ステアーズより配信されている本作は、日本でも『マグナカルタ』シリーズなどでお馴染みなイラストレーター、キム・ヒョンテがディレクター&デザイナーを務める作品で、配信前からかなり注目を集めていた。
内容はセミオート形式のRPGで、チャイルド(使い魔)を集めて育てて戦わせるといった、女神転生シリーズのような趣のある内容となっている。
Live2Dでぬるぬると動きまくるキャラクターによる、魅力たっぷりのアドベンチャーパートや、迫力あるバトルパートを楽しめるゲームだ。
ストーリー
舞台となるのは我々に馴染み深い現代世界であるが、人間たちの陰に天使も悪魔も存在しているというファンタジー設定となっている。
プレイヤーが操る主人公の少年は、魔王の子孫の1人であり、次期魔王の候補者の1人である。
しかし彼に野心はなく、人間界でのんべんだらりと自堕落な生活をするばかりであったが、ある日やってきた「モナ」というサキュバスにそそのかされて、魔王の座を争う戦いに身を投じるようになる。
悪魔らしく人間を「チャイルドを増やすための餌」と考えるモナに対し、主人公は心の中でチャイルドを育ててしまう人間の苦しみも救おうと考えるなど、なかなか深みのあるストーリーとなっており、実に面白い。
また「キズナシナリオ」という、チャイルドそれぞれの個別シナリオも膨大に用意されており、ボリューム満点である。
ゲームシステム
リアルタイム制で、セミオート形式で進行していくバトル。
プレイヤーがやることはスキル発動させることであるが、ノーマルスキルとスライドスキルの使い分けや、ゲージを貯めてのドライブスキルや、一発逆転のフィーバータイムなど、単純明快な操作の割にはかなりゲーム性が深く、やり応えがある。
個性豊かな300種類を超えるキャラクター(チャイルド)たちとのシナリオを楽しみながら、バトルを繰り返していくのが、本作のゲーム内容。
育成要素もあり、育てるほどに個別シナリオも解放され、深みを増していく。
コンテンツ数も膨大で、やれることがたくさんある。
他プレイヤーとの対人戦なども充実しており、簡単には遊び尽くせない。
メインシナリオだけでも膨大な数が用意されているが、サブシナリオなど脇道も充分に用意されている。
ステージのレベル変更もでき、やり込み度も半端ない。
イベントステージやダンジョンなども随時更新されており、思わず嬉しい悲鳴が上がる。
グラフィックや音楽
グラフィックはもはや必見といえる圧巻の超高クオリティ。さらに音楽が良く、演出もスタイリッシュで実にかっこよく、かなり「酔える」ゲームになっている。
ボイスもあり、小清水亜美やたかはし智秋といった熟練の声優たちによるセクシーボイスや、黒沢ともよや小澤亜李といった人気若手声優によるキュートボイスを堪能することができる。
また前述にもある膨大なテキストは、量だけでなくクオリティも高く、良質のアドベンチャーゲームをプレイしているかのような満足感を味わうことができるだろう。
キャラクターデザインがちょっと刺激強めというか、かなりエッチな感じなので、苦手なユーザーは注意が必要。
主人公を筆頭にカッコイイ男性キャラクターも多いのだが、女性ユーザーが入り難くなっているような見た目がちょっと惜しく感じられてしまう。世界観や設定はどちらかといえば女性向けの雰囲気であるから、なおさらである。
総合評価
独特の存在感と強い魅力を持った作品。そのぱっと見でわかる「派手さ」故に、好き嫌いが大きく分かれてしまうところがあるのかもしれないが、ちょっとプレイしてみて「ハマった」のなら、ズブズブと沼に入り込んでしまうかも。とにかくボリュームのある作品であり、ストーリーにプレイヤーを引き込む力があるので、止め時を失ってしまうのには注意が必要だ。
ただバトルのテンポがとにかく良く、1ステージにかかる時間が短いのは、またスマートフォン向けゲームらしく、高評価できる点といえる。
それでいて、リアルタイム制の中で、絶妙のタイミングを狙ってスキルを発動させていくゲーム内容は、かなりの躍動感と爽快感を覚えるものになっており、独自性の高い面白さを味わうことができる。
試してみて好みに合ったならば、味のあるアドベンチャーとスピード感溢れるバトルを楽しめる良作となることだろう。