本作は「週刊少年ジャンプ」の創刊50周年を記念して製作されたスマートフォン向けRPGで、かつての「ファミコンジャンプ」を思わせるようなオールスター作品となっている。
プレイヤーは「編集者」となって自分だけのジャンプ……「オレジャンプ」を作ることになる。1960年代から始まるジャンプ作品が多数登場し、様々なヒーローキャラクターたちや、恐ろしくも魅力的な敵キャラクターたちに出会い、戦い、それぞれの物語を追体験していくのだ。
ゲーム内容としてはセミオート形式のコマンドバトルRPGという、きわめてオーソドックスなスタイルであるが、キャラクターの必殺技が原作漫画の絵とコマを用いたアニメーションで表示されるといった、究極の独自性があるものになっている。ファンにとってはまったくたまらない作品といえるだろう。
ストーリー
ジャンプワールドにおいて、あらゆる年代やジャンルを超えて様々な作品を繋ぎ合わせ、1冊の「最強のジャンプ」を作り、「最強の編集者」に到達することがプレイヤーの目的となる。
50年で600作品以上もあるジャンプ作品……その全てが登場しているわけではないが、古くは「男一匹ガキ大将」「銀牙 流れ星 銀」「ど根性ガエル」から、最新の「火ノ丸相撲」「ワールドトリガー」「銀魂」「斉木楠雄のΨ難」まで、各世代の様々な作品がズラリと並んでおり、充分すぎるほどのボリュームがある。
今の30代以上に響く「シティーハンター」「幽☆遊☆白書」「BOY」「地獄先生ぬ~べ~」などももちろんのこと、世界に通じる大メジャー作品「DRAGON BALL」「ONE PIECE」なども登場。
あの作品この作品がないという声は必ず出てくるだろうが、それは今後のアップデートやイベントによる追加に期待することができるだろう。
ゲームシステム
ナビゲーターのお姉さんに導かれ、新米編集者として自分だけのジャンプ編集に臨むことになるプレイヤー。
キャラクターはバトルの報酬やガチャで獲得することができる。
自分の好きなキャラクターで、メイン3人サポート2人のパーティを作り、様々なバトルに挑んでいこう。
パーティに組み込んだキャラクターが、プレイヤーだけのジャンプの表紙となり、ホーム画面を飾ってくれる。
ジャンプファンには、なんともグッとくる仕掛けだ。
キャラクターには、同じくガチャなどで入手できる「シーンカード」と呼ばれるものをセットすることで、ステータスアップなどをはかることができる。
カードに描かれたシーンは、どれも珠玉の名シーンばかり。単に育成のアイテムにはならない、たいへん重みのあるものとなるので、いっそうプレイに熱が入ることだろう。
バトルはセミオート形式で、時間経過でスキル攻撃を繰り出すことが可能。
誰でも操作できる超簡単設計だ。
スキル攻撃、必殺技は、漫画をそのまま動かしたような演出のアニメーションにより、迫力満点で描き出される。
これがまた異様に熱く、かなりの快感を味わうことができるだろう。
グラフィックや音楽
原作のコマが3Dエフェクトによって動き、キャラクターが躍動するグラフィックは、たいへん素晴らしく、さらにオノマトペや吹き出しなど、感動の名シーンや大迫力のシーン、名台詞や決め台詞を利用した「作品世界の再現」の度合いは見事という他ない。
作品とキャラクターの個性の抽出の成功は、あらゆる時代のあらゆるファンを納得させ、興奮できるものとしているといえるだろう。
ボイスなどが付いていないのはたいへん残念であるが、さすがにそこまでは無理か。しかしよく作られているからこそ、なおさら期待をしてしまうのである。
総合評価
「週刊少年ジャンプ」という雑誌の「厚み」をこれ以上なくよく理解し、表現することに成功したゲーム。
RPG作品としては正直凡庸で、特別な面白さや目新しさもないゲームとなってしまっているものの、原作の漫画の良さと、ファンの熱意と愛情に最大限リスペクトした作りの数々はとにかくたいしたもので、プレイする人の感情や記憶によっては、名作傑作と評価できることになるはずだ。
ジャンプファン、漫画好き、または登場するジャンプ作品の1つにでも思い入れのある方は、ぜひともダウンロードし、プレイしてみてほしい。きっと良き体験となることだろう。