ファイナルファンタジーシリーズの生みの親ともいえる坂口博信氏、そして同シリーズの音楽を手がけてきた植松伸夫氏、さらにSaGaシリーズなどの音楽を作り上げてきた伊藤賢治氏など、ゲーマーなら誰もが知るようなクリエイターたちがドリームチームを結成して制作したのが、本作「テラバトル」である。
随所に強く深いこだわりを感じられる王道のファンタジー世界を舞台に繰り広げられるのは、戦略パズルRPG……壮大な音楽をバックに、戦略性戦術性の高いパズルゲームと、硬派な王道RPGを楽しむことができる作品だ。
ストーリー
舞台は大地が崩壊しつつある世界。
そこでは人間種を中心に、ケモノやトカゲの亜人種たちが暮らしている。
プレイヤー(主人公)はそんな世界で、崩壊を止めるために、大いなる力を持った存在である「神」を探して旅を続けているのであった。
手掛かりは、神は大地の奥深くにいる、ということだけ。
旅の中で、歴史の真実を知るプレイヤー……その果てに待つのは、光か、無(ゼロ)か……
……と、王道のダークファンタジーという構えで、重厚なシナリオが展開していく。
まさしく本格RPGといった作りだ。
公式のアプリ紹介
ゲームシステム
広大な世界を、1歩1歩進んでいく。
ステージ数は多く、やり応えは充分。
メインクエストを進めるほどに、物語は劇的に転がっていく。
そうした物語はイラストと文字だけで淡々と語られていくだけだが、それがかえって良い雰囲気となっているようにも思う。
最大6人のパーティを組んだら、いざバトルへ。
8×6のマス上に、ランダムで配置されるキャラクターを自由に動かし、敵を挟み将棋かオセロのように挟み込めると、敵を攻撃してくれる。
その時、味方キャラクター同士の位置関係や、マップ上に配置されたアイテムやボーナスパネルとの組み合わせで、連鎖が組み上がると、より強大な一撃を相手に与えることができる。
さらにキャラクターにはジョブが設定されており、ジョブ同士の相性や、固有スキルの効果など、様々な戦術要素が盛り込まれている。かなり奥深いゲーム性といえるだろう。
メイン以外にも、サブクエストやおまけのコンテンツ、イベントや限定クエストなど、盛りだくさんの内容。
ゲーム外の要素まで含んだ特別企画なども度々用意されるなど、かなり活発な運営であるという点にも、大いに注目することができるだろう。
キャラクターは主にガチャで入手できる。ステージを進めれば進めるほど、ガチャを回すのに必要な課金エネルギーが入手できるので、どんどんクリアを重ねていこう。
また本作のキャラクターは、基本設定の上に、追加でジョブ設定を付け足したり変更させたりなど、育成面でも自由度が高く、やり込み度が高いというだけでなく、純粋に育成が面白いと感じられるのであった。
グラフィックや音楽
全体的にクオリティが高く、やはりまずは音楽の素晴らしさが第一に挙げられるだろう。音の力で、あらゆるシーンに力が与えられているようすら思えるほどだ。この楽曲の数々を聴くだけでも、この作品をダウンロードする価値はあるといっても過言ではない。
グラフィックも重厚感があり、美しく、深みがある。
そんな絵で描かれるキャラクターたちは、武骨な騎士や老翁、獣人や召喚獣といった者たちだけでなく、実に可愛らしい女性キャラクターや、マスコット的なファンシーキャラクターまで、多種多様なデザインが満遍なく揃えられている。
そしてそのキャラクターも、かなり設定を練り込んでいて、たいへん奥行きがあり、RPG好きにはかなり響くものがあるようにも思う。
総合評価
完成度の高い、そして志の高い、良質のゲームである。
特に古典的RPGが好きなオールドファンには、大好物といえる内容だろう。
ただそれだけではなく、パズルとの融合も実に上手くできているので、1つの新しいパズルRPGとしてもきちんと成立している。これを魅力的に感じるのは若いユーザーの中にもいるはずだ。
とにかく1ゲームの濃密さ、1バトルクリアの達成感、といったものがしっかりと設定されおり、ちょっとしたクエスト1回でも、遊んでいての満足度はかなり高いといえる。
だがそれだけに、カジュアルさを求めるライトユーザーには不向きいえるところもある。本作では集中力が不可欠になるので、何か他のことと並行しての「ながらプレイ」などは決してできない。
重苦しいゲーム、手間のかかるゲーム、時間がかかるゲームは望まない、というユーザーも多いのが事実。合わない人も多いことだろう。
そういった意味では、かなりプレイする人を選んでしまう作品であるのかも。
感性が適合したプレイヤーにはとっては、待ってましたとばかりの、最良の作品となることだろうが。