マクタールの伝説

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RPG, ゲーム

プレイレビュー

投稿日:2017年08月11日

投稿者:船長

スマートフォン向けのシンプルRPGである本作は、タイトルといい、ドット絵で描き出されたグラフィックといい、全体的にレトロ感というか昭和感が漂っている。オールドゲーマーにとっては郷愁のような感覚を抱かせるものがあるだろう。

だが、そうして懐かしさを演出しているように見えるものの、実際にプレイしてみると、かなり独自性の高い、一風変わった作品であるということがすぐにわかる。

これは決して王道ファンタジーRPGなどでない。たいへん奇妙な、ユニークな、妙に味のあるRPGなのである。

ストーリー

プレイヤーが操るのはファンタジーRPG定番の「勇者」

しかしこの勇者、どうにも気弱で、これまであらゆる戦闘で、トドメの一撃を全て仲間に譲ってしまい、未だレベル1のままだという。そう、この世界では、最後にトドメを刺した者のみが、経験値を獲得することができるのだ。

そうしていつまでも貧弱なままだった彼は、森の中での戦闘で、ついに力尽きてしまう。

そこへ現れたのは光の導き手と名乗る存在。

勇者を哀れに思ったその存在は、彼を治療し、新たに「天罰」というクラスチェンジ能力を与え、成長へと導いていくことになるのであった。

ゲームシステム

冒頭だけでなく、バトルの合間にもちょいちょいアドベンチャーパートが挿入される。

仲間キャラクターとのイベントシーンなども用意されており、かなり細やかに世界観が作り込まれている印象を受ける。

ギャグよりの味わい深いテキストの数々がまた面白い。

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冒険に出る前に、まずは酒場で連れていく仲間を選ぼう。

多種多様なジョブ、スキル、キャラクター性を持つ仲間たちは、全部で30人以上もいる。

酒場には6人のメンバーが駐在している。入れ替えを行うと、別の控えメンバーがランダムで常駐するようになる。冒険の後、勇者は回復するが、仲間は回復しないシステムなので、休養に出すことが必要となるのだ。

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そうした仲間の存在は攻略に不可欠なものなので、あえて主人公の勇者ではなく、仲間にトドメを刺させて、仲間のレベルを上げていく必要もあるだろう。

だが共に冒険を重ねたり、プレゼントをあげることで、好感度を上げていくと、やがて経験値を共有できるようにもなるという。

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基本的には、トドメを刺した者のみが経験値を獲得できるシステム。

バトルはオートで、たいへんテンポよく進むので、繰り返しの挑戦で、ガンガン勇者や仲間のレベルを上げていこう。

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グラフィックや音楽

丁寧に作り込まれたクオリティの高いドット絵は、単なるノスタルジーという効果だけでなく、温故知新の良さと面白さを感じることができる。とにかく動きがカッコイイ。一見の価値があるものだ。

キャラクターだけでなく、背景の細やかさも見事。総じて高クオリティの作品といえるだろう。

他にも音周りがまた良い。小気味いい音楽は冒険気分を高揚させてくれるし、エフェクトとマッチした効果音なども巧みで爽快感がある。

あとはボイス。トドメの一撃をきめた時など、要所で突然発声されるのであるが、これが良いという以上に、どうにも脱力感溢れる珍妙なもので、一度耳にすると延々と耳に残り続けること間違いなし。すごい、インパクト!

総合評価

一見すると王道ファンタジーRPGであり、実際プレイしてみると斬新なシステムによる新しさすら感じられるRPGであり、しかしやればやるほどボイスやテキストの珍妙さが伝わってきて、最終的には「これ、いわゆるバカゲーというやつなのでは?」と感じてしまうのであった。良くできているけれど、なんとも変な作品なのである。

いくらかやり進めてみて、仲間の好感度が限度いっぱいになった時の状態が「ペアルック」という名称というで表記された時点で、この作品のほのかな狂い具合というか、おかしさがわかることだろう。

スーパーファミコンの末期辺りによく見られた、味わい深いバカゲーの数々を愛するようなユーザーにはうってつけの作品といえる。

もちろん、全体的なクオリティは高く、クラスチェンジも仲間キャラクターも多種多様というやり込み度の高さもあり、ふつーにRPGとしてもかなり楽しめる作品。

珍作であり、佳作である、なんとも不思議なRPGなのであった。

投稿名:マクタールの伝説 |カテゴリ:RPG|投稿者:|投稿日:8月11日

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