本作は、重厚感溢れるシナリオと3DCGによって描かれたスマートフォン向けダークファンタジーRPGで、プレイヤーは「明星騎士団」の騎士となり、闇に閉ざされ死と腐敗に満ちた世界に光を取り戻すための戦いを繰り広げていくことになる。
バトルはセミオート形式と、きわめてオーソドックスな作りではあるが、仲間にできる「サーバント」が400種類以上と豊富だったり、超広大なマップをプレイヤーの好きなように攻略していくことができたりと、かなりのやり込み要素を持った作品となっている。
歯応えとやり応えのある本格RPGを求めるユーザーにオススメできる作品といえるだろう。
ストーリー
舞台となるのは、黒い血によって全てが腐敗し、闇に閉ざされてしまった世界。
物語は常に重苦しく、不条理と退廃、グロテスクとアバンギャルドに満ちている。
そもそも、プレイヤーが操る主人公が処刑されかけているといったところからスタートという有り様。
ダークファンタジーの世界観を好むユーザーにはぴったりの作品であるが、謎がとにかく多く、思わせぶりな台詞の連発で進行していくので、賛否両論は大きく分かれるかもしれない。
ゲームシステム
ノワールの色彩で描かれた印象的なオープニング映像。
とにかく雰囲気たっぷりの作品なので、暗さを求めるユーザーはきっと「酔える」はず。
ステージの前後にはアドベンチャーパートが挿入されることもある。
全体的にグロテスクなクリーチャーデザインが目立つ作品だが、可愛らしいキャラクターもきちんと用意されている。そしてやたらとパンツが見える。
バトルはセミオート形式。キャラクターの移動も攻撃もオートで行われるので、プレイヤーはスキルボタンを押して補助していけばいいだけである。
ただ連携効果などのシステムがあるので、育成や編成など、バトル前の準備こそ重要となるのだ。
マス目で構成された広大なマップは、プレイヤーの好きなように攻略していける。
1マスのクエストをすべてクリアすれば、そこに隣接するマスが解放されるという仕組み。
解放地が広がり、シナリオ番号が明記されたマスを攻略できれば、メインストーリーが進んでいく。ただし番号マスにはかなりの強敵がいるので注意が必要だ。
メインクエスト以外にも、対人戦コンテンツや、タワーを守る「乱塔戦」など、コンテンツ数は多め。
簡単には遊び尽くせないほどのボリュームがある。
グラフィックや音楽
美麗なグラフィックや重厚感溢れる演出によって、徹底したダークファンタジー世界が構築されており、その完成度とクオリティは、とても基本プレイ無料のスマートフォン向けゲームとは思えないほど高いものである。
ただあまりに独特すぎる雰囲気や、とにかく暗く重苦しい空気、難解すぎるシナリオのテキストなど、かなりプレイする人を選んでしまうところがある。
また、キャラクターボイスなしという点も、マイナスに感じる人は多いかも。べつに人気声優などを使わずとも、せっかくの徹底された世界観なのだから、英語ボイス+字幕のような演出はほしかったように思う。
総合評価
ボリュームの大きさや自由度の高さなど、良質な本格RPGといえる作品。ダークな世界観に感性が合うのであれば、きっと楽しめるゲームとなるだろう。
ただ、その自由度の高さ故に、難易度は高め。常に条件や状況を考えつつ進めていかないと、すぐに攻略に行き詰まってしまうことになるだろう。プレイヤーの行動を指示してくれるガイドなどはないので、洋ゲーRPGにあるような歯応えを求めるヘビーユーザー以外には、ちょっと厳しいところがあるか。
強い力を持つキャラクターを獲得できるレアガチャが簡単に回せないというところも辛口。忍耐力が必要となる。
また、本格志向が強すぎて、バトルのテンポがゆったりというのにも、苛立ちを覚えてしまう人がいるかも。現代スマートフォン向けゲームはほとんどが倍速高速でバトルが消化されて爽快感を演出しているので、今となってはもはや違和感すらある。
もちろんそれは、ズッシリと手応えのあるバトルであると捉えることもできる。やはり本格的なRPGを求めるユーザーにこそオススメできる作品といえるのだろう。