世界規模で人気のある日本漫画の代表的作品「キャプテン翼」は、これまで幾度となくゲーム化もされてきた。
その中でも特に、ある意味で原作漫画を超えて愛され続けているテクモ製のファミコン版……このKlab製のスマートフォン版では、原作漫画のシナリオやキャラクターだけでなく、このテクモ作品も再現対象になっており、懐かしの「あのキャラクター」や「あの必殺技」まで再び見ることが可能。しかも美麗なCGだけでなく、新録のボイス付きでだ。
ゲーム内容は、サッカーシミュレーションゲームで、システムや設計はテクモ版が根幹になっている感じ。フィールド上でのドリプルとパスの指示、マッチアップでのコマンド選択や、ど迫力の必殺技演出など、オールドゲーマーは懐かしさで涙もこぼれてしまうほど。
一方、立ち絵のグラフィックやイベントシーンの再現は原作漫画のタッチで、漫画ファンやアニメファンも熱狂できるよう作られている。
「キャプつば」ファンなら、きっと満足できるゲームである。
ストーリー
メインのシナリオは、原作漫画の第2シリーズ「中学生編」から始まる。南葛中の全国大会3連覇をかけた、熱いバトルの数々が描かれている。
「中学生編」をクリアすれば、次は「Jrユース編」で、次々と立ちはだかる世界の強豪たちとの戦いが展開していく。この流れは原作漫画通りだ。
だがその他にも、個々のキャラクターを掘り下げたシナリオや、イベント用の特別シナリオなども多々用意されている。
さらにガチャで排出予定のキャラクターの一覧には、ゲーム版や、現在連載中の漫画「キャプテン翼 ライジングサン」に登場するキャラクターの名前まで見ることができる。今後ますます幅広い展開を見せていくことだろう。実に楽しみだ。
ゲームシステム
まずはスマートフォン向けゲームお馴染みのチュートリアル。指示に従って操作していこう。
ナビゲーターは葛飾に銅像も建立している中沢早苗さんじゃないか! 翼くんの奥様じゃないか!
試合はカットイン演出やボイス、超大迫力の必殺技映像などがガンガン挿し込まれる、たいへん熱いものとなっている。
ドリブルにパス、タックルにブロックと、あらゆるコマンドにはスタミナが設定されており、配分などには常に注意していなくてはならない。
とりわけ必殺技には多大なスタミナが必要となる。ここぞというチャンスに「くっ、ガッツが足らない!」とならないよう、使いどころを見極めよう。
テクモ版で何度も見たカットである。な、懐かしい!
原作やゲーム版で関わりのあるキャラクター同士がマッチアップすると、専用の演出やカットインが挿入され、また一段と熱くなれる。
メインはストーリーを進めていくモードだが、対人戦などのコンテンツもきちんと用意されている。
必殺技伝授などの独自性高い育成要素にも大いに注目したい。
グラフィックや音楽
原作絵の良さと独特の雰囲気を活かしつつ、3DCGで豪快に爽快に描出した必殺技の数々など、グラフィックのクオリティはたいへん高く、お見事という他ない。
音楽や懐かしの主題歌のクオリティもまた高く、あらゆるシーンで感情が高まるのを感じるほど。
さらにボイスの存在が、作品ファンや声優ファンを喜ばせる。昭和アニメ版と同じ日比野朱里(当時は小粥よう子)や鈴木れい子といった大ベテラン声優から、宮野真守や梶裕貴といった現代を代表する大人気声優たちまで、そのキャスティングは幅広く、あらゆる世代のファンが納得のいくものとなっている。
とにかく、これまでボイスが付いていなかったキャラクターにも、ついにボイスが付くようになったのはたいへん嬉しい。個人的には原作の「ROAD TO 2002」などで大活躍したサルバトーレ・ジェンティーレに声がついたのが嬉しかった。声優は中村悠一。これ以上なくぴったりのボイスであった。
総合評価
あらゆる「キャプテン翼ファン」待望のゲームであると断言してもいい作品である。ファンであれば、間違いなく長く楽しめることだろう。
それだけに、原作を知らないと、とても入っていけそうにない高いハードルを感じてしまうかもしれないが、一応メインストーリーなどは丁寧に構築されているので、未読未視聴であろうとも、問題なく楽しめる作りにはなっている。
どのキャラクターもたいへん魅力ある描写と演出が施されているので、このゲームをきっかけにして、新規の女性ファンなどが増えていくかもしれない。
様々な可能性に満ちた良作である。