本作は、全世界で注目されている大人気シリーズ「ドラッグオンドラグーン」シリーズや「ニ―ア」シリーズなどを手がけたヨコオタロウ氏がクリエイティブディレクターを務めているということで、配信前から注目を集め、大いに期待されていた作品である。
ゲームジャンルこそオーソドックスなリアルタイム式RPGであるが、その内容はいかにもヨコオタロウ作品といえる陰惨なもので、独特の味わいを持つものとなっている。
キャラクター設定にシンデレラや人魚姫、白雪姫に赤ずきんといった、誰でもわかる童話の登場人物を用いているが、そうした人物たちが狂気に染まり、殺戮に明け暮れるというダークファンタジー的世界観が、なんとも退廃的なムードを漂わせており、好きな人にはたまらないものになっている。
ストーリー
ヨコオタロウ作品らしく、きわめて独創的な世界が描かれている。
舞台となるのは現実と妄想の狭間の世界「ライブラリ」
ピノキオやいばら姫など、様々な童話の主人公9人によるオムニバス形式のストーリーが展開していく。
彼女たちはそれぞれの元の物語で悲劇的結末を迎えており、苦しみの中で「ライブラリ」を彷徨っている。
たった1つの希望となるのは、彼女たちの物語から消えてしまった「作者」を探し出すこと。
しかし旅の途中で彼女たちは、「作者」を再び得られるのはたった1人だけであるということを知ってしまう。
9人は血に塗れて殺し合う運命にあるのであった。
ゲームシステム
まずはチュートリアル。「ギシン」と「アンキ」という2体のパペットがプレイヤーに付き添い、ナビゲートしてくれるぞ。早速、不安な気持ちにしかなれない!
ぬるぬるとアニメーションで動く2体の人形はとても不気味。ただクオリティの高い作品であるということはすぐにわかるはず。
……ただものではない作品であるということも。
初めは4人のキャラクターから1人を選択。
しかしすぐに他の5人も使えるようになり、それぞれの物語を進められるようになる。
とにかくイラストが美しい。不安な気持ちではあるが、期待感も高まる。
ツリー式に表示されたストーリーは、どこからでも、プレイヤーの好きなように進行させていくことができる。
重なり合うステージでは、はたしてどんな物語が待っているのか。
キャラクターは今のところ9人だけなので、ガチャは武器の排出となっている。
1人のキャラクターに様々なジョブがあり、装備やステージに合わせて選択し、育成していくことができる。
バトルはアクティブタイムバトルであり、ごくシンプルなコマンド選択式。
画面下部に表示されている武器をタップすると、相手に攻撃をしてくれる。
操作できるのはその物語の主人公のみ。あとはCPUがオートで動かしてくれる。
通常攻撃からスキル攻撃、召喚攻撃まで、ド派手なエフェクトやアニメーション演出が設定されており、戦闘シーンを大いに盛り上げてくれる。爽快感あるバトルを楽しめることだろう。
グラフィックや音楽
美しいグラフィック、滑らかなアニメーション、豊富なボイスなど、クオリティはかなり高いといえる。
ボイスにはM・A・Oや上田麗奈、内田真礼に本渡楓など、今をときめく若手人気声優たちを中心にキャスティングされており、これだけでも若いユーザーやアニメ好きのユーザーの注目を集めることができるだろう。
音楽も岡部啓一氏など、クリエイター集団MONACAによるもので、実に美しく、印象に残る音楽を聴くことができる。ゲーム音楽好きのユーザーもチェックする必要がある作品だ。
総合評価
大作RPGといえる高クオリティな作品であるが、しかしプレイする人をかなり選んでしまう雰囲気がある作品でもある。
まずゴシックホラーの空気やグロテスクな表現などが苦手な人にはオススメできない。
そして正義も光も救いもない退廃的世界観に耐性がない人にもオススメできない。
逆に、そういったものが大好物という人には、今すぐダウンロードしなさいとオススメできるほど、適合できる作品である。
欲望と罪、血の色と暗黒に染まった物語、この世界観に、ぴったりハマるユーザーにとっては、どっぷりと首まで浸かれる作品となることだろう。
フルボイスで展開していくストーリーは、進めば進むほど、深く、壮大なものになっていく。絵本をめくるように、ステージをクリアしていこう。
育成の幅も広いので、RPGとしてもやり応え充分な作品だ。