『METAL MAX FIREWORKS』は「竜退治はもう飽きた!」のキャッチコピーで90年代RPGブームに殴り込んできた、あのメタルマックスシリーズの新作であり、2015年10月よりスマートフォン向けRPGとして配信開始となったもの。
メタルマックスシリーズはスーパーファミコン世代の方であれば、どっぷりハマり込んだという方も多いのではないだろうか。当時かなり異彩を放つRPGだったので、注目される共にかなりの人気となった。
そんなメタルマックスがスマホアプリとして新たに登場。
過ちによって滅びた文明世界で、プレイヤーは戦車乗りのハンターとなり、戦車をパワーアップさせながら荒野を進み、生き残った人類を脅かすモンスターたちを撃滅していくのだ。
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ストーリー
崩壊後の荒野と化した世界に、辛くも生き残った人類は、ノアの放ったモンスターたちに怯えながら暮らす毎日を送っていた。
だがそんな中、命知らずの若者たちが立ち上がり、戦車を駆ってモンスターどもをなぎ倒す賞金稼ぎとなったのであった。
……と、メタルマックスシリーズそのままのシナリオである。昔を知る人は懐かしさを、昔を知らない人はマッドマックスやフォールアウトの世界観だと思っていただければいい。
戦車で荒野を突き進み、モンスターをハントし、その賞金でまたさらに戦車をパワーアップさせる、スチームパンク的冒険譚である。
ゲームシステム
本作はストーリーと台詞の数々を、シリーズの産みの親である宮岡寛が書いている。
ゲーム開始と共に、あの懐かしい世紀末世界が、そしてほのかに狂ったどこか愛嬌のあるキャラクター名や台詞の数々が突きつけられる。間違いなくこれは「メタルマックス」である。
プレイヤーはまず名前を告げた後、戦車を与えられる。これには自分で名前をつけることもできるし、ナビゲーターに適当につけてもらうこともできる。
その次は最初の戦車に搭乗するユニットキャラクターを男か女かどちらかを選択する。(一度決定すると変更できません)
改造を楽しむ
とにかくこのメタルマックスの肝は戦車の改造であり、今後様々な戦車を手に入れたり、膨大な量の改造パーツを自由に使って自分だけの戦車を作っていけるのだ。
ミリオタ(ミリタリーオタク)にとってはこれ以上ない楽しみだろう。
搭乗ユニットもドロップやガチャでどんどん登場する。ユニットにはそれぞれ特技があり、攻撃時に確率で発動するというシステムになっている。
▲イベントでこのようなマシンもゲットできる!
戦車とパーツとユニットを集めつつ、強化を繰り返して編成し、軍団となって賞金モンスターの跋扈する荒野へと進撃するのだ。
ステージはすごろくのようなマップ画面のマスをタップして進みながら、ボスのいるゴールを目指す。モンスターの待ち構えるマスやお助けカードを引けるマス、アイテムのあるマスなどがある。
バトル
モンスターとのバトルはオーソドックスなターン制で、攻撃という大きなボタンをタップするだけで、あとは全て自動的に行われる。もうお助けカードを使うかどうかくらいしかなく、ゲーム性は薄い。改造強化して編成するまでがゲームといえる。
さらにバトルはターン制限があり、この制限内に敵を全て倒せないと、問答無用でプレイヤーの敗北になる。引き分けなどない。勝負の世界は厳しいのだ!
戦闘がフルオートのために何の工夫もできないわけだから、とにかく強い戦車と優秀なユニットを作り込んだり、ガチャに祈ったりしなくてはならない。
改造と育成のシステムは奥深く自由度も高いのだが、そんな苦労をしなくても課金すれば一瞬で強いパーティが作れるという無常感がある。
グラフィック・BGM
ストーリーが宮岡寛氏であるように、音楽も当時の担当であった門倉聡が務め、さらにはキャラクターデザインも変わらず山本貴嗣が担当している。まさに正統なる「メタルマックス」といえる布陣だ。
しかし、その情緒あるデザインを活かしきれていない感じはするのだが、今までのメタルマックスシリーズにはない色があるのも確かだ。
実際、戦車のCGはなかなか大したもので、改造パターンも豊富で面白く、出撃前のガレージではワクワクできるものがある。
総合評価
「改造」という部分がたいへん良くできているのだが、その他に面白みを見つける事が出来なかったので、やはり改造メインという事か。
特に昔を知る人間には、これがあのメタルマックスだと肩を落としてしまうだろうし、知らない人にとってはよくあるチープな無料ゲームとしか感じられないだろう。
とにかくかつての「優れていた部分」を全て削ぎ落したのが本作であり、メタルマックスの劣化パクリゲームとしかいえない。シリーズ特有のシニカルな世界観と人物像と台詞の数々を楽しむことはできるが、せめてゲームバランスさえまともならばと嘆くばかりである。