本作は、日本人でも馴染み深い「三国志」を題材としたスマートフォン向け戦略ストラテジー＆シミュレーションゲームで、プレイヤーはとある小国の君主となり、富国強兵を推し進め、他プレイヤーたちと中華の覇権を争っていくことになる。

正直、実にありがちな内容で、もはや今更感もある作りであるが、オーソドックスであるからこその安心感というか、応用の効く遊び方が可能となる懐の深さがある。戦略性や国造りなど、１つ１つの要素がしっかり丁寧に作り込まれており、上質のシミュレーションゲームといえる完成度の高さもある。

さらに戦略ゲームには珍しく、ＮＰＣとの戦いでレベルアップしていける「ダンジョンモード」なども設置されており、やり込むほどに侮れないゲームだということがわかるだろう。

ストーリー

戦略ストラテジーゲームであるが、ダンジョンモードにより、題材となる三国志のストーリーを追体験することができる。

黄巾の乱から始まり、様々な歴史的名合戦の数々がステージとなっており、ステージを進め、様々なミッションをクリアするほどに、新しい武将や国造りのための施設などを獲得することができるので、どんどん進めていこう。

敵が強くなり、ダンジョンクリアが難しくなってきたら、今度は国造りパートへと戻り、兵力の増強や武将の強化などをしていこう。

ゲームシステム

まずは魏・呉・蜀の三国から選択するわけだが、これは初期位置や初めのナビゲートキャラクターを決める程度のものなので、それほど悩まなくてもいいだろう。

ゲームを進めれば、すぐに他国の武将もわんさか獲得することが可能だ。

まずはとにかく自国を発展させていこう。

農業などの生産業を充実させ、その資源によって施設を作り、工業を発展させ、富を産み出していく。

金を使えば兵力を整えることができる。

雇用した武将に兵を預ければ、軍隊を形成できる。

その軍隊を使って、ダンジョンモードに挑めば、さらなる富の獲得や、武将の強化なども可能。並行してどんどん進めていこう。

軍事力を充実させ、自国を脅かす賊を退治し、攻め込んでくる他プレイヤーの軍を撃退する。

そうして力を手にしていけば、今度はこちらが他国を侵略し、富を略奪することも可能となる。

果てしない戦国時代の幕開けである。

イベントやミッションなどが細かく設定されており、やり込み要素も満点。

国を発展させて施設を建てれば、武将の武具を製作したりもできるようになるなど、コンテンツ数も多い作品である。

グラフィックや音楽

グラフィックはそこそこといった感じ。特段、美麗というわけでもなく、大迫力というわけでもない。キャラクターデザインなどから見ても、２０年以上前のゲームのような、レトロ感漂う雰囲気すらある。

その硬派さは、かつての戦略ゲームファンなど、オールドゲーマーに引っ掛かるか。

一方、可愛いヒロインや武将などもちゃんと用意されているが、ボイスなどもないので、若いユーザーにはあまり響いてこないかも？

また、画像や文字など、全体的に小さすぎるのも、いささか気になってしまった。戦略ゲームの情報量では仕方のないことかもしれないが、携帯端末の機種によっては、かなりゲームがやり難いかもしれない。

総合評価

目新しさはないけれど、だからこそ安心して遊べるといった作品。丁寧に作られているからこそ、何だかんだで楽しく感じられる内容でもあり、やり応えもしっかり感じられる。決して傑作とはいえないが、充分な佳作といえる。ダウンロードしても損にはならないはずだ。

題材でまず三国志好きにオススメできるゲームであるが、上記の雰囲気からして、戦略ゲーム好きにもオススメすることができるだろう。とりわけ他プレイヤーとの対戦、共闘や裏切りなど、戦略面の本格性が実に高く、ＮＰＣ戦にはないタイプの緊張感と歯応えを味わことができるのが素晴らしい。

一見して合わない感じのある若いユーザーでも、モバストなどのストラテジーゲームにハマった経験がる人なら、この作品にもぴったり適合するかも。とにかくチュートリアルがしっかりと作り込まれているし、チャットなどコミュニティも充実しているので、敷居はかなり低いといえる。まずはぜひ、お試しでプレイしてみてほしい。