本作は、絵本のようなあたたかみのある美しい世界を、可愛らしいキツネを操作して冒険していくハートフルなアクション作品……と思いきや、恐ろしいまでの難易度の高さに苦しめられる、見た目と裏腹にハードコアな作品でもある。
ゲーム内容は、オートで進み続けるキツネの進行方向をタップで左右に変えて、ステージから落ちないようにし、ゴール到達を目指すといった、いわゆるランゲームと呼ばれるものだ。
ただコースは複雑に入り組んでおり、様々な仕掛けも施されており、さらにキツネの進むスピードもどんどん速くなっていくので、判断力や反射神経だけでなく、ステージの先がどうなっているのかを完全に記憶しておかなければならないといった、シューティングゲームなどに必要なスキルを求められる。
死にながらコースを憶えていく、といった、かなり「ガチな」アクションゲームだ。ぜんっぜんファンシーじゃあない!
ストーリー
特にストーリーは用意されていないが、攻略するステージが「惑星」であったり、それをキツネが寂しそうに見上げていたりするメニュー画面は、実に雰囲気があり、奥深い物語性を想起させてくれる。
幻想的なステージの作りはどこまでも美しく、色彩の絶妙さもあって、あたたかみがありつつも、なんだか切なくもある。
あとはとにかくキツネが可愛らしく、難易度の高いステージにも、よしもう一度チャレンジしてみよう!という気持ちになることができる。不思議な親和性のあるゲームだ。
公式のアプリ紹介
The Little Foxは六角形のフィールドを走る新感覚のランナーゲーム。氷の崖や火山のクレーターを走り、湿原や暗い洞窟を潜り、13種類のおとぎ話の惑星を縦横無尽に駆け回ろう。
簡単そうに見えるかもしれませんが、1度目のチャレンジではステージクリアは到底不可能!だからこそ、ステージをクリアした時に訪れる大満足の達成感がたまらない!
美しい世界
シンプルなローポリゴングラフィックの最高例にインスピレーションを受けて作られた13種類のカラフルでオリジナリティ溢れる3Dの惑星があなたを待ち受ける。
「永遠の冬」や「忘れられた小惑星」、「むし暑い峡谷」、「ひみつの洞窟」などのステージで、絵本のように美しい風景を楽しもう。印象的な数々の景色はスクリーンショットに収めて、壁紙にしたくなるかも!
ゲームプレイ
このゲームの最大の魅力は、簡単操作と奥深いやりごたえ!画面の左側をタップすると左へ、右側をタップすると右へ移動する。2つのタップを駆使してゲームの世界を自由に探検しよう。
音楽
「The Little Fox」のプレイ時はヘッドフォンの着用がオススメ。それぞれの設定に合わせて作曲された個性的な音楽が、あなたをゲームの世界に引き込む。
ゲームシステム
キツネは6角形のパネルが敷き詰められたステージを、立ち止まることなくどんどん突き進んでいく。
パネルの外に落ちたら失格。即ゲームオーバー。
なのでプレイヤーは、画面の左右をタップしてキツネが落ちないように導いていかなくてはならない。
ゴールに無事辿り着くことができればステージクリア。ただしステージ内にある結晶を全て集めないとクリア指数が100%にはならない。完全クリアするには回収するための操作も必要となる。
ステージは全部で13ある。どれも趣の異なった美しい幻想的世界だ。
童話の世界をめぐるように、ステージを攻略していこう。
ステージが進めば、ジャンプ台や滑るパネル、方向を変えられたりルートを強制的に決められたりするトリックパネルも登場する。こればかりはもう繰り返しのプレイで記憶していくしかない。
またチェックポイントなどお助けになるパネルも存在する。これらを有効活用していくこともステージクリアに欠かせない要素だ。
きわめてシンプルなゲームで、やり込み要素があるわけでもないが、難易度の高さもあってやり応えは充分にある。
ゲームオーバーになると、直前の様子をリプレイすることができ、自分のミスのチェックや対処法の研究をすることができるなど、なかなか「本気になれる」ゲームだ。
グラフィックや音楽
絵と音楽が非常に美しく、1つの芸術作品といえるほどの仕上がりとなっている。特に色彩が実に素晴らしく、幻想的であり、親和性もあり、可愛さと切なさの織り交ざった、独特の世界を構築することに成功している。
ステージを進むこと。それは絵本のページをめくることに他ならない。
総合評価
そういった意味で、本作は「遊ぶ絵本」ということもできるかも。
たしかに難易度はとても絵本とはいえないほどの高さがあるかもしれないが、しかしそれこそ子どもの脳トレにだって使用できるとはいえないだろうか。我々だってファミコンの難しいゲームで脳を鍛えられてきたのだ。スターソルジャーで敵の出現位置を暗記できたから、受験勉強に必要な知識だって暗記することができたのだ(*こじつけの極論である)
それはさておき……覚えゲーは疲れるから、休憩時間や移動時間にやるようなスマートフォンゲームでわざわざやりたくない、という人は多いだろう。だが、だからこそクリアできた時の達成感と爽快感は、計り知れないほどのものがある。
またとにかく、キツネがかわいい。愛らしい。なんとかしてゴールへと到達させてあげたくなってくるのだ。時に人生では適度な挑戦も必要なのだと、自分を鼓舞して、仕事でもしたことないくらいの努力を見せてしまう。
そうして苦労して進んでいくステージはどこまでも美しく、こんなに難しいゲームであるというのに、不思議と優しい気持ちになる。これは癒しのゲームでもある。
時間と労力を費やしても決して損ではない良作だ。ぜひとも多くの人に触れていただきたい。