パオン・ディーピーにより配信されている本作は、公式曰く「RTSとMOBAとRPGを融合させた新ジャンル」であるらしい。
正直なんのこっちゃいといいたくなるが、簡単にいえばリアルタイムに推移するバトルフィールドに召喚したユニットを操作し、対戦相手の拠点を攻め落としていくといったゲーム内容だ。
RTSというのはコスト消費でユニットを召喚する部分、MOBAというのはリアルタイムの戦場で細部まで操作して戦うといった部分、そしてRPGというのはユニットの収集や育成要素の部分を指すのだろう。
ライトユーザーにはなかなかハードル高めの作品だが、大いに魅力ある作品である。
ストーリー
設定は過去・現在・未来で起きる様々な事件と戦いが入り乱れる奥深いもの。
プレイヤーは各時代に生きる個性的なサマナー(召喚士)たちを操作し、バトルに臨む。
初めは選択した1つの時代のキャラクターしか使用できないが、やがてステージが進んでいけば、空間を超え、時代を超え、各時代のメンバーが全員集合し、好きなようにパーティを組めるようになる。なかなか魅力的な設定と舞台だ。
しかしながらそれを活かす物語がほとんどなく、とにかく「説明」というものが欠けており、内容どころか世界観まで上手く掴めないままステージだけがどんどん進んでいってしまう。これは本当にもったいない。
公式のアプリ紹介
個性豊かな6人のサマナーたちと時を超えた大戦に出かけよう!
◆同時多発、協力プレイ
最大4人で共に戦えるマルチプレイ搭載!友だちを誘ってみんなで遊ぼう!
◆最強を目指せ!対戦プレイ
様々なプレイヤーとリアルタイムPvPで勝負!戦略を練って勝利をつかめ!
◆戦略は無限大
キャラ・装備・召喚ユニット・地形…組み合わせ次第で戦い方は無限に広がる!
◆装備進化で強くなる
全装備・全レアリティが3段階進化!進化すればするほど、戦況が有利に!
◆戦いの舞台は過去・現在・未来
時空を飛び回り、史上最強を目指そう!
ゲームシステム
まずはキャラクター選択。過去・現在・未来から、1つの時代を選択しよう。しばらくは選択した時代のキャラクター2人を操作していくことになる。
メインクエストを進行していけば、他の時代も解放され、残りのキャラクターたちも使用することができるようになる。
クエストはスタミナ消費制。スタミナは時間経過で回復する。
こうしたクエストに臨むシングルプレイの他には、最大4人参加のマルチプレイモードもあり、対人戦を楽しむことができる。
バトルは最大4キャラクター編成で、1キャラクターずつ操作していく必要がある。なのでかなりバトルは慌ただしく、ボヤボヤしてると後ろからバッサリだ。
キャラクターのアイコンをタップするとユニットが召喚ができ、ハートがある分だけいくらでも増やすことができる。
プレイヤーは敵と戦いつつ、戦況を把握して、ハートを増やす採掘施設を増設したり、有利な地形を陣取ったりといった戦略的思考をフル回転させていかなければならないだろう。
スマートフォン向けゲームにありがちな「ガチャ」では、キャラクターの武器や防具を入手することができる。装備を変えれば見た目にも反映されるので、カスタマイズが楽しい。
召喚できるユニットは装備した武器によって異なる。様々なタイプのユニットが存在するので、自分に合ったユニットを探すのも楽しみの1つとなるだろう。
グラフィックやBGM
別段、良くもないが悪くもない。グラフィックは並、音楽は平凡。ただ背景などはなかなかに美しく、見応えがある。
肝心のバトル画面はいささか見難く、召喚する度にごちゃごちゃと視界が狭まり、プレイに集中するのが難しくなってしまう。そこにさらに派手なエフェクトも加わるので、戦場が全く見えなくなってしまうことすらある。
キャラクターのカスタマイズはなかなか豊富でどれも可愛らしく、たいへん魅力的。ただデザインは全体的にちょっと古め。
総合評価
RTS+MOBA+RPG……いいとこ取りといえば大成功に思えるが、実際は各要素がごちゃ混ぜなだけで無駄に複雑化し、ゲーム内容を上手く消化できていないような状態になってしまっている。
システム面でも脆弱すぎる部分が散見でき、特に今時のスマートフォン向けゲームだというのにスキップどころか倍速機能も搭載されていないのはかなり問題ではないかと思う。
またユニットをいちいち全員操作しないと本当に何一つ動かないというのはMOBAとして致命的欠陥といわざるをえない。何故オートやAI搭載などを付けなかったのか理解できない。
そういったことにより、1バトルがダラダラと長く、テンポもおそろしく悪いので、とにかくステージに臨むのが苦痛。
ただそれでも多様性という点はきわめて高く、戦術性戦略性を求められるゲームを好む骨太ユーザーにとっては大歓迎のゲームといえるかもしれない。
難易度も高いが、それだけに歯応えを望むヘビーユーザーにも最適。
こだわりや斬新さや複雑性のあるゲームを待っていた人にも響く作品だ。
高いハードルを越えられるプレイヤーには、充実感あるバトルを楽しめることだろう。