本作は、宇宙を舞台にしたSFシミュレーションRPGで、プレイヤーは「ピクシー」と呼ばれる美少女型の人工生命体たちを率いて、銀河を支配する帝国軍に立ち向かっていくといった内容となっている。
「ピクシー」たちはそのまま戦うわけではなく、皆「スーツ」という多彩な巨大ロボットに搭乗して戦闘に臨むことになる。
ギャルゲー+ロボ+スペースオペラという、なんとも男性ユーザーが好きなものを全部詰め込んだような要素の組み合わせ方だ。
1つでも引っ掛かるものがあったら、ぜひとも試してみてほしい。
ストーリー
物語は、基本的にはコメディタッチで進みつつも、時折激しい戦争ドラマや、シビアでシリアスなシーンを盛り込んでくる構成となっている。
テキストは、現代ライトノベルというよりは、伝統的ギャルゲーの文体で、とにかくインパクトとキャラクターの個性を前面に押し出したもの。苦手な人もいるかもしれないが、ギャルゲーやヒロイン中心のアドベンチャーゲームを好むユーザーなら、きっと楽しめるはず。
「ピクシー」たちは皆たいへん個性的で、容姿も性格も様々。そうした彼女たちとは、メインストーリーだけでなく「ピクシールーム」というコンテンツ内で個別にコミュニケーションをとることができる。
会話やプレゼントで親密度を上げれば、新しいスキルや必殺技を修得することもあるだろう。
なので、好きなピクシーを中心に、積極的に「攻略」していった方が、戦闘もより楽になっていくのである。
ゲームシステム
コンテンツ数こそまだまだ少なく見えるが、1つ1つがたいへん濃いので、ボリューム不足という感はない。
メインストーリーを進めていくだけでも多くの時間を必要とするほど、大量のステージが待ち構えている。
ステージの前後にはアドベンチャーパートが挿し込まれ、物語が展開していく。
細かい設定やキャラクターの内面を描いたサイドストーリーもしっかりしているので、アドベンチャーゲームとしてだけでも充分に満足感を得られるだろう。
一方、バトルパートは、しっかりとした作りの硬派なシミュレーションRPGで、戦略性の高いものとなっている。
ターン制で動かしていくオーソドックスなシステムだが、近接攻撃と遠距離攻撃の使い分けが重要となるような戦術性もあり、やり応えは充分。
それでいて進行速度が速いので、ストレスなく攻略していくことができる。
ヒロインキャラクターたちが、ガチャではなく、ストーリーを進行していけば登場し、仲間になる、というスマートフォン向けゲームとは思えない作りになっていることも、たいへん嬉しい要素といえる。
育成と強化、そしてコミュニケーションもまた大ボリュームとなっているので、美少女キャラクター目的でも満足いくゲームとなることだろう。
グラフィックや音楽
グラフィックのクオリティはたいへん高く、シミュレーションバトルパートもアドベンチャーパートも、それぞれ1つのゲームとして成立するほどの完成度となっている。
メカデザインもキャラクターデザインもたいへん素晴らしく、個性的な上に、ロボットはかっこよくて、女の子は可愛らしい。メカ好きも美少女好きも満足いくはずだ。
特に女の子たちに関しては、縦横自在に様々な角度で堪能できる「観察モード」などもあり、好きなだけ眺めることも可能だ。
さらにそこでは、ゴーグルを使用しての「VRモード」までもが楽しめる。
また、女の子たちには豪華声優陣もキャスティングされており、三森すずこや上坂すみれなど、今を時めく若手人気声優がズラリと揃っているので、アニメ好きや声優好きのユーザーも大いに注目できるだろう。
総合評価
シミュレーションRPGとしてもギャルゲーとしても優秀作と高く評価できる作品。とにかく品質が良いので、様々な層のプレイヤーが満足いくはずだ。
ただ「スーツ」と「ピクシー」を組み合わせてパーティを編成するだけでも、かなりのボリュームがあり、またちょっと複雑すぎるところもあって、気軽に楽しめるようなライト感はないかも。
それでも、シミュレーションRPGでありながらオート機能もついており、ライトユーザーは遊べないというわけではない。序盤をオートで進行していく内に、慣れて理解していくこともできるのではないだろうか。
今現在、海外版も含めてどんどん新要素が足され、更なるボリュームアップを重ねていっているということもあり、今後の展開に大いに期待できる作品でもある。