本作は、第2次世界大戦にて活躍した将校ら名立たる英雄たちを女体化し、実在の戦車に乗せて戦わせるといった、美少女×ミリタリ作品である。
ジャンルはストラテジーゲームで、基地造りとバトルをひたすら繰り返すという、スマートフォン向けゲームではもはや定番となったスタイルなので、おそらく誰もが遊び易いと感じられるはずだ。
キャラクターには有名イラストレーターによるデザインや、美麗なグラフィック、そして豪華女性声優陣がキャスティングされているので、ストラテジーゲームやミリタリ好きだけでなく、美少女ゲームファンやアニメファンや声優ファンなどといった層にも響くものになっている。
ストーリー
ゲームの舞台となるのは、第2次世界大戦中に起きた「何か」によって崩壊してしまったという架空世界。
そこでは歴戦の英雄たちが皆どういうわけか女体化しており、わずかに生き残った人類であるプレイヤー、そうした英雄たちと戦車を率いて、世界大戦を継続していくことになる。
美少女キャラクターを用いているが、その世界観は重苦しく、随所にSF的な謎も散りばめられており、かなり奥深い。
ただ冒頭以外は特にストーリーが展開せず、キャラクター個々のシナリオもあまり掘り下げられないので、謎ばかりが蓄積していくという様相を呈している。今後に進行していくのかはわからないが、今のところは物語を重視するプレイヤーには向かない内容となってしまっている。
ゲームシステム
ゲームを開始すると、まずはチュートリアルとなる。ナビに従って操作し、ゲーム内容を知っていこう。
まずは基地を発展させ、資源を多く回収できるようにし、次はその資源を使って様々な施設を建設していこう。
並行して、防衛設備の強化も行なっていく。
他プレイヤーが侵攻してきた際、資源を守るためにも、撃退できるような強固な基地造りを目指していく必要があるのだ。
もちろん、こちらもまた、他プレイヤーの基地に侵略戦争を仕掛けることが可能。
なので、さらに侵攻のための軍備も整えていく必要がある。
戦車は研究によって入手できる設計図を消費して製造していく。
そしてそれに搭乗するユニットはガチャで入手。
戦車とキャラクターの相性やスキルを組み合わせ、強力な進軍ユニットを作り出すのだ。
バトルはフルオート。プレイヤーがやることは初めの配置だけなので、開戦前によくよく自軍ユニットの動きや特性を理解し、相手の基地陣形に合わせた戦略的配置が必要となるのである。
グラフィックや音楽
グラフィックや音楽など、全体的にクオリティは高く、キャラクターゲームとしての完成度は高い。
戦車の3DCGなども細かいところまできちんと描写しており、ミリタリ好きも納得できるのではないかとは思うが、しかし歴史上の人物を安易に女体化しているという点は反発を覚える人も多いのではないかと思う。
また前述の通り、各キャラクターの掘り下げがなく、元ネタに依存しきっているところもあまりよろしくない。現実と空想はもっとハッキリと分けた方が、プレイする方は世界に入っていき易いはずだ。
それでも各キャラクターにつけられた豪華声優陣による豊富なボイスの数々はたいへん魅力的で、その声の力によってキャラクター性がきちんと確立していると感じる人もいるか。ミリタリ系アニメではお馴染みの田中理恵、伊瀬茉莉也、井口裕香などが揃えられており、ガチミリ系のユーザーよりも萌えミリ系のユーザーの方がゲームに親しみを感じられるのかも。さらに小松未可子、高森奈津美といった若いファンの多い女性声優もいるので、どちらかといえばミリタリ好きよりはアニメ好き向けの内容といえるのかもしれない。
総合評価
キャラクターゲームとしては実に良くできているし、ストラテジーゲームとしてもまぁ悪くはない。ただキャラクターや世界観、そしてゲーム設計や設定に甘いところが多くあり、どうにも「浅い」ゲームとなってしまっている。佳作になりきれなかった作品というか、どうにも評価が難しいところがある。全体的にはかなりクオリティが高いだけに、なおのこと惜しく感じられてしまう。
しかしそれでも、その浅さ故に気軽にプレイできるような雰囲気もある。ミリタリ好きや歴史好きほど反発してしまうところがあるかもしれないが、アニメ好きや声優好きなどの層や、ガルパン以降にこのジャンルに初めて触れたようなライト層には、ちょうどいい塩梅の「戦車を題材としたゲーム」になっているようにも思える。
こだわりさえなければ、かわいい美少女に癒され、カッコイイ戦車に熱くなれるという、息抜きにちょうどいいゲームになるだろう。