本作『PinOut!』は美しいグラフィックとサイバー感溢れる独特のサウンドで彩られたスマートフォン向けのピンボール・アクション・ゲームで、配信開始後にGooglepPlayとAppStoreで人気ランキング上位にランクインした注目のアプリ。
ピンボールとは傾斜した盤面を転がってくる球を、フリッパーと呼ばれるバーで打ち返すといった、実にシンプルな内容のゲームで、1930年代のアメリカから始まり、その後、世界各地で様々に形を変えながらも作られ続けてきたものだ。
その究極なまでのシンプルさ故に、普段テレビゲームやビデオゲームといったものに触れたことがない人でも、ピンボールくらいなら一度は体験したことがあるかも。本作でもそのピンボールの持つシンプル性、明快な操作とゲーム目的が活かされており、誰でも気軽に楽しむことができる、たいへんカジュアルな作品となっている。
ゲームシステム
『PinOut!』ではピンボールゲームということもあって、ストーリーは用意されていない。
日本製のキャラクターゲームとして作られたのならストーリーが用意されることもあるが、海外製である本作は、シンプルなゲームを活かすにはシンプルな構成という、いかにもな合理主義によって作られており、プレイヤーは無限に続くステージにひたすら挑戦していくことになる。
ステージは上へ上へと伸びており、上手く球をさらに上方のステージへと運んでいくのがゲーム目的となっている。つまりよくある「ステージ内のポイントを叩く」ものではなく、『PinOut!』では「制限時間内に進んだ距離」がポイントとなるのだ。
多種多様な色彩と音楽に彩られた美しいステージの数々をどんどん進んでいこう。
プレイ画面
シンプル・ゲームらしい、たいへんあっさりしたタイトル画面。
タップするとゲームが開始され、60秒の制限時間内に球をどんどん上のステージへと上げていくことになる。この初期タイム60秒は、ステージ上にある白い点のようなものを取る度に1秒ずつ加算されていくので、上手くいけば遊び続けることが可能だ。
操作
操作は単純。指2本でタップしてフリッパーを動かすだけ。台を揺らす要素なども一切なく、ひたすら球をフリッパーで弾くだけでいい。
ステージにはパワーアップアイテムも存在し、取ると「スローモーション」か「時間フリーズ」の効果を選択して使用することができる。
また他にもミニゲームに挑戦することができるアイテムもあり、取ると自動車ゲームなどのレトロなミニゲームが始まり、クリアするとボーナスタイムが加算される。
テクニック
ピンボール・ゲームのテクニックの1つに「ホールド」という、フリッパーの根本で球を保持し、好きなタイミングで好きな方向に打ち分けるといったものがあるが、本作ではそれがやり易いようフリッパーの粘着性が特に強化されており、普通のピンボールと違って容易にホールドができるようになっている。
なので、ここでは制限時間に焦らず、じっくりと球のルートを狙い定めることが肝心となるのだ。
初めは難易度が高めに感じられるかもしれないが、このホールド戦法に慣れてくるとかなり楽になり、ミニゲーム狙いなどの複合的な楽しみ方もできるようになる。
基本プレイ無料であり、プレイ時間も短い作品なので、気楽に楽しもう。
総合評価
『PinOut!』のグラフィックはある意味で「圧巻」のデキといってもいいだろう。どのステージも、どこまでも美しく、心地好い。
デザインとしては80年代を思わせるレトロなものだが、それが透明感ある現代的CGによって鮮やかに描かれているので、不思議な魅力があり、とにかくクールに感じられ、引き込まれる。
またさらにエレクトリックで表現されたレトロ調の音楽がたいへん美しく、これはぜひヘッドフォンでしっかりと聴いていただきたい。ヘッドフォンでじっくりと音楽を聴きながら、スマートフォンの縦画面を上へ上へと突き進んでいくと、途轍もない没入感を味わうことができるだろう。さすがVRゲーム開発に力を入れている会社の作品であるともいえる。
『PinOut!』はピンボール・ゲームを楽しむという以上に、スマートフォンの画面に鮮やかに描かれたピンボールという「空間を楽しむ」作品であるといえるだろう。上記のように没入感が実に凄まじく、描き込まれた世界にひたすら酔い痴れることができる。これはかなりの快感だ。
試してみて、この感覚が合いそうならば、ぜひ課金して「プレミアム・モード」にアップグレードしてみよう。そうすれば広告表示が解除されるだけでなく、ゲームをチェックポイントから再開することができ、先のステージを体感することができる。
ステージは見た目や仕掛けだけでなく、この心地好い音楽も変化していく。さらにはレトロなミニゲームの数々ともどんどん出会うことができるので、遊び応えも増していくことだろう。
口コミから見る評判
最近ではレトロゲームへの回帰が流行っているように思う。
先日任天堂から発売された手のひらサイズのファミコン・クラシックミニを筆頭に、FF15の中に登場し、実際にアプリゲームとしても配信されているピンボールアクションゲームの「JUSTICE MONSTERS FIVE」、近日配信開始予定の「スーパーマリオラン」など、レトロと最新ゲームの融合が今の売れ筋なのだろう。
その証拠に、口コミ評価でも「4.3点」と非常に高い評価を得ている。
一部否定的なコメントはあるものの、多くのユーザーが『PinOut!』を絶賛。音楽にもかなり力を入れているので、そこが高い評価になっている要因でもある。
全体的に作り込まれているので、その世界観に没入出来るという珍しいゲームアプリ。プレミアムモードもあるものの、基本は無料なので最近の派手さだけのゲームに飽きたという方には是非プレイしてみてほしい。