『イザナギオンライン -Samurai Ninja-』は2013年10月25日より正式サービスを開始したスマートフォン向けの本格アクションMMORPGで、主にFPSゲームで採用されているエピックゲームズ開発の「UNREAL ENGINE 3」を使い、リアルな質感を表現した特徴的なグラフィックを動かすことを可能としている。
美しいグラフィックのまま躍動感溢れる激しい動きでバトルが展開し、その操作のアクション性もきわめて高く、携帯端末でありながら臨場感あるゲーム体験ができる。
日本色が前面に出たアクションRPG!
ストーリー
舞台は人類が衰退し、文明が滅びつつあるという退廃的世界。かつての文明の跡を見るかぎりでは未来の地球というところなのか。
文明憲章や第五大陸などという難解そうな用語がたくさん出てくるが、話を進めないとそれらの意味はよくわからない。だがそれは、それだけ世界設定が作り込まれているという証拠でもある。
主人公たちは忍術使いと呼ばれる裏世界で暗躍していた者たちで、大陸を跋扈する魔物たちを狩るために表舞台へと駆り出されたようだ。
忍術、というわりには職業がウォリアーにクレリックと西洋風RPGのそれで、和風な世界観とのミスマッチがまた一段と味になっている。
ゲームプレイ
ゲーム開始すると、まずはプレイヤーキャラクター作りとなり、性別に顔に肌の色、髪型に髪の色、そして職業を選択する。
職業は和風な世界観にミスマッチしたような西洋風のもので味わい深い。
初期職業はウォリアー、アサシン、クレリック、メイジの4職。
まず注意しなくてはならないのが、普通はウォリアーといえば近接物理攻撃の戦士と思うところであるが、本作では「盾役」であるので、知らずに選択するとびっくりしてしまうだろう。
逆に、よくあるオーソドックスな近接物理攻撃の職は何かというと、なんとアサシンがそれなのであった。そんな馬鹿な・・・・。
戦闘システム
さて戦闘システムであるが、画面に表示された仮想パッドをタップするだけで攻撃することができる。ATTACKボタンは通常攻撃、その上に並んでいる小さなボタンは固有スキルだ。
スキルは時間でチャージされる方式で、回数に制限はないので、積極的に使用することができる。タップ一つでド派手なアクションを起こすことができるのは魅力的だ。
しかしこの攻撃ボタンが妙に押し難いというのがこのゲーム最大の欠点である。どうしてATTACKボタンのすぐ上が、スキルボタンではなくジャンプボタンと特殊アクションボタンなのか理解に苦しむ。
操作に慣れてきても、あまりに微妙な位置にあるものだからつい押し間違えて、望み通りの行動をとることができない。これはたいへんな苦痛であった。
プレイした感想
ゲーム性も薄いと言わざるをえないところが険しい。
とにかくクエストがおつかいばかりで味気なく面白味もなく、装備を集める楽しみも集まってきた頃にはそれを発揮できるクエストがなくなって何の意味もなくなってしまうのだ。
ゲームバランスが未調整なのではないかと思ってしまうくらいの微妙さがある。
グラフィックが素晴らしく、システム面もそれほど悪くはないというのに、操作性の悪さとゲーム性の薄さが悉く足を引っ張っているような印象。
プレイヤー同士でコミュニケーションを取るために用意されているエモーション(画面ブルタップすることで表示)に、なぜか「切腹」があったりと、この珍妙な世界観はとても楽しいものに思えるのだが・・・・。
キャラクターデザインには『サマーウォーズ』のアバターデザインや、『ニンジャスレイヤー』のポスターデザインなどを手がけた岡崎能士氏が起用され、独特な世界観にマッチングしたオリエンタルなデザインで彩られている。
そうしたデザイン性の高いキャラクターたちが「UNREAL ENGINE 3」によって躍動感溢れる動きを見せ、迫力のある戦闘シーンを繊細で美麗なグラフィックで展開してくれる。
総合評価
アクションのヌルヌル感や、スキル発動の派手さなどはクオリティの高さがうかがえる作品であるが、いかんせん操作性が悪く、何故こんな押しにくいボタン配置にしてしまったのか不思議でならない。
そうなるとせっかくのアクションの自由度の高さがアダとなり、なかなか上手く操作が出来ずに連動性に欠け、ストレスを感じてしまう。
そして、おつかいばかりを指示されるクエストのつまらなさは苦痛でしかない。クエストの日本語訳は「探求」だったはずだが、イザナギオンライン上では「おつかい」として捉えられているのだろうか・・・。
またそのクエストの案内も、矢印が表示される割には障害物越しに示すなど、あまりアテにはならないのが困りもの。
せっかくの美しいデザインとグラフィック、そして作り込まれた和風テイストの世界が、たいへんもったいなく感じる。ゲーム全体としては悪くはないのだが、操作性の悪さが全てを台無しにしてしまっているだろう。