海外の隠れた名作を探し出し、輸入してローカライズし、配信するメーカー、コーラス・ワールドワイド社によって配信されている本作は、2014年にSteamでリリースされ、多くのプレイヤーを魅了してきたローグライク式のターン制戦略シミュレーションRPGである。
ジャンルだけ聞いても何が何だかわからないかもしれないが、要するに、プレイするごとにマップが変化するローグライク式と、ヘックスで区切られたフィールドを移動して冒険するRPGと、そのバトルがターン制の戦略シミュレーションであるという、様々なゲーム性が複合的に混ざり合った作品なのだ。
また本作独自の要素としては、時間経過でどんどん敵が強くなっていくというシステムがある。これにより、ちまちましたレベル上げなどはなく、即断即決を要する、常に緊張感のあるスリリングなゲームとなっているのである。
なお、無料で遊べるのは2エリアまで。それ以降は課金して、ゲームを買い切る必要がある。価格は400円程度とかなり安めだが、キャンペーンなどで常に変動しているので、タイミングがよければ半額以下になっていることもある。各自ご確認いただきたい。
ストーリー
舞台はRPG王道の中世ヨーロッパ的世界。
反乱軍によって幽閉されてしまった国王が、テレパシーを飛ばして主人公に助けを求めるところから物語は始まる。
プレイヤーは冴えない農民でしかない主人公を、様々な冒険と挑戦によって勇者として育て上げ、反乱軍から国王を救出する手助けを行うのだ。
公式のアプリ紹介
ゲームシステム
ストーリーはテキストと絵本のようなイラストで進行する。クセの強いデザインばかりだが、これはこれでたいへん味わい深い。
ヘックスで区切られたフィールドを自由に動き回って探索していこう。各地には敵やアイテム、そして探索できる建物や洞窟などがたくさんある。
宿屋や鍛冶屋などのショップも点在しており、傭兵を雇ったりもできる。
バトルもヘックス状の専用フィールドで行われる。
全体は見えず、近くしか視認できないので、暗がりに敵が隠れていることもあるので注意しよう。
基本的に、体力を削り取るまでは近接戦は挑まない方が得策なので、周囲を確認できる位置をとって、敵の全てを把握するまで待機し、見えた敵を弓矢などでチクチクと遠距離攻撃することをオススメする。
バトルはたいへんシビアで、ごり押しなどは到底できない。
また時間経過で敵が大幅にパワーアップしてしまうので、レベリングで攻略を楽にすることなども不可能。
かといって、攻略を急ぎすぎて、装備などの準備を怠ると、あっという間に死んでしまうだけだ。
常に攻略方法を深く考えながらプレイする必要がある、努力と根気が必要となるゲームだ。
グラフィック
グラフィックやサウンドなど、あらゆる面が優れていて、完成度はきわめて高いといえる。特にフィールドなどは隅から隅まで細かく描き込まれ、奥行きのある世界を表現していて、一見の価値あり。
キャラクターデザインはいかにも洋ゲーといったクセの強いもので、日本人には苦手な人も多いかも。主人公の勇者など、何の感情移入もできないだろう。しかしだからこそ彼を精悍な勇者に育て上げていくといった使命感が強くなるのかもしれないが。
ゲームシステムは複雑で、いささか分かり難いところが多い。ガイド機能にはほとんど期待できないので、ヘルプを参照したり検索したりと、自分で調べていく必要があるだろう。そういった不便さも洋ゲーならではのものである。
総合評価
かなり骨太なゲームで、難易度は高い。プレイする人を選んでしまうことだろう。
しかし、その歯応えこそ待っていたのだというヘビーユーザーにとっては、これ以上なく楽しめる最高のゲームとなる。
特にトルネコの冒険や風来のシレンなどで、幾度となく難関ダンジョンに挑戦していったようなローグライク狂のプレイヤーには、強くオススメすることができる。
実際、ゲームバランスの調整が絶妙で、何度死んでも「あともう1回やればなんとかなりそう」とすぐに再挑戦してしまうという、魔力めいた病みつき感というか、噛めば噛むほどに美味しくなっていくようなところがあり、まさしくローグライクの醍醐味といえる体験をすることができるだろう。
もちろん初心者やライトユーザーにも遊べる措置だって、きちんととられている。経験値が引き継がれたり、倒したボスが復活しなくなる、イージーモードを初めに設定することが可能なのだ。
だから決して完全玄人向け作品であるわけではない。
まずは無料の2エリアを、試しに遊んでみてほしい。
ローグライク作品ファン以外にも、RPGファン、戦略シミュレーションファンなどにもオススメすることできる。洋ゲー好きも必見の作品だ。