどにオススメできる作品といえるだろう。