フォワードワークスより配信されている本作は、大人気シリーズ「勇者のくせになまいきだ。」のスマートフォン向け新作で、従来のダンジョン経営シミュレーションRPGではなく、3マッチ式パズルゲームと大きく形を変えている。
ただキャラクターや世界観を利用しただけのまったくの別物になっているというわけではなく、パズルのゲーム性と召喚システムの絶妙な融合や、捕獲した勇者を強制労働で使い潰すことで素材を掘り当てるなど、新たに趣向を変えたシリーズ最新作であるといえるものになっている。
またパズルは、的確な判断力と対応力が求められる、なかなか骨太な内容で、手応えも抜群。パズルゲーム好きも大いに楽しめる作品だ。
ストーリー
ストーリーは、魔物を育成しつつ勇者を撃退して世界征服を目指すという、これまでの作品と同じ流れになっている。
相変わらず楽屋ネタやパロディ連発のテキストで、ゲーム好きほど思わず吹き出してしまうこともあるかも。
魔物は300種類以上、勇者は500種類以上という大ボリュームなので、やり込み要素はかなりある作品といえるだろう。
図鑑の愉快なテキストを読んでいくだけでも楽しいので、ぜひともご覧になっていただきたい。
ゲームシステム
笑いの絶えない明るい職場。
プレイヤーは破壊神として勇者から魔王を守りつつ、世界征服達成のためにサポートしていくことになる。
序盤はミッション達成報酬を稼ぎつつ、魔王軍強化を目指していくことに集中しよう。
ダンジョンはメインの他にも曜日ダンジョンやイベントダンジョンなど様々あり、ボリューム満点。
まずはメインの初めのダンジョンでパズルゲームに慣れていくことが肝心。
パズルは不要なブロックをタップで消去し、同じ魔物を3つ以上繋げて召喚するといった内容になっている。
勇者は地下深くの魔王目指して黙々と歩いてくる。たどり着かれた時点で負けとなってしまうので、手早くパネルを繋げて攻撃を加えていく必要がある。
ただしやみくもに消すだけでは勇者の反撃をくらい、盤面にお邪魔ブロックを投入されてしまう。スピードだけではなく、的確にコンボを発生させられる正確性も必要となるのだ。
上手いこと勇者を撃退できれば、捕獲して「採掘」のための「労働力」とできる。
採掘に送れば、勇者の能力に応じて魔物や素材を獲得することができる。
ただし送った勇者は、何故かその1回で「いなくなってしまう」ので気を付けよう。
逃げた? あー、うん、そう…だね……きっとそうだと思う…よ?
グラフィックや音楽
シリーズお馴染みの「拘りのドット絵」は今作でも健在。どのキャラクターも実に個性的な動きを見せてくれる。
良質なテキストもあり、相変わらずプレイしているととても楽しい気分になれるゲームである。
シリーズファンとしては、破壊神であるプレイヤーに対する「魔王」や「ムスメちゃん」のトークには、もはやほっとできるような安心感すら覚えるのであった。
総合評価
正直、ゲームジャンルを変えてきたのには初め戸惑いを覚えていたが、実際にゲームをやってみると、驚くほど自然に受け入れることができ、これまでもこういうゲームだったかと思うくらいすんなりとプレイできるようになっていた。シリーズファンも納得のデキといえる作品といえるだろう。
またパズルとなったことで、誰でも気軽に入ってこれるような雰囲気にもなった。今作で初めて触れるというユーザーでも、世界観さえ合えば問題なく楽しめるはずだ。
1ゲームにかかる時間が少なくなったのも、優秀なスマートフォン向けゲーム化と称賛できる。たしかに従来の設計では、腰を据えてプレイしないと難しいところがあった。間違いなく正しい判断であったといえるだろう。
ただ入り口の敷居こそ低くなったとはいえ、高めの難易度は健在。簡単パズルゲームやお手軽RPGにはないゲーム力が必要となるので、やはりヘビーユーザー向けといえるのかもしれない。
それだけにパズルゲーム好きにこそオススメできるともいえる。アクティブなコンボがクリアに必要不可欠など、腕に覚えがある人ほど挑戦していただきたい作品なのである。