本作は、文字の精霊「コトダマン」がランダムで配布する「ひらがな1文字」を、言葉として成立するように組み合わせて敵にダメージを与えていくといった、パズルRPGともいえる作品である。
タップやフリックといったごく簡単な感覚的操作で誰でも気軽に楽しむことができる一方で、小さなお子様には「言葉を知っていく」といった知育ゲーム的要素となり、そして大人や学生たちにとっては「持っている知識を試せる」クイズゲーム的要素と、コンボなどによる偶然から「こんな言葉もあったのか」と気づき驚ける生涯学習的な要素となるだろう。
フルボイスで喋りまくるキャラクター「コトダマン」や、セガのゲームキャラクターやプロレスラー、そして人気ユーチューバーとの多彩なコラボも魅力的。多くの層に刺さるゲームである。
ストーリー
作品の舞台となるのは、文字の精霊「コトダマン」たちの住む「言霊界」と呼ばれるファンタジー世界で、プレイヤーはその世界の平和を脅かす悪い奴ら「五魔将軍」を打ち倒し、封印されてしまった「若神子」と呼ばれる神様たちを復活させていく「救世主」として活躍していくことになる。
パズルRPGとして以上に、育成RPGの要素が濃く、バトルの相棒となるコトダマンたちは、育成し、進化させることで、完全に別キャラクターといえるほどの大きな変化を見せてくれるのが興味深いところ。
レアリティの低いキャラクターでもフルボイスで豊かなアニメーション付き。そして育成次第で強力なキャラクターとなるので、ガチャ運頼みとはならない。なんとも好感が持てる作りだ。
ゲームシステム
基本的には各大陸のステージをガンガン攻略していくことがメインコンテンツとなるが、その数は膨大で、さらに攻略の順番も自由であるなど、ゲーム性はなかなかに深い。
マルチプレイも楽しむことができ、遊び方の幅も広い作品といえる。
バトルはターン制で、虫食い状態で表示された文字列に、編成したコトダマンの持っている文字をスワイプではめて言葉を作り、相手にダメージを与えていくといったシステムになっている。
1度に複数の言葉を作れればコンボとなってダメージ率が上昇。また長い言葉を作るなどして、コトダマンのスキルを発動することもできる。
新しい言葉を発見すれば、その言葉の数だけ課金石が獲得できるなど、周回プレイでもプレイに熱中できるようになっている。
こんな言葉もあったのかと驚愕した時は、思わず辞書アプリで言葉を検索してしまう。実に奥の深いゲーム内容だ。
様々な課題をクリアすれば多くの報酬を得ることもできる、いわゆるミッションもかなり充実している。
無課金でも充分に楽しめるはずだ。
キャラクターはガチャなどで獲得できる。
コラボなどイベントも多々あり、キャラクター集めだけでもかなりのやり応えを感じられるだろう。
グラフィックや音楽
全体的にクオリティが高く、とりわけコトダマンというキャラクターたちがダイナミックに動く豊かなアニメーションは必見。
またレアリティの低いキャラクターもフルボイスで喋りまくるというのが魅力的。声優陣も、藍原ことみや飯田友子といった人気上昇中の若手声優や、内田真礼や佐倉綾音、小野友樹や杉田智和といった大人気声優まで、万遍なくキャスティングされているといった印象を受ける。
さらに新日本プロレスとのコラボで登場するコトダマンは、モデルの本人自身が声優を務めており、オカダ・カズチカ役はオカダ・カズチカであり、真壁刀義役は真壁刀義が演じているといった、プロレスファン必聴の内容となっている。
そしてコトダマンのキャラクターデザインのデフォルメ感が、どことなく「ビックリマンシール」に近いものがあり、なんとも親しみ覚えることができるという点も特筆すべきところか。スマートフォンという現代のゲーム環境を最大に活かした新しさの詰まったゲームであるが、不思議と郷愁のようなものも存在しているゲームなのである。
総合評価
上記にあるように、様々に優れた点のあるゲームであるが、しかし単に絵やサウンドなどのクオリティが高いだけでなく、例えばキャラクターを進化させようとしていて素材が不足していた時に、そこからワンタップでドロップできるステージに飛ぶことができるなど、とにかくゲーム設計やデザインが上手く、どこまでもストレスなく遊び続けることができるなど、ゲームとして実に優れている点が、最も高く評価できるところなのではないかとも思う。
さらに、ガチャの排出率も悪くなく、普通にプレイしているだけでもかなりの数を引くことができるなど、ユーザーフレンドリーな作りになっていることも素晴らしい。
老若男女問わず、誰もが安心して楽しめる作品といえるだろう。