本作は、その名の通り「三国志」を題材とした作品で、ジャンルは本格戦略シミュレーションゲームとなっている。
題材としてもゲームジャンルとしても、既に多くの作品がありすぎて、独自性は薄い。肝心の内容も、箱庭ゲーム的な領地の発展と拡大、資源の略奪と防衛という、スマートフォンゲームではあまりにもよく見かけるものなので、新たに始めたり、同ジャンルのゲームからわざわざ乗り換えることにはどうしても躊躇してしまうものがある。
ただそれでも多くの支持を集め、世界各地で根強い人気を獲得しているのは、ひとえに徹底した本格さと作り込みの深さに他ならない。
リアルタイム制と200万マスを超える広大なマップを利用した戦略性の奥深さと、300名以上という大人数で組める同盟というスケール大きさ、さらに100以上もの戦術をとれるという多様性など、戦略シミュレーションゲームとしてたいへん完成度が高く、ワクワクするものがある。
三国志好きでなくとも、シミュレーションゲーム好きなら試してみたくなる作品だ。
ストーリー
中国の後漢末期、日本人でも多くの者が知り、親しみを覚えている「三国志」の世界が舞台となっている。
プレイヤーは滅亡の危機に瀕していたとある領地を救い、新しい君主として国と民を導き、天下統一を目指していくことになる。
登場し、使用できるキャラクターは、もちろん三国志でお馴染みの英雄英傑たち。ガチャなどで獲得し、軍を率いる武将を任せたりできる。経験値による育成も可能。また「分解」により、戦法分析や素材化もできる。
ゲームはリアルタイム制で、大人数プレイヤーが同時にゲームを進め、ぶつかり合うようになっている。
サーバーごとに時代が設定されており、指定されている条件に達すると次の時代へと移り変わる。時間の制約があるだけに、時には同盟などで手を組み、共闘していくことも必要となるだろう。
ゲームシステム
まずは13州の中から好きな州を選び、拠点を構えることになる。
世界各地で遊ばれているゲームだが、日本サーバーは新規のものなので、いきなり手練れの海外勢力に食われることはないはず。
まずは練習がてらのプレイと割り切り、色々と試してみるのがいいだろう。
ゲームは領地の発展と出兵を繰り返していくもの。
フィールドがマス目状に区切られており、自分の領地から周囲8マスにだけ兵を派遣することができる。
そこでの戦闘に勝利すれば。そのマスを占領することができる。
占領地からは一定時間で自動的に資源を回収することができるので、必然的に土地の所有権を争って他プレイヤーとのバトルになる。
進軍と戦闘はフルオート。
本営と中衛、そして前衛にそれぞれ武将を1人ずつセットして、舞台を編成しておこう。
兵力は自動で回復しないので、戦闘後に補充するのをお忘れなく。
本作の勝利の鍵は、いかに素早く領地を広げ、獲得した資源を効果的に運用できるかにある。
効率をよくよく考えないと、あっという間に石材が枯渇し、発展に行き詰ってしまうので注意が必要。
例えば、攻めるにも守るにも部隊とその兵士が必要となるので、校場をアップグレードして部隊数を増やすのを最優先にするべきであるが、並行して「任務」に沿った施設の建造やアップグレードを行っていくと、報酬により上手く資源が補充でき、スムーズに発展させることができるはずだ。
グラフィックや音楽
グラフィックを中心にクオリティの高さを窺い知ることができるが、キャラクターデザインの統一性が薄く、さらに硬派な作りや背景に合致しない女性向けの美形デザインなども多いため、若干の違和感を覚えることもある。
武将とのストーリーやイベントもなく、設定などを開設するテキストも少なく、広大なマップの割には世界観の作り込みが薄い点もやや気になってしまった。
ただゲームデザインの完成度はきわめて高く、とにかく見易く、遊び易い。やることの多いゲームなだけに、ガイド機能やヘルプが充実しているのは本当に助かる。
総合評価
操作や基本のシステムこそ簡単かつシンプルなものであるが、広大なマップと、超多人数によるマルチプレイというゲーム条件が、一気に複雑性と多様性を付与してくれているように思う。
人間と人間の戦いだからこそ起きる、予期せぬ展開や不条理な出来事など、常に先の読めないスリリングな対戦を楽しむことができるだろう。
そういった意味では、三国志ファン以上に、本格戦略シミュレーションゲームが好きなヘビーユーザー向けの作品といえる。
まさしく「天下を獲る」夢を見ることができる骨太なゲームだ。腕に自信があるプレイヤーは、ぜひとも挑戦してみてほしい。