本作は、剣と魔法とモンスターという王道ファンタジー世界を舞台にしたリアルタイムストラテジーゲームで、自分の国を作りつつ他プレイヤーと競い合うといった内容になっている。
施設をアップグレードしたり研究開発をしたりして国を発展させていくといった箱庭系シミュレーションゲームの要素と、領地を荒らすモンスターの退治と領土拡充を狙う他プレイヤーとの攻防といった戦略シミュレーションゲームの要素、という2つが柱となっている作品。モバストなどの影響で、スマートフォン向けゲームとしてはすっかりお馴染みになったシステムであり、もはや1つのジャンルともいえるものだ。
コツコツと自分のペースで楽しんでいける作品である。
ストーリー
王道ファンタジーという構えではあるが、RPGではないので、主だったストーリーなどは用意されていない。プレイヤーは簡単な世界観の説明や設定を聞いた後、ナビゲーターに従ってひたすらに国を作っていくことになる。
全体的にテキスト量も少なく、ゲームに関する説明以外は薄い。ただ重厚なグラフィックによって、徹底して古典的中世ヨーロッパ調のファンタジー空間が描写され、世界を構築されており、雰囲気は充分にある。
かつてウィザードリィなどで、自らの想像による補填で世界観を楽しんできたオールドゲーマーにこそ、オススメできるゲームであるのかもしれない。
ゲームシステム
基本となるのは内政モード。空き地に施設を建造し、それをアップグレードし、国力を増していくのが最も必要なこととなる。
国力が増して収入が増えたら、さらに新しい施設を建造できる資金になり、さらに軍事力を増すことも可能となる。
軍事力は国を守るために必須の力であるが、時に資源を獲得するための力ともなる。
国の外はモンスターが蠢く危険地帯。
ゴブリンなどが国民に害をもたらす前に、全て退治してしまう方がいいだろう。
また近辺にある他プレイヤーの国は、同盟を結ばないかぎりは敵である。
侵略された場合に国を防衛できる戦力を確保しておかなければならないのだ。
国や軍隊だけでなく、プレイヤーキャラクターの育成も可能。
スキルツリーによる成長システムがあり、RPG的な楽しみもある。
序盤はナビゲーターのガイドに従ってどんどん進めていこう。様々なクエストをクリアしていけば、便利なアイテムの数々も入手できるので、より楽に、効率よく国を発展させていくことができる。
とにかくやれることが多く、複雑なゲームではあるが、操作自体はとても簡単なので、クエストをこなしていく内に理解できていくことだろう。
グラフィックや音楽
リアル寄りのデザインで統一された重厚感溢れるグラフィックは見事なもの。
ただそれ以外の部分のクオリティはまずまずといったところで、現代の超高クオリティに慣れきってしまったユーザーにはちょっと物足りないところがあるかも。
とりわけバトルの描写が、簡単に文字による報告ぐらいで、アニメーションなどの演出が全くないところなどは、かなりガッカリしてしまった。
また絵の重さに対して、音の軽さも妙に気になってしまう。サウンド面にもういくらかでも気を遣っていたら、大きく印象が変わっていたかもしれない。たいへん残念に思う。
総合評価
惜しい部分は多々あるが、ゲームデザインなど概ねの部分は完成度が高く、優秀なゲームと評価することはできる。
ただこうしたタイプの内容の作品が、もはやスマートフォン向けゲームの1ジャンルとして成立しているからこそ、正直「ありきたり」でしかなくなっており、とにかく新鮮味が薄い。やる前から飽きたと認識しているユーザーも多いのではないだろうか。
そこで、新たにダウンロードしてくれる、すなわち他の同タイプの作品からわざわざ乗り換えてくれるほどの、強い魅力とオリジナリティが重要となるのであるが、本作においては「王道に忠実な世界観構築」こそがその要素であるということができるだろう。
なんとも地味なことではあるが、その地味さ、ひたむきさこそを求めているユーザーはかなり存在する。
自分のペースでコツコツと箱庭シミュレーションを楽しめるユーザー、そして王国を脅かすモンスターを退治し、他国の侵略から国を守り、機を見て攻め入り領土を拡張するという、このオーソドックスな流れを楽しめるユーザーには、本作はまさにぴったりとゲームといえる。