『12オーディンズ』は、2016年1月26日より配信開始となったスマートフォン向けRPGで、配信開始から3ヶ月で50万ダウンロードを超えるなど、その人気ぶりは上々だ。
シナリオやシステムも王道といえる作りで、実に馴染みのある世界の広がりに、何の抵抗もなくゲームへと没頭することができる。
独自性として協力対戦やバトル中のリアルタイムチャットを提示していたりと、ただ王道をなぞるだけのゲームではないという工夫が随所に見え、じっくり遊べる作品となっている。
ストーリー
プレイヤーキャラとその幼馴染の少女レオナは、共に14歳の誕生日を迎え、村に伝わる成人の儀式に挑むことになる。
無事に儀式を終え村に帰ろうとした二人は、偶然にも傷ついた竜の子どもを発見。それをきっかけにして、竜の伝説をめぐる冒険の度に出ることとなる。
かつて世界を滅ぼしかけたという魔竜の爪痕が残る世界「ウルザール」を舞台に、二人は約束の地と、消えたレオナの両親を探す冒険の旅を繰り広げるのであった。
ゲームシステム
ゲームをスタートすると、まずはRPGの「いつもの」であるキャラクターメイクの時間が始まる。 といっても、性別や髪型を決められる程度で、今時のRPGにしてはちょっとバリエーションが少ないように思えるくらいなので、それほど悩まずに作り上げることができるだろう。
キャラメイクが好きな人にとっては、このバリエーションの少なさに物足りなさを感じるかもしれないが、後に豊富すぎる種類の装備品の数々が出てくることによって気にならなくなる。
キャラメイクよりも、装備などの装飾でオリジナリティーを出していくゲーム。
またジョブチェンジも豊富で、しかも制限なく変更することるできる。レベルが上がっていけば次々にクラスチェンジしていくことも可能だ。
バトル
バトルは基本的にはオートで進んでいく方式で、プレイヤーはスキルボタンをタップする程度の簡単操作である。一見単純なゲームに見えるが、『12オーディンズ』のバトルシステムはかなり考えて作り込まれている。
チャージ玉システムというキャラクターの頭上に浮かんだ玉を4人パーティの間でフリックしてパスし合うことにより、能力を上げたり特殊効果を発生させたりできる特典があり、ただ黙って画面を見ているだけのバトルにはならない。
そして『12オーディンズ』の最大の特徴として、バトル中のリアルタイムチャットというシステムもあり、定型文やアイコンスタンプだけでない濃密なコミュニケーションを図ることができるので、わいわい騒ぎながら楽しく遊びたい人には最適といえるものになっている。
キャラ育成
武器や防具といった装備アイテムはガチャによって手に入れることができるが、そこで運よくレア度の高い物が引ければいいというわけではなく、ジョブのステータスを揃えないといけなかったりと、ゲームバランスがたいへん上手く作られている。
なのでバトルもやればやるほど戦略性が増していき、面白くなっていくのが『12オーディンズ』の魅力である。
装備アイテムは着け外しや強化によって見た目が変わるので、この収集が本作の楽しみの一つとなるだろう。進化のために必要な素材も集めたりしなくてはならないので、やることはなかなか尽きず、長く楽しむことができる。
その収集がだるいと感じても、チャット機能により飽きずにやり続けることもできるだろう。
協力プレイのワイワイ感は他にはない特徴と面白さがある。
もちろんゲームにコミュニケーションを求めない人でも、ソロプレイでも充分にやり込むことができるので安心してほしい。
プレイした感想
グラフィックに音楽に、全体的にクオリティはかなり高い。
個性豊かなSDスタイルの登場人物たちは皆細かく描写されていたり、あとはとにかく装備品の種類が豊富だったりするので、やればやるほどキャラクターに愛着が湧いていくことだろう。
ただデザイン自体は王道を意識しすぎたような内容で、どうしても既視感を覚えてしまう。
音楽もそういった雰囲気が多大にあるが、アレンジが上手いのでそれほど気にはならない。
さすがにもう少し独自性がほしかったが、全体的にいい感じでまとまっているので、十分にプレイする価値はあるゲームだ。
ボイスには内田真礼に洲崎綾、そして五十嵐裕美といった人気若手声優がキャスティングされていて、物語に花を添えてくれている。
総合評価
実にクラシカルでオーソドックスなシステムと物語を、とにかく丁寧に作り込んでいる印象を覚える作品。
少しずつ謎が明かされていく壮大なストーリーを進めていくというRPG本来の楽しみ方と、携帯端末という現代の環境を最大限に利用したマルチプレイとコミュニケーション、そして収集というやり込み性。それらがほどよく噛み合わせて、プレイヤーの好きなスタイルでゲームを楽しめる柔軟さを生み出している。
最近のRPGゲームアプリは、どうしてもストーリー性が弱いので、じっくりストーリーもゲームも楽しめる作品というのは重宝出来るゲームとなりそう。
RPGファンにはもちろんのこと、コミュニケーションツールとしてのゲームを求める人や、キャラクター育成を目的とする人など、様々なタイプのプレイヤーに適したゲームだ。