本作は、実在の艦船を美少女に擬人化したキャラクターを集め、部隊を編成し、人類を脅かす異形の敵「セイレーン」や、それに与する国家の軍船と戦っていく育成型シミュレーションＲＰＧである。

大きな特色としては、横スクロールのバトルはオート形式ではなく、プレイヤーが操作して自在に動かすことができ、弾幕シューティングゲームのように敵の攻撃を避けることができるという点がまず挙げられる。

さらに通常ステージや無課金の建造（ガチャ）でも高レアのキャラクターを入手することができるという点は、課金を前提としたゲームに疲れたやり込み派のプレイヤーにとって、最高のゲームともなるだろう。

ストーリー

舞台となるのは地表の７１％が水で覆われた「青き星」

今この星は、未知の敵「セイレーン」の侵略と、それに同調して星の覇権を獲らんとする国家によって、平和を脅かされていた。

人類は平和を取り戻すべく、強力な艦船の力を持った少女たちを集め、同盟を組み、軍事連合「アズールレーン」を組織した。

プレイヤーは、その新組織の司令官に任命され、彼女たちと壮絶なる海戦に挑むことになる。

という、シリアスなバトルが中心となる作品だが、可愛らしい美少女キャラクターたちとは個別に親交を深めていくこともできるなど、ギャルゲー的な要素もある。絆が強くなれば、結婚をすることもできるのだ。

しかしストーリーにおいて、敵として現れるのが、日本の艦船を擬人化したキャラクターなので、初めは面を食らい、中には抵抗感を覚えるユーザーもいるかもしれない。

ただ彼女たちが何故敵なのかという謎を解き明かしていくのが話の本筋であり、ドラマにより深みを与えてくれるものとなっているので、ぜひとも物語を進めてみてほしい。

またそうした日本艦船も、ちゃんと仲間にすることができ、他の艦船同様に仲を深めていくことが可能だ。

ゲームシステム

コンテンツ数は豊富だが、まだギルド的な要素である「大艦隊」などは形だけで実働しておらず、これからの展開に期待するところである。

まずは「出撃」でメインストーリーを進めつつ、イベントのミッションをこなしていこう。

ステージマップは、数艦隊を撃破した後に出現する、敵中枢艦隊の旗艦を撃破できればクリアとなる。

燃料は基地にある分だけ使えるが、弾薬には限りがあるので、艦隊運用は充分計算して行っていこう。

バトルでは、左下に表示されるバーチャルパッドの十字キーに触れることで艦隊を移動させることができる。

敵の攻勢を回避しつつ、右下のボタンをタップして後衛艦隊の強力な援護攻撃を発動させよう。

もちろんフルオートに切り替えて戦うこともできる。

寮舎モードでは、好きなキャラクターを休ませてコンディションを回復させたり、経験値を与えたり、親愛度を上げたりすることができる。

ただその際は「食糧」を補給することをお忘れなく。空腹なままでは彼女たちを休憩させることはできないのだ。

またコインを消費して家具を購入し、部屋の模様替えを自由に行うこともできる。良い部屋にすれば快適度が上がり、より大きな効果をもたらすことができる。

グラフィックや音楽

グラフィックから演出、音楽からボイスに至るまで、あらゆるものが高クオリティな作品である。

とりわけ美麗なキャラクターデザインの数々は必見。さらにそうした絵に細かく付けれらた設定が実に素晴らしく、誰もが１人くらいは「刺さる」キャラクターに出会えるかもしれない。

日本版配信直後は、ローカライズに甘さがあり、テキストの翻訳に失敗していることも多かったが、大ヒットを受けて大幅に強化されたらしく、今でも何の違和感もない素晴らしいテキストで物語を楽しめるようになっている。

豊富な期間限定イベントは本筋のシナリオと対局なほど明るく楽しくて、プレイするほどにキャラクターたちに愛着が湧いていくよう。

また、上坂すみれに佐倉綾音、高森奈津美に久野美咲といった大人気若手女性声優たちのボイスも必聴モノ。これからどんどんボイスが追加され、未ボイス艦にも新しく声優がキャスティングされていくようなので、大いに期待して待っていたい。

総合評価

作品の設定や設計、そもそものビジュアルから、どうしても『艦隊これくしょん』のパクリ作品であるというレッテルを貼られてしまうが、実際にプレイしてみれば、それは大きな間違いであるということがすぐにわかるはずだ。

やり込み要素が半端なく豊富で、しかもやればやるほど高レアキャラクターのドロップや素材の入手などの恩恵が山のように得られるため、ついつい時間を忘れてプレイし続けてしまうほど。

あとはとにかくキャラクターが可愛い。美しい。実に素晴らしい。そこで結婚できるだけでなく、重婚も当然のようにできるといったあまりにも潔い作りが、また感涙モノである。

タップ１つでステータスのチェックができたり、新しくドロップした艦船はロックをかけるか確認してくるシステムがあったりと、実に配慮が行き届いており、感心するばかり。

このように作り手の、ユーザーの側に立った作り方こそが、本作の最も高く評価できるところである。