どうしても略して「艦コレ」と言いたくなってしまうタイトルの作品であるが、本作はパロディ作品というわけではなく、いたって真面目なオリジナル作品であり、たいへん硬派な内容となっている。
ゲームテーマこそ同じく「実在する艦船」であり、ジャンルも同じく海戦ストラテジーゲームであるが、こちらは擬人化などは一切ない、リアル志向といえるもの。
プレイヤーは戦艦や航空母艦など、世界各国の軍艦を自由に編成し、強化し、他陣営に属するプレイヤーたちと戦って領地を拡大し、自陣営に覇権をもたらすことを目的とする。
ゲームプロデューサーに「機動戦士ガンダム ギレンの野望」の宮路洋一を迎えるなど、作り手の並々ならぬ覚悟を感じられる作品だ。
本格派のユーザーにオススメできるゲームである。
ストーリー
本格ストラテジーゲームということで、ストーリー性などのものは排除されており、ドラマチックな展開は一切用意されていない。
シングルプレイモードは用意されているものの、戦場を転々とするだけでアドベンチャーパートなどもない。
ただ、そのステージは史実にあるもので、歴史を追体験できるような装置となっており、歴史好き、とりわけ戦史好きのユーザーなどはかなり楽しめるかも。
またそういったユーザーにとっては、実在した戦艦を、国境や時代を超えて自由に編成して戦えるというゲーム設定こそが、ドラマ性の高いものとして感じられるのかもしれない。
ゲームシステム
ゲームを開始すると、まずはプレイヤー名の入力と、アバターデザインの選択を求められる。
プレイヤー名の変更にはアイテムが必要となるので、うっかり連打してデフォルトの変な名前にならないよう注意しよう。
プレイヤーがどこの陣営に所属するかも、初めに決めなくてはならない。
特にこだわりがなければ、ランダム加入で課金石ボーナスをいただいてしまおう。
バトルはフルオート形式。
なので、事前の準備が勝敗を分ける。
敵勢力に合わせた編成や陣形だけでなく、時には天候などの外因などを鑑みての準備が必要となる。
コンテンツ数が膨大にあり、どこから進めていいのかわからなくなるほど。
まずは「戦役」というシングルプレイモードを進めつつ、その報酬で新しい艦を作っていくという流れが、結局は最も効率がいいはずだ。
戦場は史実に基づいたものだけでなく、架空戦記まで用意されている。
ステージ数も多く、やり応えは充分すぎるほどあるといえる。
「争覇」という対人戦コンテンツだけでも、多種多様なゲームモードが用意されており、プレイヤーを飽きさせない。
艦艇数も多く、多種多様。
さらに育成要素も充実している。
自分の好きな艦を集めたり強くしていくだけでも、かなりの達成感を得られることだろう。
艦船は「造船所」にて、時間経過による無料建造や、課金石によって建造できる。
いわゆるガチャというものだ。
力押しができず、わずかに陣形をいじっただけでも勝敗が変わるという、なかなかシビアな設定とシステムで、戦略性はかなり高いゲームだといえる。
デザインや音楽
こと本題である艦船にかける意気込みは凄まじいものがあり、たいへんクオリティの高いグラフィックによって精巧に描写されている。
これこそを目的とする戦史好きやミリタリファンにとっては、まさに満足のいくゲーム体験となることだろう。
ただ、バトルの画面が、両軍向かい合って無防備に砲撃を交えるだけという見せ方になっているため、さらなるリアリズムを求めるようなファンは不満というか違和感を覚えてしまうか。
ゲーム上仕方ないデフォルメ化であると割り切れる人には、砲撃や艦載機出撃などの精密なグラフィックとアニメーションは、実に見応えのあるものとして映るだろう。一見の価値ありだ。
総合評価
本格志向という以上に「渋い」という感想の出るような、実直かつ骨太な作りのゲームである。やはりミリタリファンや戦史好きを中心にオススメできるゲームといえるだろう。
また、戦略性やゲームレベルの設定が高めということで、確かな手応えを求めるストラテジーゲーム好きや戦略シミュレーションゲーム好きにも、充分オススメできる。
ゲームに可愛さなど不要!という男気の強いヘビーユーザーには、ぜひともプレイしてみてほしい作品だ。