本作は、９０年代を代表するともいえる大ヒット漫画「幽☆遊☆白書」を題材としたスマートフォン向けバトルＲＰＧで、プレイヤーは、浦飯幽助や蔵馬たち主人公キャラクターたちから、戸愚呂や仙水忍といったライバルキャラクター、さらにはちょっとマニアックなキャラクターまでを自由に編成して夢のチームを作り、様々なバトルに挑んでいくことになる。

簡単操作により誰でも遊べるゲームとして成立しているゲームであるが、描き下ろしやボイスの新録などがふんだんに盛り込まれていることもあって、原作ファンであるほどに楽しめる作品といえるだろう。

ストーリー

基本的にはアニメ版に準拠した作りとなっており、メインクエストでは、要所要所で懐かしのアニメーションを観つつ、序章である「霊界探偵編」からストーリーを追体験していくことができるようになっている。

オープニング映像には、原作の最終章である「魔界統一トーナメント編」もしっかり映し出されているので、最後まできっちり遊びきることができるはず。

あとはゲームオリジナルエピソードやイベントストーリーなどに期待したいところだ。今後の展開に注目しておきたい。

ゲームシステム

基本的には、クエストでバトルステージに挑み、ストーリーを進めていくことが主なゲーム内容となっている。

クエストは、原作を忠実になぞったストーリーモードや、イベントステージ、さらには挑戦コンテンツである「タワークエスト」などが用意されている。

まずはストーリーを進めて、パーティを強化していこう。

ストーリーの前後には、アドベンチャーパートが挿入され、時にはアニメーションによって、熱いストーリーを体感させてくれる。

フルボイスではないのが残念だが、所々にボイスが付けられている。

バトルはセミオート形式。

プレイヤーはタイミングを見計らって各キャラクターの必殺技を繰り出したり、アイテム使用したりして、バトルを優位に進めていくことができる。

対人戦ではフルオートなので、可能な限りキャラクターを強化しておいた方がいいだろう。

限界突破や覚醒など、スマートフォン向けＲＰＧによくある育成要素がきちんと揃えられている。

キャラクターは主にガチャで獲得可能。

高レアなキャラクターはステータス自体が圧倒的に優秀なので、運や課金で強いパーティを作ることができるだろう。

「暗黒武術会」はシーズン制の対人戦コンテンツで、勝利を重ねてランキング上位に入ることで、豪華報酬を獲得することができる。

デザインや音楽

２頭身のバトル画面や、アドベンチャーパートにおける昔のアニメーションの使い回しなど、いささかチープなところも多く見られる作品であるが、必殺技を忠実に再現した動きや、大迫力のカットイン、さらには描き下ろしのキャラクターグラフィックなど、肝心要の部分にちゃんと力が入っているため、ファンも納得できるクオリティであるといえるだろう。

さらに、キャラクターボイスのキャストには、当時と変わらず佐々木望や千葉繁、緒方恵美に檜山修之といった大ベテラン声優たちが起用されており、新録ボイスを堪能することができるようになっている。原作ファンも声優ファンも狂喜乱舞といえる、おそろしく豪華な内容だ。

長い月日が経っているため、残念ながら鬼籍に入ってしまった声優もいるのであるが、そうしたキャラクターについては松井恵理子などの若手実力派声優が抜擢されており、忠実に「再現」された神業ともいえるボイスを聴くことができる。これもまた大いに魅力的なところといえるだろう。

総合評価

原作、あるいはアニメ版のファンならば、間違いなく楽しめる作品。操作はきわめて簡単で、難易度も全体的にかなり低めに設定されているので、ゲームが苦手な人でも、気楽に遊ぶことができるだろう。

ただ、そうした設定のため、強い手応えや達成感、深いゲーム性などを求めるヘビーユーザーにはちょっと向かないところがある。コンテンツ数も配信開始から間もない現在では少なめといえる量で、ボリューム感は薄め。あっさり遊び尽くしてしまったというユーザーも多いかも。

それでも、テンポの良いバトルや、とことん遊び易く作られたゲームデザインなど、サブゲームとして息抜きにちょっとプレイする、という遊び方で、長く楽しんでいくこともできそう。

今後のアップグレードなど、かなりの余地と可能性も多く見られる作品なので、長い目で見守りつつ、遊び続けていきたい。