なんでやねん!……と、思わず盛大につっこんでしまいたくなる作品である。
みんなが良く知る三国志を題材にしたRPGで、セミオートで進めていける超簡単なバトルシステムで、ストーリーも史実を忠実になぞっていくといった、これだけだとこれまでさんざん作られてきたスマートフォン向け作品であるが、よくよくタイトルを見てみると、何か変。
そして実際にプレイしてみると、たしかに史実通りにシナリオが展開していくのだが……何故か、どうしてか、いったい何があってのことなのか、登場人物がみんな「関西弁で喋る」のである。
ゲームにおける「新機軸」とか「独自性」って、そういうことではないような気がするのだけれど(苦笑)
ある種、これは究極の一発ネタ作品といえるだろう。ハマる人は盛大にハマりそう。
ストーリー
メインストーリーは、もはや誰もが親しみがあるといってもいい「三国志」の流れをたどるオーソドックスなもので、登場する武将も、活躍時期や年齢などの垣根は飛び越えていても、基本的には三国志演義や歴史映画に登場する姿のままで、おかしなところは特にない。
しかしいざ話が始まると、会話からモノローグからナレーションまで、何故か全てが関西弁。時折、横文字を使った吉本ギャグみたいなものまで飛び出してくる。
コテコテの関西ギャグ、それこそ吉本新喜劇などが好きなプレイヤーにはぴったりの作品といえるだろう。
ただ、それにしてもちょっと関西弁が甘い時が多く、ほとんどエセっぽいのが妙に気になってしまった。そこは徹底してほしかったように思う。
公式のアプリ紹介
ゲームシステム
反董卓連合軍という史実そのままの展開なのに、御覧の通り、何か変!
全編、このように軽妙なギャグトーンで話が進んでいく。
まずは魏呉蜀の三国から一国を選択。選んだ国の武将が当面の主力武将&ナビゲートキャラになる。
……って、なんで呉の代表が潘璋やねん!もっとおるやろ!!
(潘璋:孫権子飼いの武将で、活躍して右将軍にまでなったけれど、性格が悪く素行不良で最後は処刑されて終わり。後に神様にまでなった大人気武将の関羽を殺した将なので、死んだ後も嫌われている)
領地の建設や施設のアップグレードなど、箱庭ゲーム部分もかなり丁寧に作られており、やり応えはかなりあるゲームだ。
君主レベルが上がれば建造できる建物も増えていくので、まずはストーリモードをガンガン進めていこう。
バトルはセミオート。プレイヤーはタップでスキル発動くらいしかやることはない。
ただその発動のタイミング次第で、相手のスキルをキャンセルできたりもするので、なかなかボーッともしていられない。
グラフィックや音楽
ハンゲーム製ということで、いつもと同じグラフィックである。悪くはないが、いつもほとんど同じなので、見た目で既に飽きがくるような感じ。
ただレゴブロックみたいなデザインのキャラクターはなかなか親しみがあっていい。ひょこひょこダンスしたりする姿はとても可愛らしく、見ていて楽しい気持ちになれる。
メニュー画面から大規模レイドコンテンツまで、どれも見易く遊び易いのはさすが。いつもと同じであるだけに、安心感や分かり易さなどがあるともいえるだろう。
総合評価
育成から領地発展と、丁寧に作り込まれていて、スマートフォン向けゲームとしてはかなりクオリティが高いといえるだろう。
ただ、特に目新しさもないため、求心力がないともいえてしまう。
関西弁というネタもインパクトがあってたいへんよろしいのであるが、しかしいかんせん一発ネタでしかなく、いくらかプレイしていればすぐに飽きてしまう人もいることだろう。
せめてRPG部分のシステムとかに独自性なり工夫なりがあれば大きく違ったのではないだろうか。
実は全60箇所の拠点を制圧していくという「天下統一モード」など、なかなか面白いコンテンツもあるのであるが、RPG部分とあまり繋がっておらず、単なる単一のおまけコンテンツになってしまっているなど、そこも惜しく感じられてしまうのであった。
せっかくならもっと珍作に振り切ってしまった方が話題になったようにも思うが、そうなると丁寧に作られた部分が惜しく感じられてしまうようにも思う。
佳作といえる良いデキだけに、どうにも惜しいという気持ちばかりが強くなってしまう。
それでも、あの呂布まで関西弁という可笑しさ、愉快痛快なガチャの演出とか、見ていただきたい部分も多々あるので、まずはぜひ、お試しでプレイしてみてほしい。