ワンキーシップ……「不安定な船」と訳せるタイトルの通り、本作は常にグラグラと不安定に揺れ動く宇宙船を、タップでエンジンをふかしてバランスをとり、ブラックホールに吸い込まれないようにしたり、落ちてくる隕石を避けたりするといった、バランスゲームだ。
ひたすらバランスとりを続けて、ハイスコアを目指すのが目的という、究極のシンプルゲームでもある。
「たとえ君がスマホを壁に投げつけても、宇宙では誰の耳にも届かない」という公式の煽り文句の通り、かなりの高難易度で、ひたすら死にまくること間違いなしなので、イライラは募る。シンプルゲームであるが、ストレス解消ゲームというわけではない。
ストーリー
物語は特に用意されてはいない。
なんだかよくわからないが、始まった瞬間から宇宙船がブラックホールの直上を飛行しており、プレイヤーはそのパイロットとして、あらんかぎりの技を尽し、ブラックホールの強烈なる引力に抗わなくてはならないのである。
だが相手は真下のブラックホールだけではない。プラズマで活性化したらしいブラックホールの引力に引かれているのは宇宙船だけではなく、周囲の幾多もの隕石群もまた、その影響を受けている。
よって、脅威は上からもやってくる。星がどんどん降り注いでくるのだ。プレイヤーは上下から襲い掛かってくる脅威に、いつまでも耐え続けなくてはならないのであった。
ゲームシステム
本作にチュートリアルなどは一切ない!
この初めの、まったく意味の分からない説明が全てだ!
おそらく、瞬間で死ぬ。まず1回ゲームオーバーとなる。そこからが本当の始まりとなるのだ。
正直、コツは自分の感覚で掴んでいくしかない。
これはとても口で説明できるテクニックではないだろう。
ゲームオーバー時に、耐えられた時間分だけコインの報酬がもらえる。
そのコインを消費すれば、地獄に仏のアイテムが入手できるが、ご覧の通りの効果しかない。まさに雀の涙といったものである。
一定のスコアをたたき出せれば、新しい機体がアンロックされる。
見た目だけでなく、けっこう性能に違いもあったりするので、相性ぴったりの機体に出会えればしめたもの。より高いスコアも目指せるように…なる……かも?
BGM・グラフィック
一発ネタに近い発想で作られたシンプルゲームとあって、グラフィックやサウンドなどには取り立てて注目できるところはない。
一応、乗り換えられる宇宙船の種類などは意外と揃ってはいるのだが、それでも特に素晴らしいと評価できるデザインもなく、平凡。
ただ公式の煽り文や説明文はなかなか面白く、かなり読み応えがあった。番外のテキストのクオリティがやたら高いというのも、昔のハードコアゲームにしばしば見られたものである。こうして伝統は受け継がれていくのだ(笑)
総合評価
煽り文句以外にも、公式に「プレイ中に、カッとなってスマホやタブレットを破壊してしまったとしても、Kiz Studios は一切弁償いたしません」と明記されているように、本作はガチでハードコアな作品だ。ややこしい操作も説明も一切ないが、その代わりとことん難しい、という、大昔のビデオゲームのような潔さで作られている。
なので、かなりプレイする人を選ぶ。技術力と忍耐力のあるプレイヤーにしか、本作はきっと楽しめない。
他には、操作性が微妙だからこそ燃えるとか、理不尽に難しいからこそ楽しいとか、そんなマゾヒスティックな嗜好を持つ人には向いているか。いや、酷い表現かもだが、死にゲーを楽しめるということは、そういった嗜好が若干なりとも関わっているはずではないだろうか。
またそうしたプレイヤーでなくとも、なんじゃこりゃ!と盛大にツッコミを入れる楽しみというものもある。無料でダウンロードできるし、容量もたいして食わないので、どれだけハードコアなのかをお試しいただいくのもまた一興である。
意外とハマってしまってしまうこともあるかも?