「バカゲー」と自ら銘打っているだけあって、本当にバカゲーである。
内容は自機である「精子」を動かして、ゴールの「卵子」へと導く。というそれだけのもの。アホである。なんとくだらないことなのか。
しかしアメリカのゲーム業界では、わりとこうしたスペルマ(精子)ゲームは多く作られており、どうやら1ジャンルとして認識されているようである。検索するといっぱい出てくるからびっくりする。だからエロスに厳しいはずのAPPでも審査を通過できたのであろう。パンツが見えたらダメだけど、精子を動かすのはオーケーなのである。それが、かの国の倫理基準なのだ。
さて肝心の、本作の内容については、懐かしのイライラ棒ゲームを思わせるものであった。画面外に飛び出てしまったり、ノコギリなどのトラップに引っ掛かってしまうとゲームオーバー。タップの強弱などで緩急をつけ、ギリギリの道を進んでいく、といった、反射神経を要するゲームだ。
なんで身体の中にノコギリやスイッチなどがあるのかは考えてはいけない。これは「バカゲー」なのだから!
ストーリー
公式によると……
思い出せ。俺たちもかつては、たった一匹の精子だった!!
ありとあらゆる難関ステージをのり越えろ。
その瞬間、お前の精子で子供が生まれる!!!
未だかつてない激ムズの横スクロールアクションゲーム!
果てしない精子の子作りの旅……生きるか死ぬかは、お前の精力次第。
と明記されている。
うん、たしかにこれ以上は何もいえない作品だ。
ゲームシステム
操作はタップだけ。
長押しで自機(精子)が上昇。離すと下降する。この強弱によって緩急をつけ、画面右へ右へと進ませていくのだ。
壁に触れても問題ないが、穴などに落ちて画面外に出てしまうと即ゲームオーバー。
またノコギリに触れたり、落ちてくる壁に挟まれたりすると、これも即ゲームオーバー。
ステージが進むと、トラップはどんどん増えていく。
また壁が少なくなり、常に緊張感のある操作を求められるようになってくる。
自機の方も、卵をとってクローンを産んだり、巨大化や極小化したりして、あの手この手でトラップを潜り抜けていかなくてはならない。
苦労の末、ゴールの子宮に辿り着くと、やったぜ子どもが生まれた!
……まぁ、盛大にツッコミを入れてあげればいいと思うよ。
シンプルゲームのわりには頻繁にロードが起こるのだが、この「精子準備中」で脱力してしまい、怒る気も失せてしまう。
それにしても広告の露骨ぶりが凄まじい。いっそ清々しい。
グラフィック
グラフィックやBGMなどのクオリティについては、まぁ内容的にも期待する方がおかしいものであるから、それは生温かく見守ってあげよう。
ステージクリアできた時のおまけイラストに関しては、盛大なツッコミを入れてあげればよいのだ。
(……一応、ちゃんとイラストコレクションの機能もあるのだけれど、これは本当に必要な機能だったのだろうか。笑)
総合評価
アメリカで流行っているんだから、ゲーム大国日本でも作らなきゃ!……と製作者が思いついたのかどうだかはわからないが、ようやく日本でもスペルマゲームが遊べるようになったのだ。やったぜ。
とりあえず、このインパクトが突出したようなタイトルと絵によって、なかなかのダウンロード数は記録している。ちょっと検索してみると「学校でけっこう流行ってる」なんて言葉が目についた。なるほど、たしかに中高生男子が友達同士でゲラゲラ笑いながらやるような内容だ。エロとギャグが合わさると、ジャンクフードみたいな適度に濃い味わいになる。さすがに年配者には厳しいゲームだが、若者には楽しめるものがあるだろう。
ゲームとしても、シンプルゲームであってたいへんお手軽感があり、適度な難易度で暇つぶしには適しているのではないだろうか。ゲームは息抜き、といったライトユーザーにオススメできる作品だ。
だがいくらなんでも広告が多すぎ、露骨すぎて、テンポが悪いのは、シンプルゲームとして致命的。あんまり真面目にやりこんでしまうとすぐに飽きが来てしまうので、本当にちょっとした合間にちょっとだけやるというプレイスタイルがいいと思う。その方が長く遊べるだろう。