本作は、大震災によって崩壊した東京を舞台に、チームを結成して勢力を広げていく喧嘩バトルを繰り広げていくといった作品。ゲーム内容は、戦略シミュレーションのようなマス目によって構成されたバトルフィールドで、連携による同時攻撃を主題としたバトルシステムが特徴的な、タクティカルバトルRPGだ。
北斗の拳やマッドマックスのような、暴力によって支配された殺伐とした世界を、個性的な仲間たちを集めながら生き抜いていくというのが主な目的となるのだが、プレイヤー最大6人によるリアルタイムバトルが楽しめるなど、対人戦要素も充実したゲームでもある。
戦略性の高いRPGを求めるユーザーにオススメできる作品だ。
ストーリー
時は西暦20XX年。かつて東京と呼ばれていた大都市は、大震災によって崩壊し、壁によって完全封鎖されるまでとなっていた。
そこへ自然と流れついていくのが、社会に適応できないアウトローたち。彼らはやがてその地で、強力な力を持つリーダーによる集団「ユニオン」を複数形成し、互いの領域をめぐって争い始めることになる。
暴力が全てというこの過酷で苛烈な混沌世界を、完全支配しようと目論むユニオンのリーダーたち。
そんな抗争の最中、プレイヤー操る主人公「浅野獅童」が降り立ち、大切な友だちを救い出すために、戦いを繰り広げていくことになる……。
ゲームシステム
映画のようなオープニングムービーより、ゲームが始まる。
基本的にはシングルプレイのストーリーモードを進めていくことになるが、アリーナなどの対人戦コンテンツもあり、ゲームを進めるほどに解放されていく。
イベントステージや個別シナリオなども充実している。
新しいキャラクターが増えるほどに世界観が深みを増していくはずだ。
アリーナでは、ライジング・ビーツという大会が開催されている。
勝利を重ねてランキングを上げていけば、多くのレアアイテムを得ることができるだろう。
バトルはターン制で、マス目状に区切られたマップの上を移動して攻撃していく。
アクションポイントを消費してのスキル攻撃で、バーストゲージという値が蓄積しきれば、連続スキル攻撃も可能となるチェインバースト状態になることができる。
ストーリーモードのステージ前後にはアドベンチャーパートが挿入されることもある。
フルボイスではないが、随所にボイスが入るようになっている。
ユニットの育成はツリー形式。
アビリティを解放していくことで、ステータスアップだけでなく、固有スキルを習得することもできる。
スキル装備は、カードデッキ編集のようなシステムとなっており、カードの強化もできる。
ユニット専用カード1枚と、全ユニット共通ないしはジョブ専用カードを7枚でセットとなる。
カードはガチャなどで獲得できる。
キャラクターはメインストーリーを進めていくことで解放という、スマートフォン向けゲームではかえって珍しい形式となっている。
デザインや音楽
エフェクトやモーションなどの演出面が優れていることもあって、グラフィックはまずまずのものだと思える。
ただ、バトル画面における文字量の多さというか、情報量の多さにより、いくらか煩雑さのようなものもあり、肝心の喧嘩アクションが見難くもあった。
アクの強い独特なキャラクターデザインは、好き嫌いがハッキリと分かれるところか。強い個性というか、インパクトは確かにあるのだが、苦手に感じる人もいるかも。
サウンド面は貧弱。音楽や効果音など、絵に完全に負けているところが多かった。若手声優によるボイスも、さすがに下手すぎるというか、クオリティが低すぎて、不必要に思ったほど。
しかし、ありきたりではあるかもしれないが、コミックのコマ割りを使ったアドベンチャーパートはたいへん見応えがあって良い。
総合評価
見た目と裏腹に、たいへん戦略性の高い、骨太なゲーム内容で、玄人向けの本格ゲームともいえるものになっている。
その本格さ故に、バトルのテンポが遅いというか、モッサリしていると感じてしまうユーザーも多いことだろう。
たしかに、対人戦ではかなりの面白味があるのだが、通常のクエストバトルでも同様の構成なので、1ステージにかかってしまう時間はあまりにも多く、とても気軽にはプレイできない。正直、スマートフォン向けゲームとはとても思えない作りである。
だからこその深味というか、新鮮味のあるプレイ感は得られるので、新しい刺激を求めるユーザーにはちょうどいいのかも。やり応えも充分。時間に余裕のあるタクティカルバトル好きのユーザーは、ぜひとも遊んでみてほしい作品だ。