本作は、ゾンビパニックによって崩壊してしまった世界で、生き残りをかけた戦いを繰り広げていくサバイバルゲーム。いかにも洋ゲーといった武骨な雰囲気が漂うゲームだ。
その内容は、拠点を発展させていく箱庭ゲーム的なシミュレーションパートと、銃火器やナイフなどを使用してゾンビの群れを撃退するサードパーソンシューティングパートの2つが主軸となっている。
これまで街づくりシミュレーションとシューティングRPGを開発してきたMy.com B.V.らしい複合ジャンル作品といえるだろう。
ストーリー
舞台となるのはゾンビによって荒廃した近未来の終末世界。
プレイヤーは主人公「マイケル・ベネット」を操り、次々と押し寄せてくるゾンビの大群と戦っていくことになる。
このジャンルにしてはストーリーがしっかりと作り込まれており、ステージの後にはコミック演出のような表現によるアドベンチャーパートが挿入され、巨大な陰謀の絡む壮大なストーリーが展開していく。
やがて明らかになっていくゾンビ発生の原因……マイケルはレジスタンスの一員として、全ての黒幕である「ニューアース共和国」との壮絶な戦いに身を投じていくのであった
ゲームシステム
開幕は、美麗なグラフィックによるアドベンチャーパートから。
不時着したヘリの人たちをゾンビの群れから助け出すところから、ゲームは始まる。
シミュレーションパートでは、資金や資源を使って農場や工場などの施設を建設したり、アップグレードしたりすることができる。
拠点はパワーというか経験値が数値として可視化されており、これが増えるほどに新しい施設やモードが解放されていく。
まずは生産施設を中心に建設して資源を多く溜め、領地の拡張を目指そう。
その資金が足りない場合は、シューティングパートであるキャンペーンモードを進めて稼ぐしかない。
生存者を獲得できると、様々なパッシブスキルの恩恵を得ることができる。
そのために必要な「欠片」は、ゲームの進行やストアで入手できる宝箱「クレート」にて入手することができる。
シューティングパートは、画面左側をドラッグすることで照準を動かし、画面右下のボタンを押すことで銃撃したりナイフを振ったりすることができる。
ゾンビはそれぞれ動きや性質が異なるので、侵攻がゆるやかな序盤の内に攻略パターンをよく記憶しておいた方がいいだろう。
武器はクレートやストア購入で入手できる。
ライフルやショットガンなど、射程や攻撃範囲が異なるので、自分のプレイスタイルに合った武器があればいいかと思うかもしれないが、ステージによっては制限があったり、使用武器が指定されたりすることもあるので、全種を万遍なく集めていった方がいい。
武器は種類が多いだけでなく、アップグレードすることも可能だ。
ダメージ値だけでなく、リロード速度などを細かく強化していくことができる。
一定時間で使えるようになるヘリに乗り込めば、敵基地を強襲できるゲームモードを楽しむことができる。
ガトリングやミサイルで蹂躙できるので、かなりの爽快感を味わえるだろう。
グラフィックや音楽
グラフィックやサウンドなど、総じてたいへんクオリティが高く、コンシューマーゲームなみの完成度であるといっても過言ではない。
操作性やゲームデザインも優秀で、ストレスなく遊ぶことができるだろう。
拠点施設だけでなく、生存者や武器も多種多様に揃っており、やり込み度もおそろしく高い。遊び応えは充分すぎるほどある。
ただ、シミュレーションパートもシューティングパートも、他でよく見るようなありきたりな設計になっているので、目新しさは薄いかも。
総合評価
よくできたゲームだからこそ、新鮮味の薄さが余計に気になってしまうものがある。はたして同タイプのゲームを既にプレイしているユーザーが、その他作品からこちらの作品にわざわざ乗り換えるだろうか。正直、求心力は小さい。ゾンビゲーム、あるいはゾンビそのものが好きといった愛好家でもなければ、難しいのではないかと思う。
実際プレイしてみても、高めの難易度と辛めのドロップ率によって、サブステージの周回プレイが基本だったり、その割にはストーリーモードのメインステージはクリア後の再プレイが不可だったりと、バランスの悪い点が目立つ。
さらに1ステージにかかる時間も長めで、ゾンビが出てくるまでの時間に待ちがあったりと、全体的にテンポが悪い。
しかしそれでも、こういったタイプのゲームには珍しく、ストーリーがしっかりと作り込まれていることや、敵基地をヘリで強襲できるといった爽快感抜群のゲームモードも用意されているなど、なかなかに独自性が高く、欠点を補っても余りある魅力と面白さに溢れている。
遅めのテンポも、リアル寄りな程よい緊張感と捉えられるユーザーも多いかも。サードパーソンシューティングゲーム好きは、ぜひ試してみてほしい。