株式会社スクウェア・エニックスより配信されている本作『乖離性ミリオンアーサー』は、人気作「拡散性ミリオンアーサー」の進化作品で、協力プレイがウリの、スマートフォン向けコマンドRPGとなっている。
シナリオに鎌池和馬、音楽に前山田健一、そして音楽制作に伊藤賢治、主題歌に水樹奈々、さらには著名なイラストレーターたちの多数参加など、超豪華スタッフによる制作は大いに話題を呼び、ダウンロード数は何と1,000万件を突破。
配信開始から間もなく2年ほどが経過するが、多くのイベントやコラボが更新され続け、まだまだ盛り上がり続けている。
ストーリー
作品舞台は前作『拡散性ミリオンアーサー』と同時代という設定で、同じく多数の王様候補「アーサー」たちの競演が繰り広げられていく、といった内容である。
鎌池和馬の描くシナリオということもあって、コテコテのライトノベルファンタジーを味わうことができる。本作ではきっと、魅力的なキャラクターたちとたくさん出会うこともできるだろう。
ゲームシステム
『乖離性ミリオンアーサー』のコンテンツはメインクエストからミッション、対人戦に協力プレイにと、かなり揃っていて、様々な楽しみ方が可能。
メインクエストにはクエストポイントを消費する必要があるが、他プレイヤーのクエストに参加する際はポイントが必要ないため、いくらでも遊ぶことだってできる。
ステージはメインクエストだけでなく、サブクエストやキャラクター個別クエスト、さらにイベントクエストなど、多種多様に設けられており、チャレンジできることはやればやるほど増えていくといった印象。かなりやり応えはある。
バトルはターン制のカードバトル。
構築したデッキからランダムにカードが配られ、プレイヤーは手持ちのカードからカードを選択。使ったカードはデッキに戻され、また別のカードが補充されていく、といった流れとなる。
使用する順番や特殊効果の発動など、思考すべきこと、工夫すべきことがたくさんあり、なかなか奥深いカードバトルを楽しめることだろう。
アーサーとカードのタイプを合わせて発動させる覚醒スキルなど、迫力ある演出によって描かれているので、爽快感も充分に味わえる。
主人公たるアーサー(王)はプロローグ後に決定することになるが、これはいつでも変更は可能なので、気分に合わせて交替させることもできる。
デッキはアーサー+9人の騎士で構築する。この騎士となるキャラクターカードの入手は、スマートフォン向けゲームお馴染みのガチャで。
総合評価
グラフィック
超豪華スタッフ陣を前面に押し出しているだけあって、さすがにかなりの力が入れられており、全体的にクオリティは高い。
有名イラストレーターたちの力比べともいえるキャラクターカードの美麗さもさることながら、3Dによる戦闘画面のグラフィックなどもたいへん美しく、力強い。
さらに音楽の素晴らしさだけでなく、坂本真綾や花澤香菜や阿澄佳奈、宮野真守に櫻井孝宏といった超豪華声優陣たちによるボイスなど、たいへん耳にもよいゲームとなっている。
ゲームデザインもさすがはスクウェア・エニックスといった安定感のある作り込みで、たいへん見易く遊び易く、操作性も良い。
レビュー評価
まずはこの基本プレイ無料とはとても思えないほどのクオリティの高さにより、誰しも一度は手に取って遊んでも決して損はないと、声高に主張することができるだろう。
また触れてみてまずわかることは、本作はスマートフォン向けRPGにありがちなライトな作り、単なるカードゲーム、ポチポチ作業ゲーム、といったものではないということ。
バトルのシステムはなかなか秀逸といえるものがあり、キャラクターの特性や役割を活かし、しっかりと戦術戦略を考えてプレイしないと敵に勝てないなど、歯応えは充分にある。一目見てスルーしてしまったヘビーユーザーは、ぜひ試してみる価値はあるだろう。
しかしながらもう1つのウリであるマルチプレイがあまりよろしくない。というのも、ユーザーに精神的に幼い者が多いせいか、かなり荒々しい雰囲気になってしまっているのである。システム自体は悪くないのだが、環境が悪すぎるためにちょっと入っていくのに躊躇ってしまうものがある。それに既に強くないとパーティに加えてもくれなかったりとか、まず新規が弾かれてしまっているのも残念だ。
マルチプレイに触れさえしなければ、新規にも充分に楽しむことができる作品だろう。
口コミと評判
1,000万件というダウンロード数を考慮すれば、既存プレイヤーの評判が低いはずがない。勿論評価は高いが、アップロードによって起こる不具合や、課金ガチャへの不満によるマイナス評価もあるので、総合的な評価は「4.1点」に落ち着いている。