本作は、最弱モンスター「ガンボル」(いわゆるスライム)を操って、ダンジョンを攻略し、拠点をアップグレードし、強化していくといった、ローグライクダンジョンRPGである。
「Dungeons&Gumballs(ダンジョンズ&ガンボル)」という海外産ゲームをローカライズしたものであるが、ローグライク方式は日本人も慣れたもの。特に違和感もなくプレイできることだろう。
またそうしたダンジョンは、1フロアが5×6マス形成されており、たいへんテンポよくプレイできるのが特徴的。
スマートフォンという環境に適した作りになっているので、ちょっとした休み時間や移動時間にも、満足感のあるプレイが可能となっている。
ストーリー
舞台や世界観こそ王道のRPGだが、本作の主人公は勇者でも魔王でもなく、ただの雑魚モンスター「ガンボル」で、物語の中のやられ役にすぎない。
ある日、あるガンボルが勇者に遭遇してしまい、殺されそうになり、逃げ回っていると、崖から落ちてしまった。
軟体モンスターである彼は、崖から落ちても死ぬことはない。それでなんとか勇者の手からは逃れることができたのである。
そして彼は、落ちた先で、黄金の眠る洞窟を発見する。
今ここに、ダンジョン攻略の大冒険譚が幕を開けるのであった!
ゲームシステム
ゲームをスタートすると、漫画絵のような演出のオープニングが始まる。
主人公のガンボルは一切喋らないが、アイコンや動作、オノマトペから、なんとなく感情や状況を理解することはできる。
オープニングにも描かれている初めのダンジョンは、チュートリアルといったところで、すぐにクリアすることができる。
するとそこを拠点として、ガンボルは様々なダンジョンに挑むようになるのである。
ステージはなかなか豊富にあり、やり応えは充分にあるといえるだろう。
ダンジョンは、明るく表示されているマップをタップで開き、次のフロアへと進むためのカギを探すことが目的となる。
開いたマスの隣が新たに開けられるようになるのだが、時にはモンスターやトラップなどが出てくることもある。
モンスターを倒さなくては次のマップを開けることもできないし、そもそもカギを隠し持っていることもあるので、戦闘を避けることは難しい。
ホーム画面となる拠点では、錬金やアイテム精製などができる。
そのためにはまず、施設を建て、アップグレードし、職人や偵察隊といった役割のガンボルを雇い、拠点を発展させていかなくてはならない。
また主人公のガンボルは、ダンジョンや偵察で手に入れた食材を調理することで、成長させることが可能。
冒険者や剣士など、100を超える様々なジョブにクラスチェンジすることができるのである。
グラフィックや音楽
グラフィックはまずまずといったところ。取り立てて美麗だとか動きが良いということもなく、シンプルゲーム程度といったもの。
ただ、モンスターや装備ンなどのバリエーションはそこそこ豊富で、ボリューム感はある。
演出やサウンド、操作性やバトルの手応えに、ややチープさがあるが、お手軽感はあり、とにかくテンポよくサクサクとプレイしていくことができる。
とにかくやれることが多いのは魅力的だが、メニュー画面など、ゲームデザインが全体的にちょっと分かり難く、さらにチュートリアルの作りも甘くて、よくわからない部分も多いというのはマイナス。
色々と足りないところが見つかってしまうクオリティだ。
総合評価
ゲームのコンセプト自体は素晴らしく、とにかくやり込み度が高くて、やりがいがある作品。特にハクスラやローグライクなどのスルメゲームを好むヘビーユーザーにはうってつけの作品といえるだろう。かなり長く遊んでいけるはず。
ただ前述にあるように、そこに全体のクオリティがついていけていないのが実に惜しい。これではせっかくテンポよくサクサクできるゲームなのに、ライトユーザーが入っていき難い。
また自分と相手の攻撃が同時に発生するという、常に相打ちなバトルのシステムにより、攻防の計算や敵の特性、魔法と罠の使用などを、常に考えていなくてはならないという戦略の複雑さがあり、難易度は高く、かなり人を選んでしまうかも。
見た目こそファンシーだが、ヘビーユーザー向けのゲームといえるだろう。