本作は2016年8月現在、第四部のアニメも好評放送中の大人気作品『ジョジョの奇妙な冒険』のスマートフォン向けメダルシューティングバトルゲームである。
メダルシュートといえば、ゲームセンターのコイン落としのようなものを想像する方もいらっしゃるだろうが、本作のゲーム内容とは『モンスターストライク』のようなスリングショット式アクションゲームのそれで、キャラクターが描かれたメダルを引っ張って射出し、敵のメダルにぶつけて倒すという、いわゆる「おはじき」ゲームなのだ。
その単純なゲーム性に加え、ジョジョに登場するキャラクターたちの多種多様な能力がスキルとして反映されているため、戦術性の高いアクションパズルゲームとしても成立している作品である。単なるキャラクターゲームではないッ!!
ストーリー
物語は原作第1部から始まり、死闘、名勝負、名シーンの数々を追体験することができるという作りになっている。原作ファンには嬉しい内容であることだろう。現在はアニメに合わせて、4部までのシナリオが公開されている。
絵は原作絵を効果的に使用しており、雰囲気もグンパツ。効果音のオノマトペやカットインの演出などが実に素晴らしく、原作漫画のページを捲る時の興奮を味わいながら、迫力と爽快のメダルバトルを楽しむことができる。
ゲームシステム
まずは最初に使用するキャラクターを選択しよう。
ゲームは現在第4部までのシナリオが公開されているので、1~4部の好きな「ジョジョ」を選択できるようになっている。
明記されているように、選択しなかったキャラクターもすぐに手に入るので、まずは気楽に選んでいいだろう。
キャラクターのメダルはステージクリア報酬やガチャにて入手することができる。
まずは第1部と第2部に登場した人気サブキャラクター、おせっかい焼きのスピードワゴンさんによるチュートリアルが始まるので、指示に従って動かしていこう。
メダルには属性があり、相性があるので、それぞれの色を見て、ぶつけるメダルを決断しよう。
敵を倒したメダルはもう1度射出することができ、これがまず勝負の大きなポイントとなる。
例えば体力値の高いボスと戦う時は、雑魚を倒しつつ攻撃回数を増やしていく方が、強力な反撃を食らわずに戦いを有利に進めることができるのだ。
バトルには4枚のメダルを投入できる。キャラクターにはそれぞれ属性の他には固有スキルが備わっているので、挑戦するステージや状況を鑑みてパーティを編成しよう。
またキャラクターには育成要素もあり、限界突破させられればアビリティのスロットが増加し、ますます多様な戦術を組むことが可能となる。
コンテンツ数はそれほど多くないが、人気作だけあって多数のコラボイベントや期間限定ガチャなどが頻発。現在放映中のアニメと連動したイベントなど、なかなかアグレッシブに更新されている。
グラフィックやBGM
とにかく原作絵を効果的に利用したグラフィックは見事。よく「余計なこと」をせず、原作を活かし、彩る方法を選択してくれたものだとホッとする。
ホーム画面のデザインなども、原作の雰囲気を損なわず、プレイヤーが素直にジョジョの世界に酔えるように作り込んだ素晴らしいものばかりだ。
ただ惜しむらくは、ボイスなどがない点がマイナスに感じられた。キャラクターものにはそこを期待する者も多いだろうから、フルボイスとは言わないまでも、もう少しくらいは何とかしていただきたかった。ゲーム全体の雰囲気が良すぎるだけに、余計に惜しく感じられてしまうのであった。
総合評価
キャラクターゲームとしては、上記のようなマイナス点が見られる。しかしそれでも原作絵を最大限に活かしたグラフィックや演出の数々、細かい部分にまで行き届いた「原作の雰囲気の徹底」は高く評価することができ、きっと多くの原作ファンが納得できる仕上がりになっていると考えられる。ファンであればあるほどゲームを楽しみ、バトルに熱中することができることだろう。
また「おはじき」という単純明快なゲームルールは誰でも気軽に遊べるゲーム設計となっているし、原作の波紋やスタンドといった特殊能力の効果を噛み合わせたことで、かなりの爽快感を作り出している。きっと多くのユーザーのストレスを解消できることだろう。
ただ「おはじき」はもうさんざん他のゲームでやり尽してしまい、やる前から飽きている、という人もいるかも。たしかに類似するゲームは多く、同時期に山のようにリリースされていた。ジョジョをわざわざ「おはじきゲーム」にしなくても、と感じた人も多いだろう。もう一つ、本作ならではの独自性があれば、もっと高評価であったようにも思う。