本作は、魔王を討伐した後の世界の舞台に、複数の主人公が「それぞれの正義」を胸に戦っていく姿を「観測」するというファンタジー作品で、ゲーム内容はシミュレーションRPGとなっている。
プレイヤーは「観測者」となって、3人のキャラクターを中心とした、複雑に交差していく物語を追っていくことになる。壮大なストーリーを味わいつつ、ターン制のタクティカルバトルを楽しんでいこう。
戦略性のあるバトル、ド派手な攻撃アニメーションやエフェクトなどの演出、豊富なコンテンツと育成要素などが売りの作品である。
ストーリー
プレイヤーが観測するのは、亡国の姫、小国の若き王、そして現代日本から召喚された勇者の3人。
3つの視点で描かれていく物語を追っていくと、次第にそれぞれの道が混じり合い、複雑に絡み合い、やがて1つの大きな物語へと結実していくことになる。
先の読めないドラマチックな展開は、ファンタジーノベルやライトノベル好きのユーザーには響くものがあるかも。
テキスト量が豊富なだけでなく、豪華声優陣によるキャラクターボイスまでついているので、アニメファンなどもかなり楽しめる雰囲気があるといえるだろう。
ゲームシステム
美麗なアニメーションによるオープニング映像から、ゲームはスタートする。
期待感が高まるばかりだ。
基本的にはクエストに挑んでステージをクリアし、ストーリーを進行させていくのがゲーム内容となるが、イベントなども豊富でボリューム満点。
チュートリアルともなる「指南所」は無視して好きに進めてしまってもいいというのは、多くのゲームをプレイするユーザーにはたいへんありがたい機能。
無視してもクリア報酬はきちんと受け取れるというのも、また素晴らしい。
クエストにはメインストーリーを進めていくものだけでなく、キャラクター個別のシナリオを楽しめるものや、ダンジョン挑戦など、多種多様に取り揃えられている。やり応え充分だ。
バトルはマス目で区切られたフィールド上で行われる。
画面上部に表示されている行動順に従ってユニットを動かし、攻撃や魔法などのスキル、あるいは必殺の奥義などで敵を倒していこう。
ステージの前後にはアドベンチャーパートもあり、豊かに描き出されたキャラクターたちの物語を楽しむことができる。
スフィアボード形式のステータスアップや、進化にクラスチェンジと、育成要素がたいへん充実した作品。
装備などを追求していくだけでも、かなりの手応えを感じられるはずだ。
キャラクターは、スマートフォン向けゲームおなじみのガチャで獲得できる。
期間限定などもあるので、小まめにチェックしておこう。
ガチャだけでなく、交換所でもキャラクターは獲得できる。
ギルやレアメダルなど、ゲーム中に手に入るアイテムは交換に使えるので、積極的に集めていった方がいいだろう。
デザインや音楽
バトル画面こそシンプルな作りで味気なさもあるのだが、グラフィックは良質で、エフェクトなどの演出面もなかなかの迫力があり、全体的にクオリティは高い作品であるといえるだろう。
大きな看板ともなっている豪華声優陣は、平田広明や丹下桜、さらには石田彰といった熟達のベテランから、島崎信長や梅原裕一郎、三澤紗千香に佳村はるかといった若手人気声優までバランスよくキャスティングされており、広い世代のアニメファンや声優ファンも大いに楽しめるものとなっている。
総合評価
きわめてオーソドックスな作りのスマートフォン向けファンタジーRPGで、正直目新しさはほとんどない。
しかし、だからこそ安定感というか、気楽に遊び始めることのできる敷居の低さがあるともいえる。
シンプルなバトルシステムではあるが、その作りは細部に至るまで丁寧で、様々なこだわりもみえる。シナリオも育成要素も豊富で、ボリュームも満点。たいへん遊びがいのある内容だ。
それがスタミナ制ではなく、好きなだけプレイできるというユーザーフレンドリーな設計も好印象を受ける。
さらに、あらゆるキャラクターも装備品も最高レアリティまで進化できるというのもまた嬉しいところ。
若干、急にゲームが落ちたりと不安定な部分も見えるのだが、それは今後のメンテナンスで改善されていくことだろう。更なる良質化を期待できる雰囲気は充分にある作品だ。