『7人の魔導師 -7 Mages-』はなんとびっくり、チェコ共和国発のゲームである。
内容は古典ともいえる本格3Dダンジョン探索RPGで、ウィザードリィやディープダンジョンといった作品を思わせるものがある作品だ。
モチーフはタイトル通り「七人の侍」や「荒野の七人」らしく、プレイヤーは邪悪から国を救う七人の魔術師の一人となって、他のメンバーを探しながら、様々なエリアでの冒険を繰り広げていく。古典的3DRPGである共に、ホラーゲームの雰囲気と、難解な謎解き要素などが加わり、現代ではちょっと珍しさすら覚える実に独特な作品となっている。
ゲームレビュー
ストーリー
プレイヤーは七人の魔導士の内の一人。ゲームを始めると、まずはプレイヤー名とアバターを決定することになる。
すると千年の時を語る壮大かつ荘厳なシナリオが文字で表示される……が、これはどうにもあまり本編と関係がない。
というのも、次の瞬間には、プレイヤーは何処かの何だかよくわからないダンジョンの中にいて、宿屋の女主人の宝石箱と魔術師の一人を探してくるというミッションに臨んでいるからだ。ゾンビやスケルトンが動き回るこの危険な場所に、真っ裸で!
実はこのゲーム、翻訳がかなり怪しい。テキストの大半はあまりアテにならないので、わからなくなったら公式ホームページで確認した方が正確だし早い。ただし英語なので英語力が必須になってしまうが。
色々と調べてみると、どうやら開始時のこのダンジョンは、宿屋の地下らしい。なるほど、まずはチュートリアルだよな!……と思っていた時期が私にもありました。
そこは恐ろしく広大で、凶悪で、難解なダンジョン……はたしてプレイヤーは、このただのお使いみたいなファーストミッションを無事にクリアすることができるのであろうか。
概要
いきなり装備なしでダンジョンに放り出されたプレイヤー。
初めに武器と回復アイテムがあるが、それを装備したところであまりたいした意味がないので心してほしい。いや、だって武器、たった数回使っただけですぐに壊れるから。
しばらく歩くと目的のアイテムをいきなり発見。しかしそこからどうしていいのか、一切説明がない。これが地獄の始まりなのであった。
ダンジョンを徘徊するモンスターと遭遇すると、ターン制のバトルモードとなる。
打撃、魔法、そして音楽を使い分け、敵を倒していこう。
さて、『7人の魔導師 -7 Mages-』の最大の敵が、モンスターよりもこれである。
……おわかりいただけただろうか。
これ、初期はインベントリが6つしかないのである。それ以上入手すると、自動的に捨てられてしまうのだ。なので、マップの何処かにアイテムをストックしておくスペースを設けるなどして、常に整理しておかなければならない。めんどう!
なんとかヒントくらいないものだろうか、とメニュー画面を探っていると、日記帳のようなページを発見。ここでストーリーの詳細などを確認できるらしい。
ただ、これもご覧の通り、かなり翻訳が怪しい。
っていうか、宿屋の地下っていってたのに、何で地下鉄になっているんだよ! 何の当てにもならない!
総合評価
PS2とPS3の中間辺り、といったようなレベルのグラフィック。ひと昔前のPCゲームといった方が適しているか。特に美麗というわけでもなく、何か特徴があるわけでもない。動きも全体的にもっさりしていて、スピーディさが基本の現代ゲームに慣れた若いプレイヤーにはかなりストレスが溜まってしまうかも。
デザインも全てがグロテスクで、可愛いも綺麗も一切存在しない。そうだ、ダンジョンに出会いなど求めてはいけないのだ。
そんなライトゲーマーお断りの、なんだか頑固おやじの店みたいな雰囲気すら覚えるゲームであるが、かつてのダンジョンゲームを愛したオールドゲーマーたちにとっては、全てが味になり、わびさびとなる。ここには単純なノスタルジーを超えた何かがあるのだ。
なんといっても、ハードルが恐ろしく高い。まず若いユーザーやライトゲーマーは、たとえお試しでも触れることを躊躇うようなオーラを放っている。そして実際、このゲームはおかしいくらいに難易度が高く、プレイヤーをとことん突き放してくる。
「いやいやこれでも世界樹の迷宮とかでこういったゲームに慣れているから!」と言ってダンジョンへと降りていった若者たちの多くが還ってこなかった。いいかいお若いの、このゲームにはヒントもない、救済もない、ただただガチの探索と戦闘と謎解きだけがあるのだ。決して軽はずみに触れてはいけないよ。
……などと上から目線で語っているが、かくゆうわたしも最初のダンジョンが少しもクリアできないでいる。回復手段が全くなくなって詰んだこともある。
『7人の魔導師 -7 Mages-』はぬるいゲームに飽き飽きしたヘビーユーザーにこそ相応しい作品だ。そしてかつて迷宮に潜っていたオールドゲーマーたちに触れてほしいゲームでもある。
このように、かなり人を選んでしまうが、刺さる人にとっては刺さる……そんな作品なのであった。
口コミ
予想はしていたが、思いのほかユーザー評価が高い。恐らくこの独特の雰囲気に魅了されたヘビーユーザーがこぞってインストールして遊んでいるのだろう。
かなりヒントになる口コミをありがとう。これで私も再チャレンジ出来そうだ。問題は気力だけか……
日本語化の問題がやはり大きな壁か。ただし、意味が分からなくとも十分に楽しめるポテンシャルはある。我こそはというヘビーユーザーは是非トライして欲しい。