本作は、アニメ化もされ、シリーズ累計800万部の売り上げを誇る大人気ライトノベル「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」を題材としたスマートフォン向けRPGである。
これより以前に「クロス・イストリア」というタイトルのゲームも配信されているが、それとは開発元が異なり、作品世界をより忠実に再現した王道RPGとして新たに作られている。
アニメ版のスタッフによる描き下ろしイラストや原作者によるコメントなどもあり、作品ファンにはたまらないゲームといえるだろう。
ストーリー
原作をゲームとして再現することを第一とした作りになっており、メインクエストでは原作シナリオやアニメ版エピソードを追体験することができる。
その冒険の内容は外伝作品である「ソード・オラトリア」にも及んでおり、アイズ編やレフィーヤ編なども体感できるという、作品ファンを間違いなく満足させてくれる内容といえるだろう。
またゲームの独自性として、キャラクターそれぞれと自由に交流していくコンテンツも用意されており、ゲームオリジナルの台詞や掛け合いなどを堪能することもできる。キャラクターのファンにとっては最高の楽しみとなるはずだ。
ゲームシステム
コンテンツ数はそれほど多くないが、対人戦を楽しめる闘技場や、やり込み度を上げてくれる鍛冶屋など、スマートフォン向けRPGによく見られるものは一通り揃えられているといった印象を受ける。
キャラクターをガチャで獲得したら、好きなようにパーティを組み、冒険へと出かけよう。
冒険には原作を追体験できるステージが用意されており、スタミナ消費で挑戦することができる。
ステージ数は多く、クリア報酬の異なるレベル変更も可能なので、やり応えは充分だ。
ステージは一本道で、ただ左にスワイプしていくだけでいい。めんどうであればオートラン機能を使用しよう。
敵と数回エンカウントした後、最奥のボスモンスターを撃破すればクリアとなる。
バトルは王道のターン制コマンド選択式。ちょっともっさりしたものになっているが、倍速機能もあるのでサクサク進めていくこともできるだろう。
キャラクターはバトルで経験値を獲得してレベルアップしていくだけでなく、固有のステータスボードで好きなように育成していくことも可能。
育てるほどに個別シナリオやボイスなどを解放していくことができ、着せ替えを楽しんだりもできるようになる。なので、好きなキャラクターから率先して育成していこう。
グラフィックや音楽
クオリティはなかなかのもので、特にグラフィックにはかなり満足感を覚えられる。バトルはシンプルな横画面で構成されていながら、演出が鮮やかなので、軽妙さと爽快感が上手く融合しているように感じられた。
ところどころアニメ版の使いまわしも見えているが、見せ方が上手いので、強いこだわりがなければそれほど気にならないかも。
あとはとにかく拠点におけるキャラクターとの交流コンテンツの完成度が高く、作品ファンであればこれのおかげで全てを許してしまうのではないだろうか。ゲームオリジナルのシナリオや台詞、物語が楽しめるだけでなく、着せ替えまでできるのには高評価を付けるしかないだろう。
総合評価
原作をよく理解して丁寧に作り上げた内容や交流コンテンツにより、作品ファンなら間違いなく楽しめるゲームとなっている。
ただRPGとしては、どこまでも一直線でしかないダンジョンや、シンプルな操作とシステム故に発生してしまうバトルの単調さなど、マイナス点が多く、あまり高くは評価できないだろう。
また制作会社が同じとはいえ、大作RPG「アナザーエデン」のシステムやゲームデザインなどをそのまんま流用している点も、かなりガッカリしてしまうところであった。
基本的にはシングルプレイで黙々とストーリーモードを進めていくというゲーム内容なので、やはり原作ファンか、アニメ版を見たことがあるユーザーにしかオススメできないか。
もちろん、誰でも遊ぶことができるシンプル性により、このゲームを原作の入り口とするユーザーもいるかもしれない。
導入部があっさりで、すぐにガチャも引けるので、まずはお試しでプレイしても、決して損はないだろう。