本作は、様々な客のオーダーに応えて調理し、世界中の様々な地域にお店を出店していくといった、パズルゲームの要素を持つクッキングシミュレーションゲームである。
基本点にはタップするだけと、誰でも遊ぶことができるきわめて簡単なゲーム内容であるが、殺到する注文にスピーディーに対応していくためには、料理の手順を暗記し、素早く的確にタップしていかなければならず、記憶力や反射神経などの能力が求められる。なかなかに歯応えのあるゲームだ。
そうなると、プレイする人を選んでしまう難易度の高いゲームかと思ってしまうかもしれないが、獲得したコインで調理器具や素材をアップグレードすれば、パズルやアクションが苦手なプレイヤーでも充分に対応できる余裕が生まれてくる。
簡単なステージに戻ってコイン稼ぎもできるので、ライトユーザーでも存分に楽しむことができることだろう。
そうして攻略を重ね、エリアを進んでいけば、新しい地域の、新しい素材を使った、まったく新しいジャンルの料理を作ることもできるようになる。
どの料理もたいへん美味しそうなので、思わずお腹が鳴ってしまうゲームである。
ストーリー
ストーリーは特に用意されていないが、様々な国の様々な料理がプレイヤーを待っている。
フードトラックから始まって、ハンバーガー屋にシーフードレストランと、バリエーション豊かで、次はどんなお店ができるのかという楽しみが常にある。
また来訪するお客さんたちも、たいへん個性的で、面白おかしい。
マップ画面の、細やかに描かれた街や人の様子を見ているだけでも楽しい気分になれるだろう。
ゲームシステム
とにかくステージをクリアしていくといった、パズル作品らしい構成。
進みつつ、黄金のカードを集めていけば、新しいお店やボーナスをくれる施設などを建設することができる。
基本はタップだけ。やってきたお客さんの注文に合わせて調理をし、提供してこう。
ステージには人数制や時間制、または設定された数の「イイネ!」の獲得を目指すなど、様々な形態が用意されている。
ステージクリアの報酬で獲得したコインを使って、店の調理器具や食材をアップグレードすることもできる。
調理器具が良くなれば、手早く簡単に料理することができるようになり、食材が良くなると売値が高くなり、どんどん攻略が簡単になっていく。
先に進み、お店が変われば、メニューも増え、より複雑な料理を作ることもなるので、行き詰ったら前のエリアに戻り、アップグレードのためのコインを稼いでいくのも攻略の1つとなるだろう。
ステージ数がとにかく多く、簡単には遊び尽せない。
進めていけば、東京を舞台にしたマップで、日本料理を作ることもできるようになるようだ。
寿司か天ぷらか……頑張ってクリアしていって、どんな料理を作ることになるのかをぜひとも拝見してみたいものだ。
グラフィックや音楽
おもちゃ箱をひっくり返したような愉快な街の描写、個性的なレストランの内装、そして実に美味しそうな料理の数々と、グラフィックのクオリティはかなり高いといえる。
その料理は、ハンバーガーやステーキなど、カロリーの暴力のようなアメリカン料理が中心なので、調理しながら「これは……ヤバい!」と思わず喉を鳴らしてしまうことになる。
お腹が空いている時や深夜帯などにはプレイしない方がいいのではないだろうか。
とにかく、絵に加えてサウンド面もしっかりしており、油で揚げる音や焼く音もたいへんリアルなので、これが間違いなくトドメとなるだろう。
おそらく、熱々のフライドポテトやジューシーな肉をたっぷり挟んだサンドイッチを買いに、家の外に飛び出してしまうことになる。まったく人を太らせるゲームだ。
総合評価
パズルゲーム好きや料理を題材にした作品が好きなユーザーを中心にオススメできる良作。
だが、たいへん腹が減る、という危険なゲームでもある。
難易度の高いステージでは、次々と波のように押し寄せてくる客と注文の数を裁くのに必死で、上手くクリアできた時の物凄い達成感を得ることができるのであるが、ちょっと余裕のあるステージだと、じっくりと食材が調理されていくところを見学できてしまい、胃袋が刺激されるのを感じるばかりとなる。
のっけから、油で揚げたドーナツにべっとりとチョコクリームを塗りたくり、そこにさらにシュガーパウダーを振りかけるという、もう「アメリカ!」と絶叫したくなるスーパーハイカロリーフードを作ることになるので、現実でも作ってみようかなぁなんて絶対に思わないように心がけよう。こんなものを作って食べたら、間違いなく成人病に直行である。ああでも本当に美味しそう。なんとも困ったゲームだ。