MorningTec Japanより配信されている本作は、中国の大手ゲーム会社であるShanda Gamesと、美樹本晴彦や鈴平ひろといった日本の豪華クリエイターが手を組んだ、日中合同作品となっている。
ゲーム内容はボードゲームをバトルシステムに組み込んだRPGで、属性や距離、立ち位置や向きといった様々な特性を見極めて操作していくという、かなり戦術性の高いバトルを楽しむことができるようになっている。
美麗なCGや豪華声優陣によるボイスといったクオリティの高さだけでなく、膨大なコンテンツやストーリーなど、かなり力の入れられた作品だ。RPGファンだけでなく、様々な層のユーザーに向けられて作られた作品であるともいえるだろう。
ストーリー
舞台となるのは、かつて神に救われたという浮遊大陸で、プレイヤーの操る主人公の少年は、ツンデレのお嬢様(本当にそう肩書が付いている)であるリアスと共に冒険の旅に出て、再びやってきた世界崩壊の危機を救うための戦いを繰り広げていくことになる。
大量のテキストはフルボイスといったボリューム満点の内容だが、他にもキャラクターそれぞれに個別シナリオも用意されており、なでなでやプレゼントで好感度を上げて攻略していくという、ギャルゲーのような楽しみ方もできるようになっている。
ゲームシステム
オープニング映像。いきなりニコニコ動画のようなコメント弾幕が流れ出して面を食らってしまう。
もちろん、プレイヤーも新たにコメントを書き込むことができる。
とにかくコンテンツ数の多い作品。
対人戦からレイドボス戦など、様々な遊び方が可能。
初めは何から手をつけていいのやらよくわからないだろうから、とりあえずチュートリアルを選択し、指示に従って練習していけば、ゲーム内容を呑み込むことができるはずだ。
メインストーリーのステージだけでも膨大な数があり、やり応えは充分すぎるほどある。
高評価の星を集めれば、特別な報酬の入った宝箱を解除することもできる。
バトルはターン制。順番が回ってきたら、表示されるマス目をタップで移動し、アイコンタップで攻撃などの行動をとる。
有利な向きや立ち位置を考えながら、チェスのようにユニットを動かし、バトルを有利に進めていこう。
メインクエストの前後にはアドベンチャーパートが挿入され、ストーリーは進行するのだが、なんとここでもコメントを流すことができる。
実に不思議なゲームシステムだ。
キャラクターはガチャで獲得することができる。
どのキャラクターも、レア度に関係なく最高ランクまで強化することができ、個別シナリオを解放していくこともできる。
好きなキャラクターを中心に、どんどん育成していこう。
グラフィックや音楽
キャラクターデザインにいくらか独特のクセが見られるというか、いささか厳しいデザインも見受けられるが、CGは美麗で、全体的にはクオリティ高めといえるものである。
特に演出面が優れており、バトルでの必殺技シーンなどはたいへん見応えのある迫力満点のものとなっている。
ただそれもいくらか「いき過ぎ」「やり過ぎ」の感があり、慣れてくるとうざったくなってしまうこともあるかも。
そうしたこともあってか、バトルのテンポが悪いような印象も受けてしまう。もちろん、重厚感のあるバトルと受け止めることもできるものであるが、主に空き時間にプレイするようなゲーム環境であるはずのスマートフォン向けゲームで、これはマイナス点にしかならないのではないかとも思えてしまうのだ。
それでも、崎元仁による音楽や、花澤香菜や早見沙織、竹達彩奈に堀江由衣、石田彰に杉田智和といった豪華声優陣による豊富なボイスなど、やはりクオリティの高さは目立つ。完成度は高い。
総合評価
豪華絢爛という言葉がよく合う、たいへんクオリティも高くボリュームも満点なゲームである。
膨大なコンテンツ数や、アバターカスタマイズなどの深いやり込み要素など、果てしなく遊び続けられるほどの深みがある。
しかし一方で、やれることが多すぎてごちゃごちゃしているような印象を受けることもある。
また、コンテンツそれぞれが散漫というか、ひと味足りていないような感もある。特にメインであるはずのバトルは、せっかくのボードゲーム要素が活かしきれていなかったりと、実に惜しい部分が目立つ。
ストーリーのムービーにコメント弾幕が流れるなど、いまいち何がしたいのかわからない陳腐でズレた演出も、ちょっと合わないと感じてしまう人が多いように思える。
もちろん、そうした中国的文化のようなものに違和感を覚えないユーザーであれば、長く楽しめるRPGとなることだろう。