2017年7月からはTVアニメシリーズの第4期が放送開始という、たいへん息の長い大人気作品「戦姫絶唱シンフォギア」
本作は、歌いながら戦うという作品独自の設定を活かしたスマートフォン向けRPGとして作られており、第1期から3期までのストーリーをなぞりつつ、ゲーム版だけのIF展開も楽しむことができるようになっている。
歌をキャラクターに設定することで、パッシブスキル効果をもたらしたりと、シンフォギアらしいシステムが満載の作品。シリーズのファンには、まったくたまらないゲームといえるだろう。
ストーリー
人類を脅かす未知の脅威「ノイズ」
この、人を炭素に変えてしまうという恐ろしい強敵に立ち向かえるのは、シンフォギアという、歌を力に変えて戦うことができる特殊装甲を纏える少女たちだけ。
原作は「立花響」というキャラクターを主人公としたオリジナルアニメシリーズで、既に4期目も作られているという、たいへんファンの多い作品。
このゲームでは、アニメ3期分のストーリーを追体験できる他、サイドストーリーやキャラクター個別のシナリオ、そしてさらに、異なる世界同士を繋ぐ完全聖遺物「ギャラルホルン」によって、様々なIF展開を見せるゲームオリジナルのシナリオまでもが収録されており、テキスト量だけでもかなり膨大なものとなっている。
このシナリオ面の圧倒的ボリューム感が、本作最大の売りであるといってもいいのかもしれない。
ゲームシステム
まずはお決まりのチュートリアル。
ここで原作アニメ視聴済みの方なら、ナビゲート役のこの人に驚いてしまうことだろう。
お前に案内されてもなぁと(笑)
クエストの前後には、膨大なテキスト量によるアドベンチャーパートが挿入される。
メインクエストはアニメ版のシナリオをなぞるので、そのままの絵を使用しているが、サイドクエストやイベントクエストは描き下ろしの絵で物語を楽しめる。
原作でも人気の百合百合なシーンも満載だ。
バトルはオーソドックスなセミオート形式。必殺技などを駆使して、敵を薙ぎ倒していこう。
またユニットにはそれぞれ「楽曲」を装備することができ、この「楽曲」の切り替えでステータスアップなど効果が発生する。いかにもシンフォギアらしい面白いシステムだ。
ガチャで様々なカードを獲得でき、育成することができるなどのシステムは、よくあるスマートフォン向けゲームの仕様であるが、入手した「楽曲」を強化できるという点は、本作ならではのもの。たいへんユニークである。
メインとなるのはストーリーを進めていくコンテンツだが、バトルアリーナなどもきちんと用意されており、今後もますます拡張していく気配がある。
グラフィックや音楽
グラフィックは、基本的には立ち絵がアニメ版のキャラクターデザインによるもので、バトル画面においては半SD調のデフォルメCGとなっており、メリハリのあるものになっている。
ただわざわざバトルのグラフィックを中途半端なSD調にしているのには疑問を持つユーザーもいるかと。せめて必殺技の演出時くらい、アニメ版基調の絵に戻るべきなのではないかと思ったり。例えばスパロボなどはサイズ感を合わせるためにもSD化は必要となるのであるが、本作においてはキャラクターは一部を除きほとんどが美少女。等身があった方がより魅力的で、戦闘に迫力も生まれたのではないだろうか。
それでも、立ち絵やイベント絵は見事な完成度で、作品ファンなら熱狂すること間違いない。
テキスト量が多すぎて、さすがにフルボイスとはいかなかったのは残念だが、節目の台詞や掛け声には、ちゃんとアニメ版の声優が声を当てている。
歌はもちろん完全収録。音楽プロデューサー・上松範康氏による名曲の数々を堪能しよう。
総合評価
まず、作品のファンなら間違いなく楽しめる作品である。
とりわけゲームだけの特別シナリオの豊富さは魅力的で、ファンであれば狂喜乱舞な展開も見せてくれる。
サイドクエストだけでも、日常を描いた「メモリアカードクエスト」に、アニメ本編の裏側を描いた「EXクエスト」と、盛りだくさん。
さらにIF展開を見せてくれる「イベントクエスト」では、原作では死んでしまったキャラクターや、絶対に仲間にはならないだろうキャラクターまで……。
もちろんメインクエストもしっかりと作り込まれており、原作アニメを未視聴のユーザーでも、このゲームだけで全てを理解できるように作られているので、新規も気軽に入っていくことができるだろう。
ただバトルの設計などはきわめてオーソドックスなもので、残念ながら目新しさはなく、RPGとしての面白さはいささか薄い。
1戦闘の時間が、スマートフォン向けゲームにしては長すぎるのも気になるところ。
元々の作品ファンを中心に考えられたゲームといえるだろう。