フィンガーナイツクロスは、2015年に配信された「フィンガーナイツ」のリニューアル作品で、内容は前作同様、ユニットをおはじきのコマのように敵に当てていく、ひっぱりアクションRPGとなっている。
プレイヤーは召喚士として伝説の英雄騎士たちを召喚し、育成し、王国を守るための戦いに身を投じていくことになる。
もはや多くのユーザーに馴染み深いものといえるひっぱりアクションというバトルシステムや、王道のファンタジーストーリーなど、誰でも安心して遊ぶことのできる、きわめて安定した作品といえるだろう。
ストーリー
舞台となるのは、アヴァロン、アズガルド、エリシオン、タルタロス、アトランティスといった5つの王国によって統治された「悠久の大地」と呼ばれる剣と魔法のファンタジー世界。
人々はそこで長く平和な時を過ごしていたが、ある時、何者かによって魔王ガーデスの封印が解かれてしまい、世界中で悪魔や魔物たちが暴れだすようになってしまった。
世界は戦乱の時代となり、どの国も壊滅の危機に瀕してしまう。
そこで人々は、禁忌とされていた魔術である、古の英雄の魂と記憶を呼び起こすことのできる「召喚術」の力に頼ることとなる。
招き入れられたのは、世界で唯一召喚術を使うことのできる「召喚士」である主人公(プレイヤー)……はたしてあなたは王国を邪悪な存在から守りきることができるのであろうか。
ゲームシステム
コンテンツ数はとにかく膨大で、やれることがたくさんある作品。
まずはメインクエストを進めてユーザーレベルを上げて、編成枠を解放したり、対人戦やギルドなどのコンテンツをどんどん解放していこう。
メインクエストだけでもかなりのステージ数があり、ボリューム満点。
さらにイベントダンジョンや降臨ダンジョンなど、様々なゲームモードに挑戦することができる。
他プレイヤーとの協力プレイで挑むこともでき、楽しみ方も多々ある作品といえるだろう。
バトルはターン制で、タップしたユニットから順番に操作していくことになる。
攻撃方法はスワイプでユニットをひっぱり、放って敵にぶつけること。
行動によってゲージが蓄積すれば、アイコンタップでスキルを発動することもできる。
メインクエストの前後には、アドベンチャーパートが挿入されることもある。
ストーリーに直接関わるキャラクター以外は、ガチャで獲得するか、一定数のピースを集めることで解放することができる。
グラフィックや音楽
グラフィックはまずまずといったところで、悪くはないが良くもないといった印象。
3DCGで動き回るキャラクターは一見クオリティが高く見えるが、よく見ると粗が多く、挙動も若干おかしくて、どうにもバトルに集中できなくなってしまう。画面がとにかく見難いのマイナス点。操作性の悪さも相まって、本来のひっぱりアクションにあるはずの爽快感が薄い。
ただキャラクターデザインはたいへん素晴らしく、立ち絵などは思わず見惚れてしまうほどの美しさがある。
またそうしたキャラクターにはボイスもついており、ストーリーがフルボイスなど、ボリュームは充分にあるといえるだろう。
しかし残念ながら、そのボイスの音質が信じられないほど悪く、雑音混じりに聴こえてくるという、今どき同人ゲームにもないくらいの低クオリティで、せっかくの内田真礼や内田雄馬などの大人気声優の起用が台無しに。声優ファンはかえってがっかりしてしまうかも。
全体的にクオリティは低めといわざるをえない作品である。
総合評価
リニューアル作品と謳っているが、正直どこをリニューアルしたのだろうかと思うくらい、前作そのままの状態。
もちろんコンテンツ数が増えたり、マルチプレイ対応になったりと、きちんと進化は見せているが、肝心の操作性の悪さなど改善すべき点がまったく放置されているので、前作のプレイ経験がある人ほど、継続してプレイすることがないのではないだろうか。
ただそれでも、各ステージの形状やギミックの多種多様さや、敵が強めに設定されているので属性や特性をよく考えて編成したり攻撃に工夫を加えないと勝てないなど、ゲーム性は深く、手応えはかなりある。腕に覚えのあるユーザーは、かなり「燃える」かも。
豊富な育成要素やハクスラ系ゲームのようにアイテム稼ぎを楽しめるゲームモードの多様さなど、やり込み度もかなり高い作品。じっくりコツコツとプレイしていくのが楽しいと感じるヘビーユーザーにこそオススメできる作品といえるだろう。