フリーゲームでありながら実況動画配信などの効果でじわじわと人気を獲得し、ついには映画化するまでになった大人気ホラーアクションアドベンチャーゲーム「青鬼」シリーズ……本作はその3作目に当たり、よりスケールの大きくなった内容を楽しむことができるようになっている。
基本的には、スワイプとタップでマップを探索していく、簡単操作の脱出ゲームといった作りであるが、突如として出現し襲いかかってくる不気味な存在「青鬼」からひたすら逃げ回るという、シリーズおなじみのホラーアクション要素が加わることによって、常に緊張感のあるゲーム体験となる。ハラハラドキドキを求めるユーザーには、ぜひとも挑戦してほしいといえる作品だ。
ストーリー
3作目の舞台となるのは、かつて炭鉱として栄えたものの、突如として閉鎖され、地図上からも消されてしまったという、謎の多い無人島である。
楽しい旅行の帰りに、不運にも海難事故に遭い、この無人島へと流れついてしまった主人公たちは、襲いかかってくる「青鬼」から逃げ回りながら、脱出のための手段を探していく。
各所に仕掛けられた様々な謎を解き、やがて彼らは島と「青鬼」の真実を垣間見るようになっていく。はたして恐怖の果てには何が待っているのか。
用意されているのは「ひろし編」や「たけし編」など、複数のシナリオ。操作するキャラクターの切り替えも可能で、アグレッシブに展開していく物語を楽しむことができるだろう。
ゲームシステム
洋館、廃校と舞台をスケールアップしてきたシリーズ。その3作目は、無人島という大マップ。また一気に規模が拡大したものである。
軍艦島のような無人島には、廃病院などもあり、どこに行っても落ち着ける場所がない。
出現するのは、もちろん青いあいつ。3作目ともなると、ガチャでマスク(スキン)を入手し、見た目を変えることもできるのだ。
操作できるキャラクターは、ゲームを進めていくと解放されていく。
切り替えながら、お互いを助け合って攻略していくなど、本作ではより複雑なギミックが加増されている。
課金すれば、倍速モードも解放できる。
操作はバーチャルパッドを使用して行う。
調べたいものや、話しかけたい人には、直接タップすると実行できる。
アイテムをタップしてさらに調べたり、使用することなども可能。
情報やアイテムを集め、待ち受ける多くの謎を解いていこう。
初心者や、アドベンチャーゲームが苦手というユーザーには、救済措置もとられている。
もし謎解きに行き詰まったら、広告動画を視聴してヒントをもらおう。これでクリア不可能ということはなくなるはずだ。
グラフィックや音楽
グラフィックなどは、良くも悪くもシリーズ従来のもので、初期のクオリティが保たれているといった状態である。シリーズのファンとしては歓迎すべきところかもしれないが、新規顧客の目を引くような印象深さはない。ただ、レトロゲーム感のような雰囲気はあるので、懐かしさを求めるようなユーザーには響くところがあるか。
不気味としかいいようのない「青鬼」のデザインは、何度見ても秀逸。慣れてくると妙に愛着を覚える存在でもあり、本作ではガチャで獲得したスキンを使って見た目を変化させることも可能。
ゲームが怖すぎると感じた人は、ぶきみかわいい存在に変えて、恐怖感をちょっとマイルドにしてしまおう。
総合評価
ホラーゲーム好きや、とりわけ「パニックもの」ともいうサスペンス作品などが好きなユーザーには、間違いなくオススメすることができる作品だ。
ひたすら逃げるしかないという絶望感と焦燥感が、実に効果的な恐怖演出としてのしかかり、プレイヤーに臨場感たっぷりのゲーム空間と時間を与えてくれる。
動画配信から人気がついたこともあって、ファンの多くは若いユーザーであるが、そうしたゲーム内容からして、かつてクロックタワーなどのゲームを楽しんだオールドゲーマーにこそ向いている作品ともいえるだろう。
ただ操作性はやや悪かったり、ラグやバグがいささか多いのがマイナス点。
また、謎の作り自体は素晴らしいのであるが、絵や演出の甘さのせいか妙に分かり難いところも多く、行き詰まってしまうことがあるのもいただけない。
それでも工夫をこらしたギミックの数々や、マップジャンプの新機能など、シリーズ作品としてかなりの進化を遂げているのがよくわかる点は、素直に称賛したい。ボリュームも満点なので、作品の雰囲気や世界観にマッチできたなら、かなり満足度の高いものとなることだろう。