『ロール ボール:スライド パズル [英題/Roll the Ball™: slide puzzle]』という名のこのアプリは、パネルを並び替えてボールをスタートからゴールまで導くだけというシンプルなスライディングブロックパズルゲームである。
パネル(コマ)を空所を利用して滑らすように動かすスライディングブロックパズルゲームの歴史は深く、発明されたのは20世紀初頭といわれている。日本でも1930年代に「赤いロバ」「箱入り娘」という名のパズルが流通し、その後も様々なバリエーションの作品が作られ、遊ばれていった。
『ロール ボール』ではそうしたスライディングブロックパズルの要素を基礎としつつ、ボールの通り道を構築するという目的が設置され、独自性と難易度を作り出している。
ゲームレビュー
パズルゲームということで、ストーリーどころか舞台設定なども一切用意されていない。プレイヤーはひたすらパズルを問いていくだけである。
ただ木と鉄を使ったパズルの無機質感がたいへん精巧に表現されているので、スマートフォン上の仮想空間でなく、現実で実際にパズルを手にして遊んでいるかのような、ちょっとしたヴァーチャルリアリティー効果があるのがなかなか興味深かった。
『ロール ボール:スライド パズル』には主に4種類のゲームモードが用意されており、メインとなるのは「スターモード」という、ルート上の星を集めながらゴールを目指す形式のものだ。
3つの星を集めきれば次のステージが解放され、先に進めるようになる。
ステージは進むにつれてどんどん難易度が上昇。初めは時間制限なしでゆったりと熟考することもできるが、次第に制限時間が設けられるようになり、スピーディな攻略も求められるようになってくる。
ステージは軽く1,000を超えるほど用意されており、全面クリアが既に遥か遠くの目標となっている。もはや単純に大ボリュームなどとはいえないステージ数だ。そのステージの数々も、どれも非常によく作り込まれており、決して数だけ揃えられているということでもない。
攻略を進めていくと、4×4のステージ画面も、次第に6×6と増え、1ステージのボリュームも増していく。
パネルは指でスワイプすると動く。求められる操作はそれだけなので、これ以上なくシンプルなゲームといえるだろう。とにかく頭を使い、上手い攻略を考えよう。
できるだけ少ない手順でクリアすることができると、プレイ内容が三ツ星で評価され、そこで初めて「完全クリア」となる。繰り返しのプレイで効率を追求していくことも必要になるだろう。
通常クリアでさえ果てしない道のりだが、三ツ星の完全クリアまで目指すと、その達成はあまりにも困難で厳しいものだといえるだろう。
しかしだからこそやりがいがあるともいえる。
これは簡単操作でありながら、かなりの骨太なゲームなのだ。
総合評価
前述にもある通り、グラフィックのクオリティがたいへん高く、表現された絵に質感と重厚感のようなものがあり、実物のパズルに触れているような感覚に包まれる。
またパネルを動かす時や、鉄の球が転がる時のエフェクトがたいへん良くできており、かなりの快感を覚えることができる。とりわけ上手くクリアできた時の、カコンとゴールに球がはまった瞬間の音などは秀逸で、その爽快感は凄まじいものがある。
音楽のクオリティも高く、耳も常に心地好い作品。頭を使うパズルゲームであるが、どことなく癒し効果のようなものまであるように思う。
単純でありながら奥深い、簡潔だからこそ面白い……こういったゲームを楽しんでいると、シンプル・イズ・ベストというものを改めて感じることができる。100年の歴史は伊達ではない。
難易度はなかなか高めで、かなり頭を使う。しかしリアルさを感じられるパネルの質感や演出によって、クリアできた時の達成感はかなりのもの。つい、熱中してしまう。それでいて、1ステージがコンパクトなので、ちょっとした空き時間に楽しむだけという遊び方も可能。まさしくスマートフォンという環境に適したゲームであるといえるだろう。
パズル好き、頭を使うのが好きなプレイヤー、息抜きに何かゲームをしたい人、そんな方々にオススメしたい作品だ。
長くじっくりと遊んでいきたい。
口コミでの評判
評判は良く、口コミに書き込まれている内容も概ね良好なものが多い。しかも、そのコメント1つ1つに開発者と思われる方が返信してくれているのが印象的だ。開発者側もそれだけ大事にしているゲームアプリという事なのだろう。
口コミでは、面白いけど・・・・広告が多い!という内容のコメントが目立ちますが、これだけステージ数が多く、リアルを追求したゲームであれば相応の広告収入が無いとやっていけないと思うので、こればかりは仕方がないと諦めるしかないでしょう。
ただゲーム自体は間違いなく面白いので、パズル系や頭脳系ゲームが好きな方は是非おすすめ!