本作は、日本一ソフトウェアの『魔界戦記ディスガイア』シリーズと、クローバーラボの「ゆるドラシル」といった互いの代表作をクロスオーバーさせたコラボ作品で、ゲーム内容は5×6マスのミニマップでバトルするというお手軽シミュレーションRPGとなっている。
どちらかといえばディスガイアの方に重きが置かれている印象があり、独特の雰囲気やデザイン、そしてパロディ多様の台詞回しなど、まるでディスガイアの新作をプレイしているかのような心持ちになる。
主人公もディスガイアから。長いシリーズの中で「永遠の次回作主人公」といわれ何度も苦渋を噛みしめてきた不憫な少女「朝霧アサギ」が、ついに本当に主人公の座につくという、ファンならば涙なくしてはプレイできないものになっている。いや、実は嘘でしたとかではない。本当にちゃんとした主人公だから安心してほしい。
ストーリー
ごく平凡な女子高生として平凡な日常を送っていた朝霧アサギ……しかしある時、妙な夢を見て、目が覚めたら、なんとそこは「魔界」
そして、現れた「豊穣の女神フレイヤ」と名乗る女性から「魔界の神として貴女は迎え入れられた」と言われたアサギは、なし崩し的に魔界の神として生活していくことになってしまうのであった。
ディスガイアシリーズでお馴染みの魔界王子ラハールや天使見習いフロンなども続々と登場し、世界を巻き込んだドッタンバッタンの大騒ぎがどこまでもコミカルに展開していくことになるので、きっと楽しくゲームを進めていけることだろう。
ゲームシステム
チュートリアルを終えたら、どんどんクエストを進めていこう。
周回プレイ以外ではスタミナを消費しないよう設定されているので、好きなだけストーリーを進めていくことができる。これは嬉しい。
ただ、まだまだ発展途上といえる作品で、コンテンツ数は少ない。
今後はアリーナなどの対人戦コンテンツが実装されるとアナウンスが出ている。
メインクエストの前後にはアドベンチャーパートが挿入される。
残念ながらまだボイスが未実装で味気なさは感じられるかもしれないが、愉快なテキストやアグレッシブな展開は見もの。
バトルはターン制で、順番ごとにユニットをタップで移動させ、敵に攻撃していく。
各ユニットごとに異なる特性や攻撃範囲などを効率よく利用し、敵を撃破していこう。
ボスはなかなかの強敵で歯応えアリ。勝てない時は編成や陣形などを見直したり、育成したりして準備を整えよう。
ユニットはガチャで獲得できる。
チュートリアル後の初回ガチャは引き直しもできるので、好きなキャラクターがいるなら粘ってみるのもいいだろう。
レベルだけでなく進化や覚醒など、スマートフォン向けゲームによくある育成要素がきちんと用意されているので、お気に入りを使い続けていくことが可能だ。
グラフィックや音楽
それぞれ個性の強い作品同士をコラボさせてはいるが、キャラクターデザインをディスガイアのタッチに統一していたりと、違和感をなくすためになかなか思い切りのよい方針をとっており、素直に感心する。クオリティも高く、どちらのファンも納得のいくものになっているといえるだろう。
ただボイスが未実装であったり、コンテンツが不足だったりと、ほとんど未完成のままリリースされてしまったような感もある。これから実装していくとアナウンスはあるが、熱心なファン以外が気長に待ってくれるというのは難しいような気がする。
良質なテキストなど、全体的に雰囲気が良いだけに、余計に惜しく感じられてしまった。
総合評価
「魔界ウォーズ」のタイトルが発表されたのは実は2004年……それから14年ごしについにリリースされたということで、たいへん感慨深く思えるのであるが、しかし前述にあるような未完成具合がなんとも残念で、とにかく惜しいとしか言葉が出てこない。
しかしそれでも、スマートフォン向けゲームとしてよく考えこまれて作られたと思えるテンポの良いシミュレーションRPGバトルや、クエスト初回にはスタミナ消費なしなどのユーザーフレンドリーな設定、分かり易く遊び易いメニュー画面など、良いところもたくさんある。
ディスガイア、あるいはゆるドラシルを愛するファンは、ぜひとも気長にアップデートを待ってほしいところである。