任天堂とインテリジェントシステムズによる大人気シリーズ「ファイアーエムブレム」が、ついにスマートフォンゲームにて新作が展開することになった。
本作は、25年以上にも及ぶ長い歴史の中の、あらゆるタイトルのキャラクターたちが集い、時には味方として、時には敵として、出会いと別れを繰り返すことになるという、いわゆるオールスター作品である。
内容はシリーズ従来のターン制戦術シミュレーションゲームとなっており、成長システムや3すくみなども勿論そのまま。
だがスマートフォンという土台に合わせて、マップは狭く、投入できるユニット数も少なかったりと、かなりコンパクトな仕様に変更されている。
またシリーズ独特の難易度としてお馴染みである、キャラクターロストや武器の消耗などといった部分も削られており、誰でも気軽に遊べるスマートフォン向けシミュレーションRPGとしてカジュアルにアレンジされているといった印象を受けた。
ストーリー
舞台はファイアーエムブレムらしい中世ヨーロッパ的なファンタジー世界。
プレイヤーは世界を超えられる扉の存在する世界に導かれ、英雄を召喚することができる召喚士として、世界の秩序を守らんとする特務機関「ヴァイス・ブレイヴ」の一員として迎えられることになる。
敵は扉の力を使って、あらゆる世界を支配せんとする「エンブラ帝国」
プレイヤーは召喚の力を使い、ファイアーエムブレムの様々な世界から英雄たちを呼び寄せ、味方にし、心を通わせ、邪悪に対抗するための軍団を作り上げるのだ。
公式のアプリ紹介
ゲームシステム
コンテンツ数はまだまだ発展途上の中にいるような感じだが、既に闘技場などの対人戦を楽しめるコンテンツが用意されており、遊び応えは充分にある。
ステージ数も、配信から間もないというのに、メインだけでも既に多くが用意されており、難易度変更も自由。
また日替わりでキャラクターを集められる英雄戦や、効率よくレベル上げができる修練の塔など、バリエーションも豊かだ。
ステージ攻略はタップ&ドラッグ操作だけの簡単なもの。敵AIの速度も速く、1ステージのテンポはかなり良い。
攻撃時にはシリーズお馴染みのアニメーションは挿し込まれ、迫力ある戦闘シーンを体感できる。
お馴染みの成長システムも健在。1度にたくさん上がればとても嬉しいが、ステータスが1つしか上昇しないというなんとも残念なカス成長が起こった場合、多くのキャラクターが申し訳ないと謝罪する姿が見られる。シリーズファンは思わずニヤリとしてしまうところだ。
グラフィック
グラフィックはなかなか良く、高品質。とりわけ歴代キャラクターたちは見事な現代的アレンジを施された美しいイラストで描かれており、キャラクター集めがついつい捗ってしまう。
若干キャラクターデザインに統一感がないようなところも見えているが、それは作品それぞれの個性を最も活かした形であると受け止めればそれほど気にはならなくなる。
またそんなキャラクターたちには、豪華声優陣によるボイスも搭載されており、より魅力と豊かさが増している。
そしてとにかく見易く遊び易いゲームデザインは、カジュアルなゲーム内容をより明快にしており、たいへんクオリティが高い作品だと多くの者が感じ取ることだろう。
総合評価
オールスター作品というファン向けのコンセプトであるにも関わらず、丁寧に作り上げられたことによる分かり易さと遊び易さ、そしてカジュアルにまとめられたゲーム性と、マイルドにされた難易度によって、シリーズに初めて触れる者の入門作品としても機能すること間違いなしといえるのではないだろうか。本作は誰でも気軽に本格戦術シミュレーションゲームを楽しめる良作である。
ただそれだけに、シリーズのコアなファンにとっては、あまりにもぬるすぎる難易度であり、物足りない作品となってしまっているところもある。特にロストなしや、スマートフォン向けRPGらしい育成要素には、これはファイアーエムブレムではない!と言いたくなってしまう気持ちもよくわかる。
スペシャルステージなどにそういった歯応えを求めるプレイヤー用の趣向を凝らしているが、それでもやはり難易度は低く、また繰り返される同じにマップと敵ユニットには飽き飽きしてしまうところもある。
さらにデイリーマップなどでキャラクターが入手できるものの、やはり基本はガチャに依存した、旧来的スマートフォン向けゲームのシステムを採用してしまっている点もかなり惜しく感じられる。
しかしながらそこはさすが世界の任天堂というところか、ユーザーから溢れ出てくる様々な不満や意見を拾い上げ、すぐさまシステムを改良したり、仕様を見直してくれるなど、たいへん対応が素晴らしく、どんどん更なる良作へとアップデートしていくのである。上記の問題点も、全て解決してしまうかもしれないと思えるほど、信頼感のある作品だ。今後の展開もまだまだ見逃すことはできないだろう。