本作は、スマートフォンというゲーム環境でありながらも、美麗なグラフィックと良質の操作性によるFPS(1人称視点の3Dシューティングゲーム)を楽しむことができる作品である。
題材となっているのは第二次世界大戦という、FPSの名作バトルフィールドのような本格志向。実在するライフルや戦闘車両を扱い、ノルマンディー上陸作戦など、史実にも名高く残る苛烈な戦場を体感することできるのだ。
そのリアリズムの濃いゲーム内容には、スマートフォン向けゲームの進化を強く感じることのできるものがある。しかもそれを基本プレイ無料で楽しめるとは、なんとも凄い時代になったものだ。
ストーリー
海外製のFPSによくあるきわめてストイックな作りで、ストーリーなどは特に用意されていない。
ただ前述の通り、実名の武器や戦場が出てくるので、ミリタリ好きや歴史好きなどのユーザーは、世界観をかなり楽しむことができるのではないだろうか。
ゲームシステム
コンテンツ数は少ないものの、ゲームモードが多彩なのが特徴的な作品だ。
基本はソロで激戦の戦場に参加し、他プレイヤーと戦う「デスマッチモード」と、オートでチーム分けされて制限時間内のキル数を競い合う「チームデスマッチモード」があるが、他にも「ハードコアモード」や「カスタムモード」などもあり、自由度はそこそこにある。
操作はバーチャルパッドで行う。画面左下に移動用のスティックがあり、画面右側をスワイプすると視点を移動。そうしてある程度照準を合わせると、攻撃がオートで実行される。実に簡単で分かり易い。
画面下部のスワイプで武器変更など、他のFPSにはあまりない、遊び易さを追究した作りは、高い評価を与えていいものだろう。
対人戦を繰り返し、報酬でアイテムを獲得し、強化していく、といった作業を繰り返していくのがゲーム内容。
スタミナ制限がなく遊び放題だが、手榴弾や回復キットに限りがあり、また強力な武器には時間制限が設定されていたりもする。
武器は購入できるだけでなく、強化やアップグレード、そしてカスタマイズが可能。
パーツを変えると見た目もちゃんと変化するので、手を加えていくのがなんとも楽しい。
様々な銃火器だけでなく、バトルフィールドでは戦車に乗り込んで戦うこともできる。強力な砲撃で敵を建物ごと吹き飛ばせるという爽快感も味わうことができるだろう。
グラフィックや音楽
美麗なグラフィックを中心に、クオリティはかなり高いといえる。
バトルフィールドやコールオブデューティーなどをプレイしたことがあるユーザーでも、基本プレイ無料のスマートフォン向けゲームという前提を鑑みれば、充分に満足感を得られるはずだ。
ただ完成度は高くても、コンテンツや武器の少なさなど、やはりボリュームはいささか足りなく感じる者も多いだろう。レア武器のガチャ排出率が低めなこともあって、そこが殊更に不満点と感じているユーザーも多い。
総合評価
ダウンロードページのコメント欄などで、前述のような不満点が大きく目立っている印象を受けるが、それはクオリティが高く、ゲーム自体もとても面白いからこそ生まれているマイナス点であるとも解釈できる。ハマっていなければ、ああしてほしいこうしてほしいという意見をわざわざ送りつける前に、ただ無言で他のゲームに流れていくだけだからだ。
試合時間が短いという意見もあるが、それもスマートフォン向けゲームとしてはかえってちょうどいい時間になっているともいえる。FPSのほとんどはワンプレイに長い時間を要するものばかりなので、差別化にもなっており、ちょっとした空き時間でもプレイできるFPSとして、大きな価値を持つのではないだろうか。
またそうしたお手軽さは、ライトユーザーや初心者でも気楽に遊ぶことのできる敷居の低さにもなっているように思える。
照準をある程度合わせてくれるエイムアシスト機能などもあるので、これまでFPSに興味はあったけれど手を出し難かったという人にこそ、「デビュー戦の場所」として強くオススメすることのできる作品である。