本作は、剣と魔法の異世界にトリップし、美少女の傭兵たちを雇う会社を経営していくといった美少女ハーレム+ファンタジーRPGである。
DMMのブラウザゲームとして長く愛されてきた作品で、このほどスマートフォン版がリリースされる形となった。基本的にはブラウザ版と変わりない完全移植であるが、操作性やメニューなどインターフェース面が改良されており、たいへん遊び易くなっている。
ブラウザ版とスマートフォン版でデータ共有もできるようになっているので、新規ユーザー獲得のためだけの移植でなく、これまでのユーザーにも利点が増えたといえる形だ。
こうしたやり方は、息の長い作品を再活性して活かすのに、とても有効性の高い手法といえるだろう。
ストーリー
電車に乗って出勤しようとしていたら、いつの間にか異世界に?
というよくある異世界トリップのライトノベルそのままの出だしで始まる作品。
プレイヤー(主人公)は、窮地を救ってくれた美少女たちとの出会いをきっかけに、傭兵会社を設立し、社長として経営していくことになる。
多種多様な美少女キャラクターたちは、個性が強いばかりでなく、それぞれにサブシナリオやサブクエストが豊富に用意されており、じっくりと会話を楽しむことができる。
RPGである以上に、ギャルゲー・美少女アドベンチャーゲームという側面もあるゲームといえる。
ゲームシステム
怒涛のオープニングと主人公の人間離れした順応能力に驚きつつも、まずはとりあえずチュートリアルに臨もう。
全体的にかなり分かりやすいシステムとなっているので、ナビゲーター役の妖精さんの指示に従って操作していけば、問題なくゲーム内容を理解することができるはずだ。
キャラクターは「社員採用」という名のガチャで獲得できる。
1回につき4枚の履歴書が表示されるので、キャラクター詳細を確認しつつ、好きな1人を採用しよう。
本作ではキャラクター以外にも、会社の施設を強化していくことができる。そこで「広報部」をアップグレードしていけば、よりレア度の高い社員からの履歴書が届き易くなったりもする。
コンテンツ数はあまり多くはなく、基本的にはクエストとアドベンチャーパートを繰り返していくことになるが、イベントが豊富で、他作品とのコラボなど、かなり魅力的なものが多い。
バトルはオーソドックスなセミオート形式。といってもプレイヤーにできることは「社長スキル」を発動することくらいなので、限りなくフルオートに近い内容といえるだろう。
グラフィックや音楽
あの伊藤賢治による音楽や、霜月はるかによる歌、大人気絵師たちによるキャラクターデザインの数々など、豪華スタッフ陣が売りの作品。
ボイスにも力が入っており、佐藤利奈や伊藤静、伊藤かな恵に生天目仁美といった一時代を築き上げた有名女性声優たちから、今をときめく花澤香菜や竹達彩奈、茅野愛衣に佐倉綾音といったスター声優たちまで、ズラリと揃えられている。アニメファンや声優ファンも要チェックといえる内容だ。
動きのあるグラフィックや演出面にやや物足りなさは感じられるが、概ねクオリティは高く、満足度も高い。
とりわけテキストが優秀で、ヒロインたちとの会話がたいへん充実したものとなっている。
総合評価
以上の、テキスト面の完成度の高さや、ボイスの充実ぶりにより、ギャルゲーとしてはかなり高く評価できる作品である。美少女キャラクターや人気女性声優が好きなユーザーなら、きっと楽しめることだろう。
しかしながら肝心のRPG部分は、残念ながらよくある素材集めのための周回ゲームでしかなく、ただただポチポチするだけの作業ゲームとなってしまっている。
イベントが豊富なのはいいのだが、どれも同じ作業内容で、結局はまた繰り返しになるのがいささか辛く、飽きが来るのが早い。
また新規追加キャラクターとそれまでのキャラクターの力の差が大きすぎるというインフレぶりというか、ゲームバランスの悪さも、かなり気になってしまった。
ただそれでも、育成面の豊富さと巧みさによって、周回プレイを苦としないプレイヤーには、いつまでも楽しみ続けることができるようになっていることも明記しておかなければフェアではない。膨大なテキストと合わせて、ひたすらに世界に浸り続けることもできるのだ。
そして、操作性や動作などが良く、ストレスなく遊べる安定感があるのも素晴らしいこと。佳作といえる作品である。